表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻影道 四.五巻   作者: SAKI
5/50

「仲良しカップル!」その4

 「それで?私を頼ってどうしたいの?」


 私はゆいゆい以外で頼りになる人物にスマホで声を掛けた、蛇奈緑、本名サナエ・アポカリプス。ワインレッドの髪にお姫様のような髪型、瞳は鋭く怒りやすい女性だが頼まれた事や約束は必ず守るお姉さんだ。


 私は事情を説明すると第一声が溜息だった。


「無理、他を当たりなさい」


 きっぱり断わられた、サナエちゃんはサバサバしてるけど出来る出来ないを伝えられるのが尊敬出来る人だ、だから無理言って頼みたい。


「お願い!何でもするから!」


「無理なものはムリ、付き纏うなら引っ叩くわよ?」


 踵を返すサナエちゃんに私は腕を抱き締めた、離さないように強く強く抱き締めた。


「叩いても殴っても良い、でも私にはサナエちゃんしかいないの!私、馬鹿だから何も考えられなくて………大好きな人が悲しむ顔が見たくなくて……それで一番信頼できるサナエちゃんに何とかしてもらえないかなって………幼稚なのかは分かってる………でも!」


「ムリって言ったでしょ!ネチネチしないで頂戴!」


「お願いだよ!サナエちゃん!!」


 私は必死で抵抗するサナエちゃんに振り払われてもその腕は離さなかった、そしてついにサナエちゃんの平手打ちが炸裂した。私は倒れ込み手を付いてしがみ付こうとしたその時、私の脳味噌が揺れて吐き気と目眩が同時に起こる。サナエちゃんは立ち去ろうとしたがまるでお化けでも見たような目で慌てて私の肩に触れた。


「ど、どうしたのよ!?」


 視界が回る、世界が回る、まるでごちゃごちゃに混ぜられてるような感覚に陥り私は為冗談が言えない状態になっている、こんなのゆいゆいに見つかったらとんでもないことになるに違いない。


 そう思ったその時玄関先で彼女の明るい声が聴こえた。


☆★☆★


「も〜サナエちゃん、めっだよ?」


 最近あまり休めていなかったのが祟ったのか私は倒れてしまったらしい、こっぴどく怒られる……という訳でもなく多少は怒られたもののゆいゆいは事情を説明した。サナエちゃんもんもびっくり、怒られることを想定したがそれは大いに外れてしまったのだった。


「まさかあの事にまだ根に持ってるなんて・・・」


 呆れた声に私はそれでも二人だけの物に価値があると断言した、私は馬鹿だけど貰い物は大切に扱う主義だ、だから壊れた物を復元しようとしたがそれはついに叶わなかった。


 そんな時ゆいゆいは何か閃いたように目を輝かせ提案する。


「そうだ!お姉さんとユカリちゃんでまた作ればいいじゃない!」


「な、何を?」


 恐る恐る聞き返すとゆいゆいは私の手を握りこう答えた。


「世界に一つだけの物をね♪」


 そこからゆいゆいの行動力に驚きを隠せなかった、私とゆいゆいで好きな物をデザインし瞬く間に二人だけの物を作り上げた。やり始めると後悔していた私の背中を押すようにゆいゆいは沢山アドバイスやエールを送ってくれた、優しくて心地良くて尊い存在に私は自然に笑顔を取り戻し私は感じた。


 壊れたならまた作り直せばいい、確かに一度壊れたら復元不可能な宝物だが一番大切な宝物は失わなっていない、それが消えぬ限り何度でも作り直せるんだと二人でデザインしている時に気付いたんだ、ありがとうと感謝する私にゆいゆいは照れ臭そうに笑った。


「お姉さんは子どもの笑顔が大好き、だからお姉さんは何が起きても前向きにめげず頑張ることにした。大切な宝物を失くさない為に・・・ね♪」


 最後は私を見て満面の笑みを見せびらかす、本当に私はゆいゆいに愛されてるんだと実感しながら新しい物か届くのが待ち遠しいとそわそわしてしまった。


☆★☆★ 数日後


「みてみて〜!」

 

 ついに届いた私達の宝物、早速ノアちゃんに見せるとうふふと笑われた!?


「いつものユカリさんに戻りましたね」


 その言葉に小首を傾げるとどうやら皆私が元気ないことを気になっていたらしく陰で見守っていたらしい。全員がそのことに気付いてるのが不思議で後者の方でとても驚いている。


「素敵なデザインですね」


「そうでしょ!!私の好きな物半分とゆいゆいが好きな物半分ずつデザインして二人だけのオリジナル作品マグカップなんだよ〜♪」


 思わず笑みが溢れてしまう、絵は下手だがゆいゆいの才能によって美麗なイラストに変貌している。そしてこのマグカップは何と合わせると綺麗なハート模様になる仕様になっている。これだけで気分は有頂天だ。


「もうすぐユイさんが来ますしまずは―――― 」


 その時、私の家のドアから合鍵を使う音に私はマグカップを持って大好きな人の方へ小走りする、ドアが開くと同時に私はマグカップを食い気味になって見せた。


「おかえりなさい!ゆいゆい!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ