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ドッペルゲンガー:異世界転移は人攫いの手段  作者: デューク・ホーク
【第1章】異世界転移の悪用:人攫い
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竜騎士 対 人工竜人 ②

 ある雨の日、ボクは民の依頼で魔獣討伐をしていた。ハントした魔猪は食することができる種類だったので、「今日はシチューにしようかな」なんて独り言ながら、猪を抱えて自宅の平屋へ雨に打たれながら歩いていた。


 自宅が見えてくると、そこに知人がいることを認めた。玄関先で同じく雨に打たれながら、ボクの帰りを待つ来訪者だ。


『多世界転移管理局』の捜査官、ルージュ・フイユである。






「夜も暗くなってきた頃に済まない。しかし竜騎士の助けが必要なんだ。既に村人が3人犠牲になっている」ルージュはずぶ濡れの中玄関に立っていた。


「構わないよ。大雨に落雷で天井が雨漏りしれしまって、どうにも今日は寝れなそうだ。どうしたものかと思ってたところで討伐依頼があったから、一狩りしていたところなんだ。まあリビングは比較的漏れてないから、上がって暖炉の前で服を乾かし、コーヒーでも飲んで待っててくれ。15分くらいで支度する」






 ルージュ・フイユは現在捜査課をしている。

 魔法世界の王政クヴァンツ王国に位置する国立機関「パラレルエージェント/多世界転移管理局」の創立メンバーにて、上級捜査官エージェントだ。


 管理局の内容は多岐に渡り、名称そのまま『世界間の転移』に関する多くの事象に関わっている。

①魔法使いによる儀式召喚の申請、

②事故や妖精のイタズラで魔法世界に迷い込んだ「非魔法使い」の保護や仕事斡旋、福祉、……そして③「異世界転移・転生に関する悪質な犯罪」の捜査。


 特に捜査部隊を『パラレルエージェント』と呼称して、日夜悪徳魔法使いの転移・転生を取り締まっている。


 ボクは正規職員ではなく竜騎士として管理局と協力関係を結んだ。この日も、ルージュは事件解決に竜騎士の助けが必要と考えて、ボクに会いに来たのだ。





 


 ボクが騎士用の(機動性抜群の)鎧に着替えてる間に、彼は書類を引っ張り出して状況を説明しはじめた。


「今回調査するのはルイズ村に住む『レオン夫妻』だ。夫はドム、妻はユリア。ドム氏は猟師、そして狩りした動物や魔獣の骨を加工販売する営みで日々暮らしていた」


「つまりはボクの日課とそう変わらないわけだ」ボクはハンターでもあるからね(娯楽でハントはしない派閥である)。


「夫人ユリアは2年前に死亡した」ルージュは適当に相槌をうって報告を続けた。「理由は『病弱』と言われている。しかし、数週間前から亡くなったユリアに瓜二つの人物が主ドムが共に歩いているのを村民複数人から目撃されている。ドム氏は全然社交性がない人物なので、本人確認できる空気でもなく、怪談話として噂は瞬く間に村中に広まった。『幽霊がドム氏に取り付いている』ってね」


「幽霊が並行世界から連れてこられたユリアじゃないかの調査ってことか。『魔獣狩猟』と関連はあるのかい? あんまり、竜が関わってくる話と思えないけど?」


「昨日、ドム・レオン氏がユリア夫人に"食い殺された"らしい」ルージュは手に持った書類を机に放り投げた。


「……まじ?」


「3人の村民が村の西側にある霊園に墓参りに行き、日の落ちた頃、ユリア夫人の墓近くで『その光景』を目撃した。3人はあまりの恐ろしさに当然逃げ出したが、2人は間に合わず無惨に殺された。1人だけ、命かながら村の自警団宿まで辿りついて、何とか命拾いした。あたりを警戒しながら自警団が十数名集まって霊園と自警団宿の間の道中を確認したところ、2名分の死体が以下の状況で見つかった。大きい牙と鉤爪で引き裂かれたような傷を負ってバラバラになっていた」


「生き残った1人は具体的にその光景をどう語ったんだ?」


「……『ユリア夫人の肌が半分以上爬虫類の肌のように変異しており、火を吐きドム氏を燃やしながら食した、あんなに恐ろしい場面ははじめてだ』……だそうだ」


 ボクは鎧のベルトを締め、ドラゴンと戦うための槍を担いだ。準備の最終段階であることはルージュも知っているので、槍を担いだ段階でコーヒーを一気飲みし、椅子から立って玄関まで足早に駆けていった。

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