表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄? ご自由に。条約違反の責任は国家でどうぞ ~婚約破棄された令嬢、契約で世界を制圧する〜  作者: 白石アリア


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/100

第77話 透明の力

 エストラでの履歴網試験は、一週間を超えた。


 数字は静かに積み上がっている。


「履行率、向上」


 ノアが報告する。


「遅延件数、三割減」


 理由は単純だった。


 スコアが公開される。


 商会は、自らの履歴を意識する。


 無謀な契約は、すぐに評価に反映される。


「投機目的の高利率契約が減っています」


 カイルが補足する。


「信用スコアの低下を嫌っている」


 透明性は抑制力になる。


 午後。


 エストラの若い商人が訪ねてきた。


「……不思議です」


「何が」


「以前は、利率が高ければ飛びついた」


「今は?」


「履歴を見る」


 彼は端末を見せる。


 相手商会の履歴。

 過去の遅延。

 再契約率。


「数字があると、迷わない」


 私は静かに頷く。


 恐怖を消したのではない。


 恐怖を判断材料に変えた。


 夕刻。


 自由圏側の評論が流れる。


《履歴網は市場を鈍化させる》


《過剰な透明性は流動性を奪う》


 間違っていない。


 流動性は確かに下がる。


 夜。


 セリーナが言う。


「自由圏は“速さ”を売る」


「港は“判断材料”を売る」


「どちらが強いか」


 私は少し考える。


「状況次第です」


「戦争時は速さ」


「安定期は透明」


 彼女は小さく笑う。


「なら港は、安定期専用ですか」


 痛い指摘。


 市場は常に揺れる。


 安定期など、幻想かもしれない。


 その時、ノアが新たなデータを持ってくる。


「履歴網参加商会の保険料が下がっています」


「なぜ」


「信用スコアが高い主体は、再保険料が低く算出される」


 私は画面を見る。


 確かに、スコアと料率が連動している。


「透明性が、直接コストを下げている」


 小さい。

 だが確かな利点。


 翌日。


 エストラの隣国が問い合わせをしてくる。


《履歴網参加条件を提示せよ》


 波が、わずかに動いた。


 だが自由圏の動きも止まらない。


《新高利率商品発表》


 市場はまだ、刺激を求めている。


 私は理解する。


 透明は力だ。


 だがまだ、小さい。


 履歴網は芽を出した。


 だが森になるには、時間がいる。


 そして市場は――


 時間を待たない。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ