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婚約破棄? ご自由に。条約違反の責任は国家でどうぞ ~婚約破棄された令嬢、契約で世界を制圧する〜  作者: 白石アリア


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第86話 国家の恐怖

 異常は、市場ではなく国家契約の層に現れた。


「……債務集中率、上昇」


 ノアの声は低い。


 履歴網の拡張解析機能が、国家契約の連鎖構造を可視化する。


 ベルド王国。


 公共事業契約。

 軍需補給契約。

 再保険連結。


「同一資金源への依存が五割を超えています」


 カイルが言う。


「単一商会への集中」


 画面に赤い帯が広がる。


「破綻確率は?」


「単独では低い」


「だが連鎖時は危険域」


 私は理解する。


 履歴網は市場の恐怖だけでなく、


 国家の脆弱性も映している。


 翌日、ベルド特使が再来。


「王は懸念している」


「何を」


「この情報が公開されれば、国債利率が跳ね上がる」


 当然だ。


 国家の弱点は、政治問題になる。


「履歴網は契約単位で公開」


「だが分析すれば国家構造が読める」


 特使の目は鋭い。


「港は国家を揺らすつもりか」


 私は静かに答える。


「揺らすのではない」


「見せるだけです」


 数秒の沈黙。


「王は、履歴網の国家契約部分を非公開にすることを望む」


 空気が凍る。


 カイルが息を呑む。


 それは――


 制度の骨を折る要求だ。


「例外を作れば」


 セリーナが静かに言う。


「信用は歪む」


 特使は冷静だ。


「国家は市場ではない」


「国家は守られるべきだ」


 私は深く息を吸う。


「国家契約も契約です」


「履行されなければ、影響は市場に波及する」


 特使はわずかに目を細める。


「理想論だ」


「現実です」


 特使は去る。


 午後。


 クロイツから緊急通信。


《ベルド債務集中情報を確認》


 ハインリヒの声は重い。


「このまま公開されれば、国家間緊張が高まる」


「非公開要請は受けません」


「国家同盟が崩れる可能性もある」


 私は静かに言う。


「崩れるなら、それは既に不安定です」


 沈黙。


「……アリア」


 ハインリヒの声がわずかに低くなる。


「履歴網は市場兵器になり得る」


「使うつもりはありません」


「だが存在するだけで圧力だ」


 その通りだ。


 夜。


 レオンから通信。


《国家に触れたな》


《ええ》


《市場より怖いぞ》


《恐怖は可視化する》


 短い沈黙。


《国家は恐怖を隠す》


《だから破綻する》


 通信が切れる。


 窓の外、港は静かだ。


 履歴網は市場を超えた。


 国家の内部に光を当てた。


 だが光は、歓迎されない。


 私は理解する。


 次の戦いは、


 市場でも自由圏でもない。


 **国家そのものだ。**

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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