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王との対面

いよいよカモミールが父親である国王と初めて対面します。


大聖女アリアナの移動魔法によって城に出現した私たちは周囲が炎に囲まれていることを知る。


(この火は……!?)


そして私たちの少し先には王と対峙しているローズマリー様の姿があった。


「ローズマリー!」

「師匠!」

「ローズマリー様!」


私たちは口々に叫んだ。

ローズマリー様は私たちに気付くと振り返る。その表情は燃え盛る炎で良く見えない。私は自然と身体が動き、水の聖霊よこの火を消失させよ、と呟いて火を消していた。

一瞬で火は消え、水蒸気が立ち上がった後徐々にはっきりと見えてきたローズマリー様は無傷のようであった。そして、私を見ると儚げに微笑み、また王の方に向き合った。けれども先に口を開いたのは国王で、ローズマリー様に問いかける。


「お前が呼んだのか。知らぬ小者もいるようだが……その者たちは何者だ」

「……」


しばらくの沈黙の後、どこか呆れた様子でローズマリー様が答えた。


「気が付かないのか。間抜けめ」

「なんだと……?」


王は言うと私を見てその目を大きく見開く。初めて見るその姿は、私に似ているのかどうかもわからないくらい年老いた老人のような姿だった。


「……まさかお前……ネロリの子か。生きていたのか」


そう言った国王の、私と同じ紫色の瞳を見て私は言葉を失う。


(ちょっと待って。ネロリって言った?)


私はその名前に聞き覚えがあった。


……のお嬢ちゃん。

……ネロリのお嬢ちゃん。


私は、メルトの村で確かにあの老夫婦にそう呼ばれていた。

王がその名を口にしたことによって、私の父親は紛れもないこの年老いた姿の王なのだと嫌でも認めないといけないことを実感した。


「今すぐこの子に王位を譲れ。大聖女の名の元に王を下りると宣言しろ。さもなくば、死ね」

「ローズマリーよ。それならば俺と一緒にこの子を娘として可愛がれば良いではないか」

「虫唾が走る!お前は死んでも許さない。お前は……」


ローズマリー様は怒りに打ち震えながら次の言葉を発した。


「お前はッ!ネロリを、あたしの妹を汚して殺した!」


私は小さく叫んで両手で口を覆うが嗚咽が漏れだす。あまりの事実に抑えられない感情が渦巻き、自分の意思とは関係なく涙が流れ落ちる。

よろめいた私の肩をセージが受け止め頭をそっと抱いてくれたが、私は泣くのを止められなかった。


私はネロリの娘で。

王が汚した女性がネロリで。

そして、そのネロリがローズマリー様の妹であるのなら。


私は、王の子であると同時にローズマリー様の、姪であるという事実。


思い返せば気付く要素はあった。

ローズマリー様の姿をしたセージと町に出たときに言われた「姉妹?」という言葉。

ローズマリー様の同期だというアップルさんに言われた「娘さんなの?」という言葉。


それは私たちに同じ血が流れているという事実を確かに裏付けていた。


そしてローズマリー様の今までの私に対する態度。憎き王の子であるはずの私の世話をしてくれた優しさも。きっと大切な妹の子だということを知っていたからに違いない。

リオドの村にいた老人は、同じ時期に水の魔法を使う魔女もいたと言っていたではないか。それが私の母だということに、今気がついた。


言葉にならない私に構わず王とローズマリー様は言い合いを続ける。


「……殺してはいない」

「今ここにネロリがいないことが全てだろうが!」

「あの娘は王妃にしてやるという俺の言葉を拒んで逃げ出した。俺から離れないように、この命を削って俺から離れたら死ぬ呪いをかけてやったというのに……」

「ふざけるな!」

「俺の子を産み、妃となるなら姉のお前には手出ししないとは言ったが、その契約者本人が存在しない場合無効と言っていいだろう。お前はやはり俺のものになるしかない」

「ふざけるな……っ」


ローズマリー様が俯き、何やら詠唱を始める。と、同時に控えていた男性の魔法使いも同様に何かを詠唱し始める。


「危ないわ」

「師匠!」


私たちの周囲に加護のシールドが張られるが、城全体が大きな音を立てて揺れ始める。天井が落ちそうで、ぱらぱらと頭上から何かが降って来て、シールドに当たって落ちていった。


「……っ」


男性の魔法使いも抑えようと詠唱し続けているが、崩す魔法と戻す魔法が対立し続けていると建造物である城の方ももたない様子で自然と崩れ落ちていくのも時間の問題だと感じた。


「倒壊する……っ」


建造物は激しい土属性の魔法で形を保っていられない様子で、大聖女アリアナとセージの防御魔法でなんとか私たちに瓦礫が当たらないようにしている状態だ。


「シオン、もう良い」

「えっ!?しかし」

「ローズマリーももう抑えろ」

「……っ」


二人に声をかけると立ち上がったのは王だった。王は何度か見た不敵な笑みではなく何故か慈愛に満ちたような笑みで私を見ると近付いてきて何かの詠唱を始めた。身構えたセージを大聖女アリアナが制すると、周囲に見たこともないような大きな魔法陣が浮かび上がり私たちは倒壊する城からどこかへと移動した。


明日はちょっと慌ただしくなりそうで、それから週末は家族サービスで更新が出来ないことが予想されます。

明日、少しでも更新できたらいいのですができなかったら申し訳ありません。

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