「義手少女の轍」その1
私は腕を失った事が無いから友達のアスカちゃんの辛さが良く分からない、最初は大変そうだなとか生活するのが苦しそうとか思っていた、けど違う、そんな生易しいものじゃない、現実はもっと残酷で非情だ。
ちらっ、誰ががアスカちゃんと買い物を終えて帰宅してる途中で皆物珍しさ故なのか見返してくる、悪意こそ無いものの私としてはとても嫌な気分になる。
「どうしたの?」
通る人に顔を顰めているとアスカちゃんは顔色を窺ってきた。
「ううん、皆“見てる”なって」
私は今日装着していないアスカちゃんの袖の通っていない右腕を見つめた。アスカちゃん曰く私となら外してもいいかなと思って付けて来てないらしい。
私の目線にアスカちゃんは微笑する。
「あんまりいないよね腕を失くした子って、大抵は事故とか病気やウイルスで切断する人が多いからね」
アスカちゃんはそう言って失った腕を擦る、やっぱり皆違和感が有るんだろうな……四肢が一つ無いだけで人の見方は変化するもんなんだなぁ。
「日常生活の事より目線の方が気になるよね?」
私はつい同意を求めてしまうとアスカちゃんは首を振った。
「私は慣れてるから、それに今はそんな私を友達として、家族として受け入れてくれる人が居るから平気かな♪シスターズの時の方がもっと凄惨で酷たらしい生活を送っていたから今の目線は目にゴミが入ったくらいだよ」
そうなんだと感心するとアスカちゃんは片方の腕で私の腕を組みながら寄り掛かって来た。突然の行動に思わず変な声が出た。
「こうしてれば楽しいしユカリちゃんも可愛から気にならないよ♪」
この騎士団に入ってから私に対して言葉を崩し、甘えてくれるアスカちゃんは信頼してくれている証なのかな、だったら嬉しいな。私も最近は家族の事だけは信用するようにしてるから少しずつ皆の思い出や辛かった事を共有し宥め合う事だって夢じゃ無くなるかもしれない。
「えへへ、それじゃあ次はどこに行こうか?」
私の言葉にアスカちゃんは満面の笑みでこう言った。
「ユカリちゃんのお家♪」
私はオッケーとグッドサインをし手を繋ぎながらら歩み出す、今日も今日とでアスカちゃんは元気に自分の道を歩いています。ゆいゆいにも知らせてあげなきゃ!




