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ドッペルゲンガー:異世界転移は人攫いの手段  作者: デューク・ホーク
【第1章】異世界転移の悪用:人攫い
16/74

テーブルは三角形 ①

登場人物


レギュラー:

◇タツキ・ドラゴネッティ - 竜騎士 一人称ボクの女性 語り手 ろう者(耳の聞こえない人)。

◇ルージュ・フイユ - 魔法使い ナルシストな男性 多世界転移管理局のエージェント。

◇ハロルド・バルト - 多世界転移管理局の新入り1年目 ルージュと魔法大学の同期

New!◇カエデ・フイユ - ルージュの妹 社交界の芸人

New!◇ピエレッタ・グノー - カエデの友人 カードの名手 事件の被害者


本話ゲスト:

◇ギルマン - カードゲーマー 犯人の恨みを買った被害者

◇コルサコフ - 容疑者 カードゲームオンブルのカモ(素人)

『拝啓、カエデ様。この度、ギルマン家の邸宅にて催される『娯楽殺人集会』に参加して頂きたく、筆を執らせて頂きました。"オンブル"の名手である貴方は当然参加していただけると存じます。日時はXX月YY日ZZ時。くれぐれも時間厳守でお願い致します』


 早朝、郵便受けから取り出した見知らぬ差出人の手紙を読んだカエデという女性は、手紙と共に同封された『両足を切断され泣き叫ぶ友人』の写真を見て、青ざめてその場で腰を抜かし動けなくなってしまった。




   *      *




 パラレルエージェントの物語を読んでくれている読者諸君は『オンブル』というトランプゲームを知っているだろうか。このゲームの歴史は『科学世界』と『魔法世界』でそれぞれ違うのだが……ルールが日本ではあまり認知されていない『トリックテイキング』というジャンルなので、詳しく説明するとそれだけで1話使ってしまう!


 ……あ、ページをパラパラと飛ばさないでくれ!この『オンブル』というゲームと事件が同時進行で進んで行くのだが、ゲームのルールは知らなくてもしっかり状況が理解できるように記録した。


 だから、気にせず読み進めて欲しい。


 ただ、以下のことは把握しておくとよい。

『いくつかのトランプゲームは、3人が最高のゲームバランスで、攻守分かれて1対2で戦うタイプのゲームがある』



   *      *



 ある日の昼間に、ボクは魔獣退治を依頼され、問題なく退治を完了させた。


 仕留めた獣の肉を主食として夕食にしようと下拵えに取り掛かろうとしたところで、忙しなく呼び鈴が鳴った。


「食事の邪魔だったか? 済まない」ハロルドがボクの肩越しに奥のテーブルを見て、食材が並べられていることに気づき、謝ってきた。


「ああ、まだ並べただけで、調理は何も済んでいないから、大丈夫だよ。……見たところ緊急の用事みたいだね。どうしたの?」


「タツキ、君はルージュ・フイユに妹がいた事、知ってたか!?」


 ボクはどう答えたものか悩み、言葉に詰まった。


 ルージュに妹がいることは"知っていた"し、彼が『諸事情』で妹の存在を公言したくないことも"知っている"。


 だから、ハロルドが噂話で妹の存在を知って、ゴシップの確認のためにボクに聞きに来たのだとすれば、知らないフリをするべきか。


 しかし、ハロルドはそんな俗な理由で家に駆けつけた訳じゃないことが直ぐにわかった。ボクが言い淀んでいる事情を察知して、早口で事情を説明した。


「ルージュ・フイユの妹、カエデ・フイユの元に脅迫状が届いた。手紙には写真が同封されていて、友人の『足切断』の姿が写っていた」


「なんだって!?」


「事件解決に君の力を貸して欲しいらしい。来てくれるか」


「ここで断るような薄情な人間じゃあない!」


 ボクはこの事件ではじめて「竜絡み」ではない事件を合同で解決することになる。

11/17追記

筆者「読んでくれてありがとう! ところで画面をスクロールすると星が見えますね……」

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