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幻影道 四.五巻   作者: SAKI
6/50

「仲良しカップル!」その5

 いつもの日常、ユカリ達は日常を過ごしながらユイの復讐の為に鍛錬し情報を得る為に【異世界】へと飛び込む、だがそこは命の軽さが分かる殺伐とした世界で魔法の使えないユカリにはあまりにも苦行だ、だがユカリは命の恩人であるユイの為に恩返しと家族を守ると決め今を生きている。だから日常だけはのんびりと幸せな空間で埋め尽くしてあげたい。


 仕事先の喫茶店はいつも通り繁盛しています…だがその休憩室にて問題は起きていた。休憩時間、ユイはユカリを抱き締めていた、何故って?そんなの分からない、だって“表”じゃないからね。


「ユカリちゃん、大好き♪結婚しよ!」


 ド直球で大きなたわわな胸に締められながら息苦しそうに藻掻いている。


「デカチチ、そのデカい胸でユカリちゃん窒息しそうよ?」


 知らず抱きしめてたせいでユイは呆けた面をする、漸く抜け出すと反撃にと抱き返す。


「もう〜大きすぎ!!私だって抱き返すよ〜!」


 ぎゅっと抵抗できない程抱きしめるとユイは苦しいどころか頬が赤く、嬉しそうに抱き締める。その顔はまるで恋した乙女のようで大人の女性には見えなかった。


「お姉さんを愛してくれるんだね♪やっぱ結婚しよう!」


「結婚一択しか言えないの!?何で嬉しそうなの!?」


 それは私なら分かるはず、鈍感じゃないから分かる………はず………?


「だって、本当に“好き”なんだもん♪お姉さんは本当にユカリちゃんに恋してるもの♪」


 その言葉に他に休憩してる家族と生じている皆はこちらをチラリ見る。


「ちょ!皆見てるから!!」


 私は止めようとした、でもユイは本気だ。壁に追いやり壁に腕を当てて両手で身動きを封じられる。

全く動ける気配がしない。


「お姉さんの“初めて”あげる?」


 そう言って…唇を重ねようと急接近する、本当なら相思相愛な私達だがユカリは何故か受け入れられない、でも動けないから強制的にするしかない。


 女の子達が赤面する中ユカリは噴き出る程頬が赤くなりもう駄目かと思ったが唇は頬を当てられた。


「うふふ♪本気でやると思った?」


 そして私はからかわれたと思い憤慨する。勿論怒られてもユイは笑顔のままだ。


「でも、もし男が出来なかったらお姉さんと婚約するから覚悟してね?期限は二十歳まで!」


「短くない!?私だって男の子ぐらい本気になれば……?」


 私を好いてくれる酔狂な奴がいればいいね、私も魅力がある女だと思うけどユカリは自己評価が低いからネガティブにしか捉えられないのだろうな。


「それまで待ってるからね♪」


 最後に耳たぶをはむっと厭らしく舐め回されるともう限界だと赤面しその場で倒れ込んでしまった。


「あはは〜♪可愛い可愛い〜面白いね〜♪」


 この人は人で遊ぶのが好きなのか面白がっている、そしてまた私は憤慨する、その光景もユイは面白いと思ってるんだろうな。


「もぉ〜!!乙女の心を弄んだ〜!!」


「えへへ、ごめんね〜♪」


 あの事件の切っ掛けで更に仲良しになった二人、休憩室のテーブルにはちゃんと二人分のマグカップが置いてあった、世界に二つしかない貴重なマグカップが二人の永遠の愛へと結びつけるものになるだろう。

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