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正義と揺れる天秤

新たな扉の前に立つ少女は、胸の奥に小さな不安を感じていた。

戦車の世界では「進むことの力」を知った。自分の意思を信じ、前へと進む勇気を手に入れた。

だが、進んだ先にあるのは、本当に「正しい道」なのだろうか?


鍵を扉に差し込むと、そこにはまったく新しい世界が広がっていた。


大理石の床、均整のとれた柱、荘厳な雰囲気に包まれた裁きの間。

中央には、一人の女性が座していた。

彼女は深紅の衣をまとい、片手には鋭い剣を、もう片方には黄金の天秤を携えている。

冷静な瞳が少女をまっすぐに見つめた。


「私は『正義』。ここでは、物事の真実を見極め、正しき選択を問う場。」


少女はごくりと息をのんだ。

この空間には、ただならぬ緊張感が満ちていた。


「あなたは、どんな時も『正しさ』を貫けるか?」


正義の問いかけに、少女は戸惑った。

「正しさ」とは一体何だろう?

誰かにとって正しいことが、別の誰かにとっては間違いになることもあるのではないか。


そのとき、部屋の中央に二つの扉が現れた。

片方の扉は白く輝き、もう一方の扉は黒い影を帯びている。


「どちらかの扉を選びなさい。」


少女は迷った。


「この二つの扉は、何が違うのですか?」


正義は冷静に答える。

「一方は、表面的に『正しい』道。しかし、それが本当にあなたの心にとって正しいかはわからない。」

「もう一方は、直感が求める道。だが、他者から見れば『正しくない』とされることもある。」


少女は思わず天秤を見つめた。

どちらが正しいのか。どちらを選ぶべきなのか。


「正しさとは、一つではないのですか?」


「そう、正義は一つではない。」


正義は剣を軽く掲げる。

「本当の正しさとは、誰かに決められるものではなく、自分で見極め、決断し、責任を持つこと。」


少女は深く考えた。

今までの旅の中で、彼女は「何かを選ぶ」ことの連続だった。

受け入れること、創造すること、秩序を守ること、進むこと……。

そして今、「選んだ道を、自分で正しいと信じられるか」が問われている。


少女はゆっくりと片方の扉に手をかけた。

その扉を選ぶことに迷いはなかった。


すると、正義が微笑んだ。

「どの道を選んでも、それを正しくするのはあなた自身。」


扉が開いた瞬間、光が少女を包み込み、次の世界への道が現れた。


——真の正しさとは、選び取ったものを、どう生きるかで決まるのだ。


少女は一歩を踏み出し、新たな旅へと向かった。



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