塔と目覚めの雷
扉を開いた瞬間——
目の前に巨大な塔がそびえ立っていた。
白く輝く壁、厳かに整った窓。
少女は見上げた。
その塔には 無数の人々がいた。
窓から外を覗き込むが、誰一人として塔から出ようとはしない。
「……どうして?」
少女が塔に歩み寄った瞬間——
⚡ ゴロゴロゴロ……ドォォン!! ⚡
雷鳴が轟いた。
「!!」
その瞬間、少女の体が 激しい衝撃に包まれた。
まばゆい光が塔の頂上から降り注ぎ、世界が一瞬、真っ白になる。
少女の胸の奥が 焼けるように熱くなる。
「……!!」
膝が震え、視界がぐらつく。
塔が揺れる。
何かが崩れるわけではない。
少女自身の内側が揺さぶられているのだ。
⚡ ドォォン!! ⚡
「う、あ……!」
少女は思わず地面に手をつく。
その時、塔の扉が勢いよく開いた。
「———!!」
人々が、一斉に外へ飛び出してきた。
「な、なにが起こったんだ……!?」
「これは……神の光……?」
少女は、光に包まれながら立ち上がる。
この雷は、破壊ではない。
これは 目覚めだ。
塔の中の人々だけじゃない——
少女自身も、この光に触れてしまったのだ。
⚡ ゴロゴロ……ドォォン!! ⚡
再び、雷鳴が響く。
少女は 胸を押さえた。
心の奥がざわつく。
まるで「何かが変わらなければならない」と告げられているようだった。
「……私は……?」
少女は、塔の光を見つめる。
そして、その足元に——
新たな扉が現れた。
少女は、鼓動の高鳴りを感じながら、その扉へと歩き出した。
⚡ 塔の光に触れた者は、もう元には戻れない。
そして、少女は新たな世界へ進む。