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セージの現在は?

「恋愛」「異世界」設定のファンタジーのはずが、セージがちょっとあれれなので(←笑)恋愛要素がなかなか書けません。

もう少し、お待ちくださいね。

 お風呂で存分に暖まったあと、用意されていた服に着替えて部屋に行く。ローズマリー様のもののようで、サイズも問題ない。私が脱ぎ捨てたびしょ濡れのローブは玄関先に綺麗に干されており、ぽたぽたと雫を落としていた。


「お風呂ありがとうございました。ローブも」

「いや」


 そして少し言いにくそうに続ける。


「ローブの中に着ていたものはそこにあるから……晴れてから自分でやってくれ」


 見るとローブの下にタライがあり、そこに脱ぎ捨てた中の服やら下着があるらしかった。洗って干せということなのだろう。


「わかりました」

「……ホットミルクを淹れたから飲むといい」

「ありがとうございます」


 すすめられるまま向かい合うようにテーブルにつき、ホットミルクを飲む。昔もよくローズマリー様は寝る前には私とセージにホットミルクを淹れてくれた。


「あの……セージってどこにいるんですか?」

「……ここにはいない」


 一瞬の躊躇いの後、そう返ってきた。ここにいなさそうなのは何となく感じていたからわかる。


「独立してどこかに行ったとか?」

「そういうわけではない」

「……まさか破門とか?ついに何かやらかしてローズマリー様を怒らせたんですか?」

「そんなことはしてない!」


 何故か怒ったように言うローズマリー様に困惑して考えつく理由を述べていく。


「セージももう十八でしたよね?結婚して出て行っちゃったとか?あっ駆け落ちとか!?」


 ここいらの田舎では早ければ十六かそこらで結婚するものもいる。セージもそういう相手がいたのかも。考えればこの五年の間にそういう相手ができていてもおかしくはないのだ。私の知らない女性の肩を抱くセージを想像すると何故か胸が少し痛くなった。


「まっさか!!有り得んな」


 私の妄想とは裏腹に目を丸くしてローズマリー様が否定したので現実に戻された。それほど色恋とは縁がないらしい。


「じゃあ、いつからいないんですか?もう私には考えつきません。教えてくださいよ」

「お前が出て行ってすぐくらいから」

「えっ!?」

「正確にはずっといないんじゃなくて、一年に一度くらいは帰ってくる」

「そうなんですか……でも、なんで?やりたいことでも見つけたんですか?」


 確かセージは魔法使いでもないのに持っている加護や浄化の力の使い方をどうすべきか、精霊と契約する魔法使いになるにはどうすべきなのか、そもそも魔法使いになる必要があるのかどうかを考えると言っていた。子供のうちはいいとしても、今後大人になりどのような仕事に就くべきか。その力を怪しまれず公に使ってもよいのか、隠しておくべきかを見極めていた。だから、ローズマリー様のお使いと称して近隣の村を周り特殊な能力を持っている人への考え方を見極めようとしていた。


「……契約できる精霊、見つけたのかな」

「いや、精霊たちには皆断られた」

「そうなんですか!?」

「聖属性は魔法使いにはならず帝都の神官長に認められた後、王と契約を交わさないとならないらしい。といっても契約はほとんど『聖女』で男は滅多にいないらしくてな」

「やっぱ聖女的な力だったんだ……」


 聖女は王と契約を交わすことで聖女となるらしい。帝都の神殿で保管されている聖剣を以て王と契約をすると、こちらも魔法使い同様に魂の色が変わって人ではなくなり「聖女」となる。


「でも契約はしてないですよね?私帝都にもいましたけど、聖女候補が来るなんて聞こえてきませんでした」

「契約は出来てない。男ができるかどうかもわからんし、何より帝都に行けてない」

「え?でもセージもう出て行ってあちこち行ってるんでしょ?帝都にも行けるんじゃないですか?」

「あ、いや、それは……」


 何故か口ごもるローズマリー様。


「それよりお前は、自分の為すべきことは見えたか?」

「……為すべきことというか、私の魂の存在がどうして成り立っているのかは、薄々わかってきました」

「そうか……」

「やっぱり契約してくれる精霊なんていなかったし、油断したら悪魔や悪霊が寄ってきて誘惑してきました」

「……」

「弱ってるとき、何度も負けそうになりました。悪魔には『堕ちた』魂は悪い事ばかりじゃない、必要悪として生きる道もあるんだって思い込まされそうになったり……」

「でも、耐えた」

「はい。踏みとどまれたのは、ここでの生活があったから。きっと修道院にいた頃なら負けていました。ここで、ローズマリー様やセージと出会えたから。堕ちた姿を見せたくないって思えたから」

「ん。頑張ったな」


 頭をくしゃ、と撫でられる。子供みたいに泣くのもかっこ悪いと思って、私は俯いてされるがままでいた。


「もう遅い。お前の部屋はそのままだから、今日はもう寝ろ。明日また、今後のことも話そう」

「はい」

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