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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

学校略奪

作者: 真白 京

この物語は、フィクションです。

でも、どこかで――もしかしたら、すぐそばで――こんな未来が起きるかもしれない。

そんな思いからこの小説は始まりました。


少子化が進み、学校が消えていく時代。

教育は制度ではなく、生き残りを懸けた戦場と化した。


「最後に残るのは、ひとつの学校だけ」

それは、生徒会長たちが命を賭けて競い合う、国家主導の“統廃合計画”。


ただ生きるだけでは、もう足りない。

誰かの想いを継いで、居場所を守る。

そんな戦いの中で、人はどう変わり、何を守り、何を失っていくのか。


これは、ひとつの高校を舞台に繰り広げられる、

“戦争”と“青春”の物語。


あなたがもし、かつて学校に通っていたのなら。

誰かと過ごした教室の空気を覚えているのなら。

どうか、この物語の先にある“選択”を、一緒に感じてほしい。

 第一章:統廃合の始まり


 日本が深刻な少子化の波に飲み込まれたとき、政府はある前代未聞の政策を打ち出した。


 ――「学校統廃合計画」


 国中の中学・高校を半分以下に減らすという思い切った決定。しかし、その実行方法は、さらに異常だった。

 行きたくもない学校だった。家から遠いため、仕方なく原付バイクで通っていた。だから朝は必然的に早く着いてしまう。それが嫌で仕方がなかった。


 そんなある日、全国の学校に政府から手紙が届いた。そこには、驚くべきルールが記されていた。


 ― 残る学校は、最後まで生徒会長が立っている学校とする

 ― 戦いの中で生徒の死者が出た場合、その学校は即時解体

 ― 勝者には、学校の存続と莫大な支援が与えられる


 …そして、手紙が届いたその瞬間から、学校の中から大人の姿は消えた。先生たちはすべてどこかへと移送され、生徒たちだけが残された。

 混乱の中、校内放送が鳴り響いた。

「生徒会長の霧島霞です。ご存じの通り、学校の存続をかけた戦いが始まりました。最初は冗談だと思っていたけれど、先生たちはいなくなり、政府の公式サイトでも他校の戦闘映像が公開されている。もはや現実です。……だから、私たちも、春煙高校を守らなければならない。皆さんの協力が必要です。よろしくお願いします」

 放送が終わると、教室はざわついた。

 僕は正直、学校の未来なんてどうでもよかった。ただ、この退屈だった日常に“変化”が訪れたことに、少しだけ胸が高鳴った。


 第二章:孤立


 その日の夕方、再び放送が鳴った。

「全校生徒に通達します。家に帰らず、学校に残ってください。校外での移動は、他校の襲撃や捕虜化の危険があります。今後、生活に必要な物資はすべて学校に届きます」

 政府から支給された最新の機器と物資により、校内での生活は成立した。食料、日用品、そして…武器さえも、整えられていた。

 時が止まったような三日が過ぎた。そんなとき、突然の放送が鳴り響く。

「至急、体育館に集まってください」

 生徒会長の声だった。いつも冷静な彼女が、わずかに声を震わせていた。

 体育館にはすでに多くの生徒が集まっていた。重苦しい空気の中、僕は静かにその場に立った。

「隣町の丘の上高校が、東野高校を掌握しました。恐らく、奇襲です。私たちが状況を理解する前に、敵はすでに動き出している」

 普段は感情を見せない霧島霞の言葉に、誰もが聞き入っていた。

「この状況から考えて、次に狙われるのは私たち春煙高校です。よって、これより校内の防衛を強化します。全員、協力をお願いします」


 第三章:作戦名“闇夜のカラス”


 その夜、生徒会から新たな情報がもたらされた。

「丘の上高校の通信を傍受しました。二日後、作戦決行とのこと。作戦名は“闇夜のカラス”。夜間の奇襲を狙っているようです。夜の警備を強化してください。生徒会役員は生徒会室へ集まってください」

 月明かりのない、真っ暗な夜。静まり返った春煙高校の屋上に、僕は立っていた。

「……本当に来るのかよ」

 ため息をついた、その瞬間。

 闇に紛れて現れた影。黒装束の敵――十人以上。まるで夜そのものが人の形を取ったような静かな動きだった。

「敵だ!」

 叫ぼうとした瞬間、銃口が閃き、弾丸がこちらに飛んできた。肩をかすめたその一発で、視界が歪み、意識が遠のいていく。

 目を覚ましたとき、屋上には数名の仲間が倒れていた。


「……負けたのか?」

 だが、校舎の奥から銃声が鳴り響いた。

「誰か…まだ戦ってる」

 立ち上がり、ふらつく足で廊下を駆けた。その先で見たのは――たった一人、戦い続ける霧島霞の姿だった。


 第四章:霞の誓い


「降参しろ、生徒会長」

 敵の男が銃口を向けて言い放つ。

 しかし、霞は一歩も引かなかった。

「私は生徒たちが好きじゃない。誰も私を理解しないし、近づこうともしない。でも……この学校は、私のすべてなんです」

 彼女の声は静かで、そして強かった。

「夢を語り、笑い合う場所を、私は守りたい。それが、生徒会長としての――私の、役目だから」

 その言葉が、僕の胸を撃ち抜いた。

 護身用に持ち歩いていた模造刀を抜いて、彼女の横に立った。

「俺も……この学校を守る。ここは、俺たちの居場所だ」

 彼女は驚いたようにこちらを見た。

「あなた……れん君、よね?」

「――えっ?」

「一組の。いつも後ろの席で、静かに周囲を見てるでしょ?優しい行動、結構目立つものなのよ」

 僕は何も言えなかった。ただ、その一言が嬉しかった。


 第五章:正体


 僕らは負けた。僕は地面に押さえつけられて、生徒会長は僕の目の前で敵に銃を向けられている。

「丘の上高校の勝ちだ。お前らはもう負けたんだよ」

 生徒会長は不気味に笑い始めた。

「……私が、生徒会長に見える?」

 その言葉の意味が分からず、思わず顔をしかめる。

「なにを言っているんだ」

 丘の上高校の生徒が困惑していた。僕も彼女が言っていることがわからない。

「ううん。私たちはまだ、負けてない」

 霞はゆっくりと手を上げ、自分の髪を――引き抜いた。

 白い素肌があらわになり、そこにいたのは別人だった。

「君は……書記の、佐伯さん……?」

「正解。私は変装が得意でね。化粧と演技で“霧島霞”になりすましてたの」

 衝撃に言葉が出なかった。

「本物の生徒会長は、今どこに?」

「敵本陣にいるわ。これが、私たちの本当の作戦。“天位崩壊”。霞を囮にして、敵の中心を探るための大博打よ」

 佐伯の瞳には、一片の迷いもなかった。


 第六章:鼓動の音


「くそ、やられた」と無線機を取り出そうとしていた、その瞬間、僕を押さえつける力が緩んだ。

「いまだ」

 佐伯は僕の声を合図で持っていた拳銃で撃った。力なく倒れる生徒、麻酔弾の効果は物凄かった。

「まだ動けるなら、彼女の応援に行ってあげて」

 佐伯は笑った。疲れ切っているはずなのに、その表情はどこか楽しそうで、いたずらっ子みたいだった。


 僕は駐輪場に着いてバイクにまたがった。

 ――バイク通学、やめないでよかった。

 山道を駆け抜け、敵本陣に向かう。夜風が肌を刺し、エンジンの唸りが鼓動と重なる。


 第七章:井の中の蛙


 敵陣は意外にも静かだった。

 ただの空き校舎のように見えたが、地下へと続く階段を降りると、そこには作戦室のような空間が広がっていた。

 霞は、生徒会役員とそこにいた。全員無事なようだ。

「遅いよ、れん君」

 生徒会長の言葉で佐伯さんが本物の生徒会長を演じていたことが理解できた。容姿を似せるだけでなく内面も偽装するなんて、到底簡単なことではない。

「すまん。渋滞してた」

「嘘つき」

 状況を見るにすでに終わっていた。丘の上高校の生徒会長と思われる人物が椅子に拘束されていた。

 霞は笑った。そして言った。

「終わったと思ってるでしょ。私たち、まだ井の中の蛙なのよ。ここから先は“生き残った学校同士”の戦い。今までの常識なんて、何の役にも立たない」

 この場にいる全員がこれで今日はもう終わりだと思っていた。そうして生徒会長を捕えた状態で外に出たその時だった。

「伏せろ!」

 霞の叫び。直後、外の森から眩い光が走った。

 閃光弾だ。

 他校の敵が、まさかこのタイミングで襲ってきた。閃光に目を焼かれながらも、僕たちは動いた。

 霞は体を低くして銃を構え、僕はその背中を守るように立つ。光の中から現れたのは、水西高校の精鋭部隊。まるで隙間を通り抜ける水のように動くその連中は、一人一人が規格外だった。

「霞、どうする!?」

「今すぐ佐伯に無線を入れて」

 指示を聞いてすぐに実行したが繋がらなかった。

「だめだ!繋がらない」

「電波妨害か。じゃあ、れん君が直接バイクで行って」

「でもここは!」

「早く行って。ここは生徒会で何とか耐えるから、お願い――私を信じて」

 目を見て分かった。彼女は、覚悟を決めていた。だから僕も――走った。背後では、銃声と叫びが夜空を裂いていた。その音はまるで、夜が明ける前の“目覚まし”のように――僕の中の何かを、叩き起こしていた。


 第八章:残響のざんきょうのおり


 僕は校舎の裏から森を抜け、再びバイクにまたがった。

 霞の言葉がまだ耳にいない残っている。「佐伯に状況を伝えて」その意味を、僕は完全には理解していなかった。ただ、彼女のあの目――僕らを信じて疑っていない、あの瞳を思い出していた。

 佐伯と合流する。その一点だけを胸に、僕は夜を裂いて走った。空はまだ夜に染まっていたが、東の地平がわずかに青みを帯び始めていた。

「……夜が明ける」

 静かにそう呟いた時、見慣れない光が前方に見えた。校舎ではない。仮設で作られた巨大な構造物。まるで戦争映画で見るような指令基地のようなそれは、東野高校の臨時拠点だった。そして、佐伯はそこにいた。

「遅かったわね」

 佐伯が振り返った。今までとはまるで違う顔――書記でも、生徒でもない、冷酷な司令官の顔だった。

「水西高校が漁夫の利をしてきて霞たちが持ちこたえてる」

 僕がそう言うと、佐伯はほんの一瞬だけ眉を動かした。

「……そう。なら、あれに乗って」

 彼女が言ったほうを見ると東野高校が使おうとしていたであろう装甲車があった。

「攻撃はできないけど護送に適している。私も行くから運転して」

「ペーパードライバーだけど平気かな」

「事故を起こすときは単独の時にして、鍵は刺さっているから行くよ」


 慣れない運転だったが車で移動するとあっという間に着いた。佐伯は助手席で指示を出してくれている。

「このまま霞たちの前に車を出して」

 銃弾が交差する中を僕は突っ切った。

「乗って」

 皆が傷だらけだった。それでも、彼女は笑っていた。

「やっと来た。遅いよ、れん君」

 全員が車に乗り込んだのを確認して、急いでその場を後にした。

 丘の上高校から離れて森の中を走行していた。車内は疲弊した生徒会メンバーの沈黙だった。

 そのとき、背後でエンジン音が鳴った。

「っ……追ってきた!?」

 僕は逃げ切れないとそう思った。

「大丈夫。私たちの勝ちだよ。速度をもっと上げて」

 佐伯の言葉に僕は言われた通りにアクセルを踏み込んだ。後方車両との距離が広くなる。

「ここだ」

 瞬間、閃光とともに森が爆破された。

 佐伯の仕掛けた罠だった。

 木々の崩壊と同時に、気配が途切れた。

 後部座席で霞はため息をついた。

「……終わった?」

 佐伯が、小さく笑った。

「“第一段階”が終わっただけ。これからは、生き残った学校たちで本当の戦いが始まる」

 霞も、静かに笑った。

「そうだね。でも――少なくとも、今日はもう戦わなくていい」

 僕たちは肩を並べて、空を見上げた。

 目の前には、新しい“戦場”が待っている。けれど今はただ、この狭い空間に安全が保障されてことに感謝していた。




 夜が明けた。

 でも、本当の“朝”は――まだ、遠い。




 戦いの翌日、校舎の中には妙な静けさが漂っていた。

 校庭には焼け焦げた土と、崩れかけたフェンス。

 けれど、そこに集まった生徒たちは、どこか誇らしげに笑っていた。

「……生き延びたんだな」

 僕はそう呟きながら、誰もいない教室の窓際に立っていた。

 霞と佐伯は、生徒会室で新たな報告をまとめている。丘の上高校を退けた“春煙高校”は、政府の中央ネットワークに正式な「勝者」として登録された。防衛ラインを突破された他校は、次々と解体の道を辿っていた。

 ――でも、それは勝利なんかじゃなかった。

 僕らが守ったのは、“たったひとつの小さな居場所”に過ぎない。

 日本中ではまだ、数えきれない戦いが続いている。死者の報告は、日を追うごとに増えていた。そして、政府からの新たな通達が届いた。

 《次の段階に進む。生徒会長戦争は縮小し、“代表会議”の形式を取る。選ばれた生き残りの生徒会長は、中央議事堂に集まり、新たな学校制度を定義せよ》

 霞はその紙を睨みつけるように読み、静かに言った。

「結局、こうなるのね。“殺し合い”から、“頭脳戦”へ。今度は笑顔で、刃を向け合う時間が来るってこと」

「行くのか?」僕が尋ねると、「当然よ」と、彼女は即答した。「この学校を守るには、私が“議会”に立たなきゃいけない。今度は、言葉で殺し合うの」

 佐伯も背後で頷いた。

「今度の敵は、戦場の外にいるわ。表向きは“協議”って名前だけど――中身は毒を含んだ政治ゲームよ。どんな甘い言葉で“統廃合”の順番を決められるかの、ね」

 霞が静かに目を閉じた。

「……行ってくる」

「僕も行く」思わず口にした。

 霞が少しだけ驚いた顔をした。でも、すぐに笑った。

「ありがとう。でもこれは、私の役目よ」

「違う」

 僕はゆっくりと首を振った。

「これは“俺たちの戦い”だ。霞が背負うには重すぎる。僕は、背中を預けてもらった。今度はその背中を、僕が守る」

 ――少しの沈黙のあと、彼女は小さく笑った。

「……意外にも人情深いのね。れん君」

「そうかもね」

 僕は不器用に笑い返した。


 春煙高校の正門を抜けるバスに、霞と佐伯、そして僕が乗り込む。

 目的地は、都心の外れにある“中央議事堂”。

 生き残った学校の生徒会長たちが一堂に会する、初めての場。

 乗車の直前、霞がふと振り返って言った。

「……言っておくよ。私は、生徒たちが嫌い。でも、“この学校”は好き。だから、絶対に負けない」

 その言葉に、僕は頷いた。

 バスが走り出す。車窓には、かつて隣接していた東野高校の廃墟が映っていた。もうそこには、誰の笑い声もなかった。けれど、僕たちは確かに風穴を開けた。


 無理矢理閉じられた世界に――一筋の、風が通る穴を。

 その先に、まだ希望があると信じている。


 第九章:偽りの議席


 中央議事堂は、かつて政府機関が使用していた大理石造りの建物だった。

 今はその一部が「生徒会長戦争」の“次なる舞台”として利用されている。

 そこには、全国で勝ち残った十数校の生徒会長が集められていた。

 正面に並ぶ議席の中央、黒い制服を纏ったひとりの少女が、冷たい目で全体を見渡していた。

 彼女の名は――綾城あやしろ 結璃ゆうり。かつて関東第一高校で伝説的な“粛清”を行った生徒会長だった。

「では、本会議を始めましょう」

 綾城の声は柔らかく、それでいて無慈悲だった。

 議席の一番後ろに座る霞は、小声で僕に呟いた。

「……あの子、知ってる。噂では“交渉の天才”って呼ばれてた」

「けど、やり口は“毒”だ」佐伯が鋭く付け加えた。「相手の弱みを突き、必要なら裏で手を回す。今回は――“合法的な殺し合い”だと思ったほうがいい」

 開会の挨拶が終わると、各校の代表が次々と“存続案”を主張し始めた。


「ウチの学校は地域支援が強く、自治体からの後押しもある。残すべきだ」


「我が校は文化面で日本を代表している。廃校にすれば国の損失になる」


 会場は、綺麗事と権力争いで渦巻いていた。

 まるで“正しさ”を語る仮面の奥に、それぞれの野心が見え隠れするようだった。

 霞はまだ、発言の機会をうかがっていた。そのとき、綾城がふと笑った。

「春煙高校の代表、霧島霞さん――あなたの意見を聞かせてほしい」

 場の空気が静まり返る。霞は立ち上がり、ゆっくりと言葉を紡いだ。

「……私は、自分の学校を守ることしか考えていません。他の学校を守るつもりも、平等にするつもりもない」

 どよめきが広がった。

「ただひとつ、約束できるのは――私たちは、手段を選ばないということです。綺麗事だけで生き残れるなら、そもそもこの戦争は始まっていません」

 彼女の声は、穏やかで静かだった。だが、その目だけは――誰よりも鋭かった。

 綾城は微笑んだまま頷いた。

「……面白い意見ね」

 そして議会は、初日の終了を告げる鐘とともに閉じられた。


 夜。議事堂に割り当てられた仮宿舎で、霞は窓の外を見ながら呟いた。

「“綾城”が黙ってるのが一番怖い。彼女、最初から“票”を操作するつもりなんだわ」

「どうやって?」僕が問うと、佐伯が淡々と答えた。

「弱みを握って、票を買収して、連携校を潰す。最終的に“自分の学校が中心になるような制度”を作る。それが、あの子のやり方」

 霞は腕を組んだまま、ふと笑った。

「だったら、先に刺しておこうか。“あの子”が最も恐れていることを」

「……なに?」

「“本当の居場所”を持ってる人間は、脅しに屈しない。だから――こっちが示すの。“覚悟”を」

 その目に浮かんでいたのは、もう生徒会長のそれではなかった。リーダーでも、指揮官でもない。ただひとりの少女が、誰にも奪わせたくない“居場所”を守ろうとする意志だった。

 次の日。再び始まる議会で、春煙高校の名前は、“最も危険な存在”として議題に上がることになる。


 第十章:零れた仮面


 二日目の議会が始まる朝。

 霞は、目を閉じたまま深呼吸をしていた。昨日の発言で、春煙高校は“危険視”され、標的として認識された。でもそれは、彼女の狙いでもあった。

 議事堂の扉が開き、生徒会長たちが次々と着席していく。そのなかで、綾城結璃の姿だけが少し違って見えた。昨日の余裕に満ちた仮面に、ほんの少しだけ――ひびが入っていた。

「本日最初の議題は、“統合するべき学校”の選定です」

 進行役がそう告げると同時に、各校の代表たちは“他校を切り捨てる理由”を次々と並べていった。


「資源が足りない」「地域性が薄い」「歴史的意義が乏しい」


 そのすべてが、ただの“処刑理由”に聞こえた。

 霞は静かに立ち上がった。

「皆さんの中には、“生き残るために他校を切り捨てる”という意見もあるようですね」

 彼女は、誰かを責めるでもなく、責任を押し付けるでもなく、ただ真っ直ぐ言葉を紡いだ。

「けれど、私は思います。そんな理由で切られる子たちに、“未来”があるのかって」

 一瞬、議場が静まり返った。

「私は、“他の学校を守るつもりはない”と言いました。でもそれは、私が“この学校のためにしか命を賭けられない”という意味です。……あなたたちは、自分の学校に命を賭けられますか?」

 重い沈黙。誰も即答できなかった。そのとき――綾城が立ち上がった。

「あなたの言葉は、美しくて、空っぽだわ」

 淡々と、だが鋭く彼女は言った。

「結局、理想を語っても、私たちは“勝者”を決めなければならない。誰かが落ちて、誰かが残る。それが現実。違う?」

 霞は一度だけ瞼を伏せ、そして目を開いた。

「……違わない。だからこそ、私はその現実に立ち向かいたい」

 次の瞬間――議事堂の壁に設置されたスクリーンに、映像が流れた。それは、綾城結璃が数校の代表に「裏取引」を持ちかけている映像だった。“議決の票”を売る代わりに、情報と安全を提供する。その内容が、生々しく公開された。

「何……これは……誰が流した……!?」

 綾城の瞳に、初めて明確な焦りが浮かんだ。

 霞は静かに言った。

「この議会には、第三者の目がある。私たちだけの場じゃない。“新しい学校制度”を作る場に、嘘や裏切りは必要ない」

 綾城は怒りを押し殺しながらも、椅子に腰を下ろした。

「……やるわね、霧島さん。まさかここまで手を打ってくるなんて」

 霞は微笑んだ。

「私は、あなたみたいに天才じゃない。でも、“信じるもののために動ける”馬鹿ではいられるの」

 仮面が、音もなく落ちた。

 綾城の完璧だった“支配の構図”に、最初のほころびが生まれた。

 その夜。宿舎に戻った僕は、霞に尋ねた。

「……あの映像、いつ仕込んだんだ?」

「仕込んでないよ。向こうが勝手に“油断”しただけ」

 霞は、疲れたように笑った。

「……だけど、ここからが本番。綾城結璃は、これで終わるタイプじゃない。きっと“私たち”の内側に手を伸ばしてくる」

「つまり――裏切り者が出るってことか?」

「ええ。そして、それはたぶん……もう、始まってる」

 霞は月を見上げ、静かに言った。

「“本当の戦争”は、今からよ」


 第十二章:落とされた駒


 その夜、議事堂の廊下には冷たい風が流れていた。


 春煙高校の宿舎に戻った僕たちは、交代で見張りをしながら、浅い眠りを繰り返していた。

 霞は寝ずに、机の上で資料をめくり続けている。その目は血走っていたが、鋭さは一切失っていなかった。

「……君も少しは寝たらどうだ」僕が声をかけると、霞は首を振った。

「敵の次の手が読めないのよ。綾城が“正攻法”で来るはずがない。きっと、私たちの内側に、もう“誰か”が入り込んでる」

 そう言いながら、霞は一枚の紙を机に広げた。春煙高校に与えられている“区域警備の担当表”。その欄外に――知らない名前がひとつ、書き足されていた。

「……この子、誰?」

 僕もそれを見て、眉をひそめる。

「……うちの生徒じゃない。名簿にもいない」

 霞は即座に、仲間を呼び、宿舎内の確認を始めた。そして――二階の倉庫にて、制服姿の“知らない生徒”を発見した。

「誰だ」佐伯の声が鋭く響く。

 だがその生徒は動じず、口角を上げて言った。

「……春煙高校の内情、じっくり見せてもらいました」

 その瞬間、床に仕掛けられていた小型爆発装置が作動――眩い閃光とともに倉庫が爆ぜた。

 僕は霞を庇いながら崩れた棚の陰に飛び込んだ。

 数秒後、爆発の余波が収まり、辺りには焦げた木材と、煙が立ち込めていた。

 ……逃げた。間違いなく、スパイだ。

 霞は咳き込みながら立ち上がった。

「……あれが、綾城のやり方。直接手は汚さない。でも、確実に中から壊しにくる」

 佐伯は通信端末を叩きながら言った。

「非常線を敷く。宿舎のデータも洗い直す。裏切り者が誰かは、必ずあぶり出す」

 霞は、そんな彼にぽつりと呟いた。

「……でも、一番怖いのは“心”の裏切りよ」

 佐伯が目を細める。

「……誰か、信用していた奴が――裏切る可能性がある、ってことか」

 霞は目を伏せて、静かに言った。

「ううん。もう、確信してる。たぶん――“あの子”よ」

 その言葉の先には、僕の知らない名前があった。


 翌朝、生徒会室に一通の封筒が届いた。中には手書きのメモと、一枚の写真。それは――生徒会役員のひとりが、綾城陣営の生徒と密会している様子だった。

 霞の手が震えていた。

「……やっぱりか」

 彼女はしばらく黙った後、静かに言った。

「呼び出す。直接、“話”をする」

 そして、部屋の空気は、どこまでも重くなっていった。

 裏切り。

 信用の喪失。

 そして、春煙高校の“絆”が、音を立てて崩れかけていた。

 けれど――霞の目は、決して折れていなかった。

「それでも、私は信じる。戦いを通じて得た“繋がり”は、偽りじゃないって」

 彼女の中の炎は、まだ消えていない。むしろ、さらに強く、熱く燃え始めていた。


 第十三章:名前を呼んだ夜


 校舎裏の小さな倉庫室。

 霞は一人の生徒と向かい合っていた。

 名前は沢渡さわたり ひとみ。生徒会会計で明るく無邪気な性格であり、時に霞の無理を止めてくれる数少ない存在――だった。

 その彼女が、綾城と接触していた。決定的な証拠。それでも、霞は感情を押し殺して言った。

「……理由を、聞かせて」

 瞳は黙っていた。まるで、黙ることで何かを守ろうとするように。だが沈黙は、否定にはならない。

「あなたが私に笑ってくれたあの日のことを、今でも覚えてる」

 霞の声が少しだけ震えた。

「私は誰にも信じられてないって思ってた。でも、あなたは最初に“仲間”として声をかけてくれた」

「……それが偽りだったなら、どうして、私なんかに?」

 瞳はそこで、口を開いた。

「偽りじゃなかった……」

 それは、小さな声だった。けれど、確かな音だった。

「私は……あなたに憧れてた。本当に。生徒会長として、強くて、誰の声にも耳を傾けて、冷たいようで、優しくて」

「じゃあ、なぜ……」

「だからこそ、壊したかったの」

 霞の呼吸が止まる。

「……どういうこと?」

 瞳は瞳を伏せたまま言った。

「……私は、あなたになれなかった。でも、近くであなたを見てきた。あなたが無理して笑うときも、本当は泣きそうなときも。そんなあなたが、みんなに“光”として見られるのが……悔しかったの」

 霞はゆっくりと目を閉じた。

「綾城に近づいたのも、自分の居場所が欲しかったから?」

「……うん。綾城さんは言ってた。“君は利用されるだけの駒じゃない。役割を与えてあげる”って。私、救われた気がしたの……」

 その言葉に、霞はゆっくりと立ち上がった。

「……瞳、あなたは敵じゃない。傷ついて、居場所を探して、間違えただけ」

 瞳が顔を上げる。目に涙をためながら、必死に言う。

「……許してくれるの?」

「違うわ」

 霞はその瞳を見据え、静かに首を振った。

「許すかどうかは、今からの“あなたの選択”次第」

 一瞬、空気が張りつめた。

「……明日、綾城が動く。内部からの情報を信じれば、春煙高校に“決定打”を打ちに来る。あなたが私たちの味方に戻るなら、それを止める手伝いをしてほしい。それが、償いの始まりよ」

 瞳は震える手で涙を拭った。そして、絞り出すように言った。

「……うん。私、やり直したい。もう一度、霞の隣に立ちたい」

 霞は微笑んだ。あのときの、あの小さな笑顔で。

「おかえり、瞳」

 その言葉が、夜に溶けていった。一度は落とされた駒が、もう一度盤上へと戻る。


 夜――僕は霞と共に行動をしていた。

「屋上でなにをするつもり?」

 霞は少し微笑んで、言った。

「名前を、呼びたくて」

 僕は少し戸惑って、「誰の?」と聞き返した。

 そのとき霞は、確かにこう言った。

「……“自分の”名前よ。霧島霞。私はまだ、ここにいるって」

 そうして僕らは、また戦場へと戻っていった。


 第十四章:闇夜に射す一閃


 春煙高校を包む闇はいつもよりも深かった。

 月は雲に隠れ、星さえも顔を出さない。

 沈黙は張り詰め、風の音すらも切り裂くほどの緊張が走っていた。

 校舎裏の森で、佐伯が無線を握りしめていた。

「……来る。南東の境界線。複数の熱源を確認」

 霞の声が、低く響く。

「全員、配置につきなさい。想定より早いわ。綾城、私たちの出方を見ていたのね」

 校内は静かだった。だがその静けさの中に、確かな“覚悟”が満ちていた。裏切りを経て、痛みを越えて、なお残ったもの――それは確かな“繋がり”だった。

 霞は階段を登りながら、無線に向かって言った。

「この戦いで、私たちのすべてが試される。けれど、それでも私は信じたい。私たちが積み重ねてきたものは、ただの幻想じゃないって」

 瞳の声が応じた。

「霞、私、前より強くなれる気がする。あなたの名前を呼んだから――私はもう、誰にも嘘をつかない」

 僕はその言葉を聞きながら、手の中の模造刀を握りしめた。

「来るぞ――!」

 森の中から現れたのは、制服に身を包んだ綾城の部隊。

 霞は屋上からメガホンで叫ぶ。

「綾城高校の皆さんへ告げます。この戦いは、ただの力比べではありません。“生き残る意味”を示す戦いです。あなたたちの信じるものが、私たちを倒せるか、確かめてみなさい!」

 沈黙の中、一歩前に出た者がいた。

 銀色の髪、細身の体――綾城高校、生徒会長。ひいらぎ 綾城あやしろ

 静かに、だが確実に足音を響かせながら、前線に立った。

「……いい声だったよ、霧島霞。君の信念は立派だ。けれど、それは戦場では“甘さ”になる」

 その目に宿る光は、狂気ではない。ただ、あまりに“冷たい”だけだった。綾城が手を上げた瞬間、校舎の各所で爆発が起きた。

「っ――伏せろ!」

 けたたましい爆音と共に、地面が揺れ、光と煙が立ち上る。春煙高校の防衛線は、綻びを見せ始めた。

 だが――そのとき。

「みんな、耐えて!」

 霞の声と共に、照明が一斉に切り替わった。校舎の屋上から、まばゆいフラッシュライトが照らされる。

「暗視ゴーグル部隊、突入!」

 霞の作戦だった。闇に慣れた綾城の部隊に、強制的に“光”を浴びせ、目を潰す。その隙を突いて、数名の突撃班が前線に飛び出した。


 校内でも争いの音が聞こえていた。

「数名に防衛を突破されました。屋上に向かっているはずです」

 無線での連絡が途絶えるよりも先に屋上の扉が開いた。

「随分と速い到着ね」

「敵陣の構造を把握しておくのは当然のことだろう」

 霞と綾城が向き合っていた。

「“光”と“闇”の戦い……なんて安っぽいね。でも、それでいい」

 綾城がナイフを構える。

 霞は素手のまま、一歩、足を踏み出す。

「私にとっては、本物よ。だって――ここには、“名前”を呼んでくれる人がいるから」

 その言葉に、綾城が一瞬だけ眉を動かした。

「……そうか。じゃあ、壊しがいがある」

 二人の戦いが、始まった。


 第十五章:光のもとに、我ら立つ


 僕は綾城と共に来た生徒の相手をしていた。相手はスタンガンを持っていたが近距離戦は得意であった。

「相手が悪かったな」

 僕は最後の一人を倒して霞の加勢をしようとした。

「私一人でやる」

 一瞥もせずに彼女はそう告げた。

 屋上で交差する視線。霞の目は静かだった。だがその奥底には、燃えるような意思が宿っていた。一方、綾城の目は凪のようだった。波風ひとつない、研ぎ澄まされた無表情。

「君の言葉は、綺麗すぎる。理想だけじゃ、何も守れないって、まだ気づかないのか?」

「……理想を語らずに、何を守れるの?」

 霞が静かに返した。

「私は“正しい”ことを言ってるつもりはない。ただ、目の前の人のために立ちたい。それだけよ」

 綾城の表情が、かすかに崩れた。

「なら――消えてもらう!」

 一閃。

 ナイフが霞の肩をかすめ、血が滲む。

 だが霞は、一歩も退かない。

「……それが、君の“覚悟”なのね」

 霞は防御もせず、綾城の正面に立ち続けた。

「私は今、誰かの名前を呼ぶことができる。そして、誰かに呼ばれている。それだけで、私は強くなれる」

 その瞬間、風が吹いた。

 霞のポケットから、紙が一枚、舞い上がる。細かくは見えなかったが写真のように見えた。

 綾城の目が、それを追った。

 一瞬の隙。霞は足を踏み込んだ。

「……っ!」

 拳が、綾城のみぞおちにめり込む。

 ナイフが地面に落ちる音がした。霞は肩で息をしながら、言葉を絞り出す。

「それが……私のすべてよ。私はもう、強がる必要なんてない。だって、守りたい人がいるから」

 綾城は膝をついた。その瞳に、初めて“人間らしい”色が戻っていた。

「やっぱり……本気で言ってたんだね」

「当たり前よ。私にとっては、これが“生き残る”ってことだから」

 上空に――政府のドローンが浮かんでいた。


 《春煙高校、最終評価を開始》


 《敵勢力、戦闘不能確認》


 《春煙高校、生存権確保。統廃合対象外》


 校庭に、静けさが戻る。

 誰かが崩れるように座り込み、誰かが涙を流し、誰かがただ空を見上げていた。

 霞がゆっくりと僕のほうに歩いてきた。肩には血が滲み、痛々しかった。

 僕は、立ち尽くしたまま彼女を見た。

 霞が、言った。

「……これが、私たちの選んだ道よ。間違ってたとしても、誰かの手を取って進んだ、その足跡が、証になる」

 僕は頷いた。

「……終わったのか」

「いいえ」霞は微笑む。

「“始まった”のよ。これからが、本当の学校の時間」

 空が、ゆっくりと明るくなっていった。

 夜明けとともに、戦いは幕を閉じた。


 第十六章:そして、朝が来た


 空が白み始めた校庭には、かすかな風と、火薬と土の匂いが残っていた。

 あの激しい戦いが嘘のように、静けさが支配していた。

 僕は、霞の隣に座っていた。

 彼女は血の滲んだ制服のまま、空を見上げていた。

「……朝日って、こんなに綺麗だったっけ」

 霞がぽつりと言った。それは、どこか子供のような無邪気な声音だった。

「……綺麗だよ」

 僕も空を見上げながら答えた。

 戦いに勝った。春煙高校は、生き残った。だが、誰も“勝った”という実感を持ってはいなかった。

 僕らはあまりに多くのものを失って、そして初めて“得た”。

 名前を呼び合える関係。

 寄り添い、信じ合える時間。

 心の中に残る痛みと、それでも前を向こうとする決意。

 霞が立ち上がった。

「私は、これから本当の“生徒会長”になる。戦うためじゃなくて、生きるために」

「それって、どういう意味?」

 彼女は振り返って笑った。

 それは、どこか“少女”らしい、年相応の微笑だった。

「教室に、ちゃんと戻るってことよ。君も、ちゃんと隣に来てよね」

 瞳がその隣に現れた。

 制服はボロボロだったが、顔には晴れやかな表情が浮かんでいた。

「私、もう逃げない。……霞の隣に立つって、そう決めたから」

 霞は頷いた。

「ありがとう、瞳。……それと」

 僕の方を向いて、言った。

「あなたも。名前、呼んでいい?」

「……うん」

「れん君。――ありがとう」

 僕は、ゆっくりと頷いた。


 春煙高校の生徒たちは、少しずつ校舎の中に戻っていった。

 片付けを始める者、教室を掃除する者、壊れた椅子を直す者。

「先生がいなくても、できるんだな」

 そんな声が、どこからか聞こえてきた。

 政府のドローンは、空に音もなく浮かび、こう告げた。


 《春煙高校、復興計画フェーズへ移行》


 《支援物資、順次配布開始》


 霞はそれを見上げ、静かに言った。

「私たちは、まだ試されてる。でも、もう恐くない。だって私たちは、ここにいるから」




 いつもの生活が戻りかけてきた頃、僕は校舎の屋上にいた。

 あの夜、倒れた仲間たちの名前を、心の中で呼んでいた。戦いの末に、守られた場所。ここは、もうただの“学校”ではない。

 夢を語る場所。

 名前を呼び合う場所。

 誰かと共に、生きていく場所。

 霞の声が、遠くから届いた。

「れん君! 今日から、朝の会あるからね!」

 僕は苦笑して、立ち上がった。

「……はいはい、生徒会長」


 空は、雲ひとつなく、ただ青く広がっていた。

ここまで『学校略奪』を読んでくださって、本当にありがとうございました。


書き進めていくうちに浮かび上がってきたのは、

戦いの中でもなお、誰かの居場所を守ろうとする人たちの姿でした。


生徒会長・霧島霞の孤独と決意。

彼女を見つめる“僕”の、静かな変化。

その背後にある個々の思惑や傷、そして、選ばれなかった人たちの物語も、

すべてがひとつの“学校”を形づくっていました。


誰かを守ることは、ときに痛みを伴います。

それでも人は、誰かのために立ち上がることができる。

そんな強さと脆さを、この物語に少しでも込められていたなら嬉しいです。


そして第一部は、まだ「始まり」にすぎません。

ここから先、彼らはより過酷な現実と向き合い、

ただの学校戦争では語りきれない、国と心の深層へと踏み込んでいきます。


“生き残る”だけではなく、“どう生きるか”。

その問いに、彼らがどう答えるのか――

好評でした第二部も創作します。どうぞ見守ってください。


最後まで読んでくれたあなたへ。

ほんの少しでも、この物語が心に残ったなら、

それ以上の喜びはありません。

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