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「ノエルかぁ……」

梨紗はパリのクリスマス時期のイルミネーションの写真をSNSで見ながら呟いた。


フランス語でクリスマスをノエルと言うのだと教えてくれたのは、都筑だ。


都筑は梨紗が通っていた心療内科の医師が産休に入った時に一ヶ月だけ診てくれた代理の医師だった。


当時、新しい部署への異動と、鬱病を患っていた母の代わりに5人家族の家事の大半をしていた事で疲れ果てていた為か、気が付いたら不眠症になっていた。


疲れているのだから、一分でも早く寝て翌日に備えて休みたいのに頭と気持ちが冴えて眠れない。

そんな日が続いてついに掛かり付けの医者に睡眠導入剤を処方してもらった。

それが何度か続き、医者から心療内科を薦められた。


梨紗は迷ったが、紹介された心療内科の扉を叩いた。

母の付き添いで精神科には来たことがあったが、心療内科の診察がどんなものなのかは、知らなかった。


40少し手前の花澤医師は、おっとりとした雰囲気の女性で、笑顔が温かく、梨紗のまとまらない思考や言葉を待ってくれた。

眠れなくなってしまった事、なるべくなら睡眠導入剤を飲まなくてよくなりたい事をぽつぽつと話し始めた。


ただただ話を聞いてくれる花澤医師に、気が付いたら、本当は母がいつ治るのかとても不安な事や、物忘れがひどくなる祖母が心配な事も、それらの事に無関心に見える父の事なども話していた。


最初は一週間に1、2度通い、その内に一週間に一度になり、5ヶ月が経った頃、花澤医師が産休に入った。

次からはしばらく代理の医師が来ると告げられた時、梨紗はとても不安になった。










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