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ドッペルゲンガー:異世界転移は人攫いの手段  作者: デューク・ホーク
【第3章】魔法使いたちの事件簿
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「そうだ、悪役令嬢ブレダを殺そう」②

   2/ネクロマンサー・シーラによる最初の事件解決



 僕の爆発という能力は、ストレスでアドレナリンが過剰分泌された自分の苦しみの可視化だと思っています。それが溜め込まれず爆発できることは素晴らしく、前向きに人を殺せます。


 リスペリドン(精神薬)を飲むと副作用が酷くて、なかなか飲めない自分にとって、怒りという感情は身の破滅です。ですので、誰にも気づかれない爆発は有意義に使わなくては。




   *      *




 悪役令嬢の名前はブレダ。


 ネクロマンサーになってしまったヒロインはシーラ。


 僕の名前は「シャルル・ランビエール」と言います。もちろん、科学世界の日本にいた時の名前は別ですが、今更記すまでもないでしょう。




 僕はシーラに生徒A「アーバイン」が死んだ理由を着色して話しました。


 殺人事件の登場人物は3人


◇悪役令嬢ブレダ

◇女生徒A「アーバイン」

◇女生徒B「ベーガー」


 アーバインとベーガーはグレタの取り巻きで、よく3人組で行動していました。


 着色したストーリーは置いておいて、僕が実際に関わった事件の概要を先に伝えましょう。


「令嬢ブレダと取り巻き」の3人は共に似た思想を持っていました。貴族主義です。シーラのことを「血筋はいいのに庶民に対してヒーロー気取りのいけ好かないやつ」と評していました。


 僕の癖で言えば、ブレダはルックスが性癖ドンピシャなので問題なかったのですが、アーバインは(美人だが)それほど癖には刺さりません。アーバインが庶民に悪口を言っていた際、僕は不用心にも鼻でため息を着てしまいました。アーバインに聞かれてしまいブレダにチクって陰口をしたので、僕はムカついて殺しました。




 顔の1部を爆発させて殺したのですが、その後すぐもう一人の取り巻きベーガーの買う魔獣ワイバーンが顔面を思いっきり噛んだので、アーバイン殺害はバレませんでした。


 まあ、僕はわざとアーバインをエサのようにワイバーンの方へ差し出していたのですがね。


 大事な点は、「ワイバーンがなぜ噛むと確証を得ていたか?」という点です。ベーガーは表向きアーバインと仲良くしていましたが、彼女はレズビアンで、ブレダとより長い時間過ごしていたアーバインに嫉妬していました。ベーガーはアーバインを模した人形をワイバーンを使って八つ当たりしていました。

(それが魔法捜査局や学校の教師たちバレないかビクビクしていたようです。)


 僕はワイバーンの八つ当たり光景を直接見ました。なぜ都合よく見れたか? それは人形が関係しています。


 僕は不要な殺しをしないように、人形師の工房に通い購入したり師から技術を模倣して人形を自作していました。ある日、工房でいつものように見学していると、ベーガーも通っていることに気づきます。


「おや、ブレダ様のご友人、ベーガー様ですね。あなたも人形がご趣味で?」私は話しかけました。


「ああ、ええ、まあ」ベーガーはこの上なく歯切れの悪い返答をするのみです。


 気になってちょっと調査したらすぐわかりましたよ。ベーガーがアーバインの人形を師に作らせて購入したとね。




 ベーガーはアーバイン本人の訃報を聞いて、ただ友人が死んだ以上の不自然な動揺を見せました。ワイバーンが事故で噛んだのではなく、普段の習性化が原因で本物を噛み殺してしまったと思っていました。


 実際は僕がちょっと演出を加えています。


 僕は陰口が基本は嫌いですが、アーバインをワイバーンの元に「あたかもアーバインが自主的に」向かうように仕向けるため、人形のことを本人に伝えました。実際に自分に似せた人形にアーバインが驚愕しているタイミングで、背後から、ある程度距離をとって爆破してみせました。




 以上が事件の真相。


 僕はシーラにネクロマンシーでアーバインの記憶を読ませても構わないか少しばかり悩みました。


「(記憶を読ませても、僕はアーバインに人形のことを伝えただけだ。アーバインは本人の意思でワイバーンの元に向かっている。ネクロマンシーで死体を喋らせても、僕が人形のことを本人に教えた情報より、ベーガーのことを優先して語られるだろう)」僕は確信しました。


 また、「背後からの爆発」と「噛み殺し」を区別できるとも考えられません。アーバインは「ベーガーがワイバーンでストレス発散していること」が念頭にあったはずで、自分の死因は当然ワイバーンを想起しているだろうと考察します。




「――どうだろう。アーバインの無念を晴らしてあげたくないか?」僕は自分の関わっている部分をすっとばしてシーラに事件の内容を伝えました。


「……1日待ってください」シーラはそう言いましたが、表情を見るに深層では決心しているようでした。




   *      *




 翌日、午後。


 僕とシーラの2人によって、墓の前に葬式参列者が再び集められました。(昨日は事故だったが)今度はシーラ自身に意思によってアーバインをネクロマンシーで操りました。


 聴衆の中には「悪魔!」「穢らわしい」などと罵る者もいましたが、シーラのネクロマンシーで何とか(たどたどしくも)死せるアーバインがベーガーの人形への八つ当たりのことを語ると、聴衆の関心はシーラからベーガーへと移りました。


 ベーガーは泣きわめいてその場に崩れ落ち「事故だったんです、事故だったんです」とひたすら繰り返して、学園の教師やランビエールが呼びつけた魔法捜査官に拘束され留置されることになりました。




   *      *




 この一件でシーラは(まだまだ怪訝の視線もありつつ)一定の名誉回復がなされました。彼女は自分の顕在化した能力に戸惑っていますが、僕はその状態を見て「いい兆候だな」と思っています。このまま死者の身体をいじることに抵抗がなくなって行くことを望んでいます。


 ありがたいことに、僕はシーラとグレタ両名から信頼を得ることができました。


 特に令嬢グレタは取り巻き2人が相次いで居なくなったことで、本来3番手だった僕(側近のランビエール)に急激に依存していくようになりました。


「どうか、あなたは裏切らないでくださいね」ブレダは僕に懇願します。


「シーラに真相を暴くよう説得したのは僕ですよ」そう返答しましたが、直接「裏切らない」と口に出来なかったです。殺人に対するストッパーが無くなっているとはいえ、極力嘘はつきたくありませんでした。




 僕にとって一番大事なのは、このシーラのネクロマンシーを有効活用すること。僕自身が間近で観察してネクロマンシーを学習できるか、シーラの倫理観を壊してブレダを殺した後進んで遺体を操りたくさせるよう教育できるか。まだどちらに転ぶか分からないですが、今後が楽しみです。

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