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婚約破棄? ご自由に。条約違反の責任は国家でどうぞ ~婚約破棄された令嬢、契約で世界を制圧する〜  作者: 白石アリア


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第76話 小さな実装

 履歴網の再設計は、国家記録との切り離しから始まった。


「国家単位の履歴を参照にせず、契約そのものを一次情報にする」


 ノアは図面を広げる。


「署名結晶を主体ごとに持たせる」


「契約締結時に、双方の結晶が同時刻刻印」


「中央記録は照合のみ」


 カイルが眉を寄せる。


「国家承認を外すのか」


「外しません」


 ノアは首を振る。


「国家承認は補助情報」


「信用スコアの基礎は、履行履歴」


 つまり。


 国家は上位監査。

 履歴網は下位構造。


 完全切断はできない。

 だが依存度は下げられる。


「試験導入は?」


「小国家エストラが応じています」


 エストラ。

 規模は小さい。

 だが港基準に残っている国だ。


 翌週。


 エストラ商会三社で限定稼働。


 契約締結。

 履歴刻印。

 公開スコア表示。


「……動いています」


 ノアの声が震える。


 履行一件。

 即時反映。


 遅延。

 即時表示。


 市場の端末にスコアが出る。


「投機が減っています」


 カイルが言う。


「スコアが可視化されると、過度な利率は付かない」


 透明性の効果。


 小さい。

 だが確実。


 数日後。


 エストラ商会の代表が報告に来る。


「取引は安定した」


「利益は?」


「……若干減った」


 想定通りだ。


 透明は、過剰利潤を削る。


 だが破綻も減る。


 夜。


 セリーナが端末を見つめる。


「履歴は消えない」


「ええ」


「国家が離脱しても残る」


「ええ」


 彼女はわずかに頷く。


「小さいが、本物だ」


 その言葉に、私は胸の奥が少しだけ軽くなる。


 だが。


 自由圏の速報が同時に流れる。


《高利率商品、完売》


 市場はまだ、向こうに惹かれている。


 履歴網は安定。

 だが刺激はない。


 カイルが低く言う。


「理想は証明できた」


「だが市場は動いていない」


 私は窓の外を見る。


 灯りは揺れている。


 小さな成功。

 だが大きな流れは変わらない。


 履歴網は正しいかもしれない。


 だが正しいだけでは足りない。


 私は静かに呟く。


「証明を、拡大する」


 小さな実装は終わった。


 次は――


 市場全体での試験だ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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