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プールサイドの女神

作者: 昼月キオリ

我が校の七不思議。

夜になるとプールに女の幽霊が現れるという。


中学二年の夏。

相田「なぁ今夜学校に忍び込んで肝試ししようぜ!」

佐奈田「楽しそ!俺も行く!」

勝也「俺は行かない」

相田「ビビってんの?」

佐奈田「お前お化け屋敷も渋ってたよな」

勝也「うるせーな」


夜のプール。

白いモヤが現れ、女の人が立っていた。

相田「まじでいんじゃん!」

佐奈田「逃げるぞ!」

俺は動けなかった。

二人が逃げた後、プールに俺と幽霊が取り残される。

「ねぇ」

勝也「な、何?」

「お願いがあるの」

勝也「一緒に死んでくれとか無理だぞ」

「違うよ水泳を教えて欲しいの」

勝也「水泳を?」

「そう、私このプールで溺れて死んだの、一人で練習しようとして」

勝也「まじか」

「君は水泳上手でしょう?」

勝也「まぁそれなりに、うーん、幽霊に水泳ね・・」

「お願いします!」

一生懸命な幽霊に俺は心動かされた。

勝也「分かった、俺が君を泳げるようにする、任せときな」

「本当!?ありがとう!」

髪の隙間から顔が見えた。可愛い。

勝也「名前は?」

櫻子「櫻子、君は勝也君でしょ?」

勝也「把握済みね、櫻子ちゃん水着は?そのまま泳ぐ気?」

櫻子「待って、今着替える」

勝也「こんな場所で!?いや、俺としてはありがた・・一瞬で水着姿に・・」

櫻子「便利でしょ」

勝也「そ、そうだね」

飾り気がなくて髪が長くてスレンダーで折れそうなウエスト。俺好みだ。


15分後。

櫻子は水面と睨めっこをしていた。

勝也「あのー、櫻子ちゃん?」

櫻子「ご、ごめんなさい、水に顔つけるの苦手で」

勝也「それでよく一人で練習しようとしたね」

櫻子「だって恥ずかしくて」

勝也「じゃあまずは顔に水を付けれるようになろう」

櫻子「そんなゆっくり教えてくれるの?」

勝也「うん、まずは水に慣れてこ」

櫻子「ありがとう!」


次の日。

相田「悪かったよ!すぐ後ろにいると思ってたんだよ」

佐奈田「ごめんて・・まじで怖くてさ」

勝也「別にいいよ」

相田「で?あの後幽霊に何かされなかったか?」

佐奈田「俺らそれが心配でさ」

勝也「幽霊?フッ、女神の間違いだろ」

勝也はカーテンから差し込む光を受けて窓の外を見た。

昨日の櫻子の水着姿を思い浮かべながら。

相田「あいつ、頭でも打ったのか?」

佐奈田「さぁ、幽霊に取り憑かれたんじゃねーの?」


こうして勝也は櫻子が泳げるようになるまで練習を続けた。

櫻子が成仏した後、勝也がプールサイドで一人泣いたのは誰も知らない。

 

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