「毒にも薬にもならない一日」その9
☆★☆★ スイカズラ
私はそのまま直行してスイカズラへ行くとそこにはいつもの子ども達が待っていた、愛苦しくも一所懸命開店の準備をしている。私の存在に気付いたのはやはりユカリちゃんだった。
「おかえりなさい〜!!」
ぴょんと抱き着く子どもを抱き抱えてキャッチ、相変わらず可愛い妹のような女の子、私はぬいぐるみのようにぎゅっと苦しいくらいに抱きしめた。私達は互いに笑いあい、一日の事を話していると気になる言葉が聞こえた。
「昨日のドレスの人、ゆいゆいだったなんて〜!!気付かなかったよ〜♪」
その言葉に私はあのメンバーに視線を送る、ノアちゃんはキョトンとしてるがプレアちゃんの目が泳いでいるのを確認し聞こえるように発言した。
「誰か言いふらしたのかは“分からない”けど〜〜よく今までよく気付かなかったね!?」
その事を問い質すとユカリちゃんも驚いている、どうやらシェアハウスでお泊りしてる時にさらっとプレアちゃんが吐いたみたい、ノアちゃんはそれに顔面蒼白してプレアちゃんを叩いているのが見えた。
「全然気付かなかったな〜でも怪しんではいたよ?あんな美人ゆいゆいしか知らないもん!」
「それだけ?お姉さんの特徴は・・・」
「ううん!その他は声とか髪色とか!私に対して凄く優しく話してるところとか!」
何故それで気付かないってことになるの〜!?あの時バレた方が良かったまであるのに〜!?まぁ………デートだと知られなければね。
「えへへ、ごめんね」
照れながら謝られると余計に悲しくなる、ノアちゃんは一発で見抜いたのに……殆ど目の前にいたのに………
私は二人の給料について考えを決めると心の底からがっくりと肩を落としてしまった。
「あっ、それでね!昨日の事は忘れてってプレアちゃんから言われたよ!」
ついでに聞き捨てならない言葉にむっと睨む、ユカリちゃんなら許して貰えると甘い考えを持つとは私も馬鹿にされたものね!
「だ〜め!お姉さん約束したもん!だから――― 」
そうは問屋は卸さないぞと意気揚々に胸を張ったがユカリちゃんから手を握られ甘い声を掛けられた。
「“お姉ちゃん”お願い!」
滑からで物腰の柔らかくて潤んだ瞳に私にダイレクトアタックされ一撃で沈んでしまった、駄目だ可愛くて許してしまう………何か策は…………可愛いい攻撃により考えが全部吹き飛んで万策尽きる状況になってしまうなんて………恐るべし!
「お姉ちゃん?」
まるでチワワのようなキラキラした目で見られるともうどうしょうもない、蕩けるよな甘えん坊に私はつい甘やかしてしまった。
「仕方無いな〜ユカリちゃんがそこまで言うなら見逃してあげる♪」
元々子どもに虐待や苛める気は毛頭なくちゃんと飲み込めるのかな謝ってユカリちゃんにはデートじゃないと誤解を解くように仕向けたかったけどユカリちゃんを出されたら許さざるを得ない、私の言葉を耳にすると二人共飛び上がるように喜んでいる、これが俗に言う“やれやれ”と言うことなのかな。
「その代わり、お姉さんに撫で撫でされなさい!」
私はびしっと! (ドヤ顔)で指を差すと子ども達は私を囲うように頭を差し出す、それがもう可愛くて一人ずつ優しく丁寧に頭を撫でた、皆嬉しそうなのにユカリちゃんは慣れているのかグイグイ甘えてくる、その光景に瞬間、私は血反吐を吐く直前で踏み留まった。意識と理性が壊れそうになるのを抑えて快くまで愛情を注ぎ込んだ私であった。




