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幻影道 四.五巻   作者: SAKI
39/50

「ツンデレちゃんとおっとりお姉さん」 その3

「美味しかったわ」


 こんなにも楽しく感じさせてくれるのは久し振りだ、いつもは独りで食事したりシェアハウスで一緒に食べてるけど私は殆ど喋らない、プレアはガンガン喋るけどそれ以外の奴等はあまり話さないで今思うと質素な食卓をしていたのが分かる。


 私は最後に自作した特製ドリンクを取り出してそれを一気に飲み干して口元をハンカチで拭く。このドリンクには栄養と“傷”を癒す作用があってぶっちゃけ不味い。あんなに幸せだった口内が一気に地獄へと叩き落される、兎に角苦くて渋い、青汁の方がマシくらいにね。でもこれを飲まないと“傷”を手当するのが面倒臭くなる。それにダイエットになるからある意味一石二鳥なのよね、不味いけど。


「結局殆ど食べちゃったね♪」


 すると背後からの優しい愛の手が頭に乗せられ撫でられる、髪が乱れるけど嫌いじゃないわ。


「ゆいゆい、また買おうよ♪サナエちゃんの喜んでる顔もっとみたい!」


 そんなに私に惚れたのかユカリちゃんはリピートを頼むがユイは少し顰めた。


「う〜ん、マスタードーナツは隣町に行かないと無いし意外と値段も張るからあんまり買えないな〜」


 そっかと肩を落とすユカリちゃん、私はそれを知っていたから足を運ぶ気になれなかった。隣町には行ったことないし何より金が無い、移住費や食費、服や光熱費に水道代が掛かるから決して安くは住めない、仕事はボチボチだけどバイトだから稼ぐのにも限度がある。副業は今の段階では無理だし身が持たない。


 最近は“傷”が痛痒くて麻酔や薬剤にもお金を掛けてるから本当に大変だ。だけど最初にここに来てからの素寒貧時代よりはマシだと思うと少しは楽だと感じてきた。


 本当はもっと味わいたかったけど食べ過ぎるとダイエットに響くからこれでお開きにしようとしたその時、ユイは私に手渡してきた。


「一応お姉さんも作ってきたんだけど〜欲しい?」


 私はレジ袋にドーナツがあることを一目で把握してその場でユイに抱きつく。


「貰うわ!貰うわ!ありがとうユイ!」


 私の行動にびっくりしたのか珍しく頬を赤らめるユイ、この嬉しさは止められない、家族になってこれ程幸せのことはないわ!


「あ、あの!そんなに抱きつく程嬉しかった!?なんならたまに作って持って―――― 」

 

「是非!是非お願いするわ!!大好きよユイ!」


 むぎゅうと強く抱きしめるとユイは困惑しながらも嬉しそうに抱きしめてくれた、ありがとう、ドーナツ♪


「むぅ〜」


 そんな抱き合いっこしてると横から羨ましそうにユカリちゃんが見つめてくる、多分嫉妬でしょうね。


「おやおや?嫉妬かな?お姉さんに嫉妬してない?ねーねー」


 抱きつくのを止めると今度はユカリちゃんをいじり始めた、ソファーに座るユカリちゃんの頭に巨乳を乗せながら頬をツンツンする。


「し、嫉妬じゃないもん!」


 指摘されると途端にユカリちゃんは否定する。


「え〜今のは嫉妬だよ?大丈夫、お姉さんはユカリちゃんの彼女候補だから結婚したら沢山抱きしめるからさ!」


「け、結婚しないよ!?」


「ならお姉さんは浮気する!」


 なんかうざいくらいにこの二人お似合いカップルよね、と、第三者視点で語ってたらユイがいきなり腕に抱きついてきた。すると次の瞬間ユイの唇が私の頬に押し当てられた。


「ひゃう!?」

 

柔らかくて優しい唇に思わず変な声が出てしまった、こいつの部位どこもかしこもふわふわで柔らかくない!?それにキスされて顔が熱くなってしまった、すぐにクールダウンしようとしたがユイのスキンシップは止まらない。


「ちょ、わぁ!?」


 なんと私の耳たぶを甘噛してきたのだ、頭から噴き出る汗と羞恥心ゲージが一気にカンストする、こいつガキなら形振り構わずするワケ!?


「ほれほれ〜♪可愛いい可愛いい♪」


 その後はもう地獄だった、何分もこちょこちょされたり何度もキスされたり愛情いっぱいのハグに私は耐えられなかった、こんな日常をユカリちゃんは過ごしてると思うと壮絶ね。


「ゆ、ユカリちゃん助けなさい!」


 私はこのままおもちゃのように遊ばれるわけにもいかず逃げようとするユカリちゃんを睨み引き止める。


「え、えっと・・・」


 何に逃げようとしてるのか、こいつはアンタの婚約者だろうが。


「今すぐユイの標的をアンタに変えさせなさい!」


「えっ、嫌――― 」


「もし断ったらアンタの恥かしい写真をバラ撒くわ」


 へっ!?と急激に立場が逆転した、ユカリちゃんは慌てふためき結果サイドユカリちゃんになるようにして貰って漸く開放された。あいつはヤバい、結婚したらスキンシップ魔になること間違いないと拒絶反応が起きたのでユウガから貰ったユカリちゃん寝ぼけて制服のボタンが全部間違っている可愛いい写真の話をした。これは私だけしか知らない。


「さぁ、どうするの!?」


 早く決めて!!こちょこちょがとても効くから時間がもたない! 

   

 私はまだかまだかと急かすとユカリちゃんは苦い顔をしながらその役を引き継いでくれた。その後は沢山イチャイチャしてたのが印象的だったわ、あまり語りたくないけどユイのスキンシップに私は度肝を抜かれることとなった。

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