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大聖女アリアナ

「カモミール、ちょっと止まって!」

「え?あ……!」


ローズマリー様がいなくなった手がかりであるロッテルニアに行こうと家を飛び出した私たちは家の前に怪しげな文字の書かれた円が浮かび上がるのを見つけ、立ち止まる。

見ているうちに円の中に人の形が浮かび上がり次第にはっきりしてくる。何者かわからず不安を感じた瞬間、セージが私を自分の後ろに押して前に出た。


「……あなたがセージ?」

「あなたは……?」


出てきた銀髪の女性は少し微笑むとセージにそう問いかけた。銀髪である以上聖女だろう。見た目はとても美しく、品のありそうな人。


「私はアリアナ。ローズマリーが攫われたでしょう?恐らく王の所にいるわ。あなたたちの足では数日はかかる。私が転移魔法で一緒にお城に行ってあげるから着いてきて」

「大聖女……」

「そうよ。あなたがカモミールね。ローズマリーから聞いているわ」


呟いた私に大聖女アリアナは微笑む。


「行く前に何点か確認するわね。カモミール。旅を終えて帰ってきているということは、あなたは自分の魂が何であるかわかったということかしら」

「はい」

「ではもう一つ。あの王の代わりに、あなたが次の王になる覚悟はあるかしら?」

「はい」

「良かった」


大聖女アリアナは頷く。


「この前ローズマリーに会った時は、カモミールは旅に出ているままだと聞いていたから、どこまでわかったか、覚悟はあるのかどうかわからなくて」

「ローズマリー様がここに帰ってくる少し前に私も戻っていて、ちょうどその話をしたところでした」

「そう。全てはもう時期っていうことなのかしらね」

「あの」

「何かしら?」


私はある疑問が浮かんで聞いた。


「ローズマリー様が攫われたってどうしてわかったんですか?それがわかるなら、その……」

「事前に防げなかったのか、ということかしら」

「……はい」


大聖女アリアナは少し悲しそうな顔をして言った。


「ローズマリーは王のお気に入りだった。だから定期的にあの子を探す使いが帝国中を回るのよ」


それは聞いたことがあった。


「それでね。私もだけど、ローズマリーも住居に結界を張っていたの。自分を本当に必要としている人しか辿り着けない道を作ってね」

「はい」

「この前会った時に、心配だからローズマリーの家に何かがあったら、私の方にも分かるように結界を組み直してもらったのよ。もう一つ、結界の応用で私の所からここまでの転移魔法の魔法陣も用意しておいてもらったの。……もしかしたらその時に生じた僅かな歪みが見つかりやすくしてしまったのかもしれない」


大聖女は顔を曇らせて、あの子には申し訳ないことをした、だから、あなたたちを連れて私は一刻も早く駆け付けてあげないといけないと言った。


「だから長話をしている時間はないわ。すぐに向かいましょう」

「……王に会ったら、私はどうしたらいいのでしょうか」

「あなたが継承する条件として、まず王が自ら退くと宣言すること。それと、あ!そうだわ」


大聖女アリアナはそう言うと何かを空間に出現させた。


「聖剣をもって王の器として認める必要があったわね。神殿から持ってきておいて良かった。カモミール、そこに膝をついて」


言われるままその場に膝をつくと私を中心に魔法陣が浮かび上がり、大聖女アリアナが剣を私の肩に置き詠唱する。


「大聖女アリアナの名のもとに、汝カモミールを王の器として認める」

「……!」


言われた瞬間魔法陣が光って消え、私の周囲にいた精霊が一斉に寄って来て契約を、と口々に言う。


「これであなたは王の器として精霊と契約することが可能になった。好きなのと契約するといいわ。王の器は何体でも従えられるから」

「えっ!?契約?」


それは私が様々な精霊や悪魔に囲まれていた幼いころから望んでいたことだった。王の血族は特殊で、王の器にならないと精霊たちとは契約出来ない。それを知らなかった頃はどれほど悩んだことだったか。


「じゃあ……この子」


私が初めての契約に選んだのは、その色に惹かれた水の精霊だった。ローズマリー様と同じ土の精霊と迷ったが、違うものの方が役立てると思ったのもあった。

この子、と選んだ瞬間その精霊が私の手を取って温かい何かを注ぐ。これが契約なのか、と感じる間もなく身体中に今までにない力がみなぎるのを感じた。


「魔法の練習は、またにしましょう。セージ、こちらへ」


大聖女アリアナはセージを手招きして近くに呼ぶと地面に手をかざす。何かを詠唱すると光る文字が浮かび上がり周囲の景色が次第に消えていった。一連のやり取りをただ黙って見ていたセージはここでやっと口を開いた。


「これは……何の力なんですか?」

「魔法陣よ。転移魔法は行ったことのある場所か、目的地に到着の目印となる魔法陣を用意する必要があるのだけど、魔力のある聖女や魔女のどちらにも扱えるから……これが終わったらあなたにも教えるわね」


これが終わったら。それはすなわち、王との対決である。


ここまでお読みくださりありがとうございました!

完結まで頑張りますのでもうしばらくお付き合いいただけましたら幸いです。

応援していただけたら大喜びして執筆の糧にします!

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