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幻影道 四.五巻   作者: SAKI
40/50

「ツンデレちゃんとおっとりお姉さん」 その4

 更に数日後、私はリビングでソファーに座りながらテーブルにはユイ手作りドーナツを頂きながら通販のチラシを見ていた。そんな時、背後からの誰か居るのを察知して振り返るとそこには何故かユイがいた。いつ入ってきたのか鍵はどうしたのかと聞いたらユイの家族が住む家の合鍵は常備してるとのこと。


「まぁ、アンタがここの大家だから許すけど何のよ――――っ!?」


 ユイの手荷物の中から匂う甘い香りに私は覚えがある。


「そ、そんな飢えたような顔しなくてもアンケートにだけ答えてくれればあげるから襲うのは止めてね?」


 ユイは私にそう説明するとデバイスからアンケート用紙を数枚取り出す、内容を見るとそれはストレスや精神的、肉体的な疲労や抱え込んでいる痛みなどれっきとしたアンケートだ。


「子どもちゃんの疲労やストレスを労うのがお姉さんの役目だから沢山書いていいよ♪文句も苦情も非難もどんとこい!って感じで皆に答えて貰ってるの♪」


 ユイは半ばおちゃらけた言い方に腹が立つが次の言葉だけはおちゃらけてはいなかった。


「でも本当は子どもちゃん達の“痛み”を知りたいだけなんだけどね、サナエちゃんも痛いでしょ?」


 ユイは寂しそうに見つめるその視線は私の右腕を捉えていた、こいつは知ってるんだ、私が自分の“腕”を切ってることに。


「いつから知ってたの?」


 私は真剣且つ警戒心を高めて睨むとユイは悲しそうに笑った。


「出会った時からかな?最初は考えると腕を掴むタイプなのかと思ってたけど腕を掴むパターンを覚えると一つの結論に辿り着いたの、一つは“嘘”を吐く時、そしてもう一つは腕を切って手当をちゃんとしてないからむず痒くて押さえてるんだってね」


 こいつの、鋭さと頭の回転の速さには本当に感心してしまう。たった数回で私の核心を突くなんてね。流石私達のトップシークレットを掌握してるだけはあるわ。


「ふん、それで?アンタは何をしに来たの?」


 まさか痛みを分かち合おうなんて戯言を叩かないでしょうね、私はユイの行動を見ると彼女はそのまま私の腕を撫でた。肩から二の腕まで優しく撫でると私は心臓がドキッとした、そこはこの前ユカリちゃんに意地悪してしまった時に切ったのに・・・


 ユイはこの世界に来てから腕を切り裂いた場所を全て当ててみせた、その瞬間私は恐怖したと同時にユイと言う女性を改めなければならないといけない、普段はおちゃらけてふざける復讐バカだと思ってたが本当は誰よりも親身になって家族の一挙手一投足全て感じ取れる天才なんだって。


 きっとこのアンケートもユイは私達を心配してるから行ってる行動だと確信した。


「お姉さんに治療させて欲しいな〜その為のドーナツなの♪」


 成程、海老で鯛を釣るってことね。余計なお節介だと言ってもこいつが引き下がるはずがないわよね。大人なら声を掛けることすらしないけどガキの世話事は全部引き受けちゃうのがユイの弱点であり頼れる所でもある、それにどうも最近傷が悪化してしまい私でも手に負えないぐらいまで傷付けたらからこれを機に治してもらおうかしら?


「断れないわよね?」


「断られても言いづけるよ?しつこくネチネチと言うよ?耳が痛くなるほど言うよ?部屋に居続けるよ?」


「あ〜分かった分かった!!そんなに治したいなら勝手にすればいいじゃない!」

  

 でも私はつい怒りながら言ってしまった、いつまでも治らないのは身体じゃなくて性格かもね。


 私は自棄になって上半身の服を脱ぎ腕にある包帯を見せつけてやった。とてもグロテスクだけどユイは恐れずそれどころか心苦しそうに同情まで言ってきた。


「ごめんね、もっと気付いてれば・・・」


「謝らないで、同情なんて求めてないわ」


「ううん、子どもを管理出来てないお姉さんのせいよ、だから謝らせて」


 どこまでも子ども思いの女ね、どうしても自分のせいだと言い張るユイ。だけど私もそこは譲らない。


「嫌よ、これは私個人の問題。そこにアンタが気遣う必要もなければ優しくする必要も無い、だからアンタのせいじゃないわ」


 こんな事言っても引き下がらないユイは頷かない、まるで私の親みたいね。


「お合いこじゃ駄目?」


「なんでそうなるのよ」


「お姉さんのせいにしたいから」


「馬鹿ね、アンタの責任なんかどこにもないって言うのにそれでも自分のせいだって言い張るのね」


 その言葉にはすぐに頷いた、頑固なんだか諦めが悪いというか、単に優しすぎるというか……


「だからお合いこじゃないと嫌、分かってくれた?」


 分からないわと言うと話がループしそうなので仕方なく承諾した。


「うんうん、ささ!早速治療するから我慢してね♪」


 私は腕を見せるとユイは懐から何故かナイフを取り出すと急激に拒否反応を起こした。


「ち、ちょっと待ちなさい、何よそれ?」


「大丈夫、“痛く”しないから!ちょっとザクッ!と刺すけど堪えてね!」


「いやいやいや!完全に刺してるわよね!?荒治療過ぎない!?」


 私は途端に逃げ出したくなるほどの恐怖を感じるが私の足をがっちり押さえて逃げ出せない。


「何かに掴まるかしないと失神したりするから気を付けてね!」


 何意を決したような素振りでやろうとしてんの!?大量出血確定じゃない!何か!何か掴むもの!


 周りを見ても特になにもないと気付くと私は咄嗟にユイの胸を掴んだ。


「ひゃん!?」


 掴むと手で収まりきれないほどの大きさに驚くが取り敢えず気を逸らすことは出来た。


「風呂場でやりましょう、ここだと安心できないわ」


 両手で揉むとユイは物凄く弱体した。こんなに揉むだけで弱々しくなるのはユイだけよ。


「あうぅ………分かったから揉むのは・・・」


「あと少しだけ揉ませて、なんか触り心地が良い」


 改めて触るとどんなの食べたらこんなデカく柔らかくなるのか今度聞いてみようかしら?


 私はユイの乳房を堪能しながら気持ちを整えて再度治療に挑むことにした。

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