「仲良しカップル!」その2
いつの間にかお仕置きタイムからただのじゃれ合いになってリビングで遊んでいると私が振り払おうとしたその時、悲劇が起きた。
テーブルには使っていない二人分のマグカップが置いてあり振り払う腕に直撃してそれをはたき落としてしまった。
下は何も敷いておらずそのまま落下し割れる音が部屋に響く。私が調子に乗って遊ばなければこんなことにならなかった、咄嗟に片付けようと手を伸ばそうとしたその時、ゆいゆいの手が私の腕を掴み、抱き抱える。
「危ないでしょ!!手を切ったらどうするの!?」
初めて聞いたゆいゆいの叱責は普段のおっとりとした雰囲気は消え恐ろしかった。あまりにも恐怖と後悔に言葉が出なかった。
「ご、ごめんなさ―――― 」
「ユカリちゃん、お姉さんが片付けるからそこで待ってて。絶対に触れないで分かった?」
私は言われるがまま頷くとゆいゆいはキッチンの方へせっせと移動した。
☆★☆★
「ユカリちゃん、怪我はない?」
ゆいゆいが後始末を全て終わらせるとリビングにあるソファーで私を座らせた。私は怖いよりも後悔に立ち直れず頭が上がらない。
「うん、ゆいゆいごめんなさい……あのマグカップ…」
私が割ったのは最悪の代物だった。初めて家に入った時にゆいゆいがお揃いのマグカップをもって来てくれた、しかもあれは特注品でゆいゆいがデザインしたものを作ってくれたこの世で二つしかない物だったのに私はそれを壊した。
「ううん、ユカリちゃんが無事ならあんな物大した物じゃないよ♪」
ゆいゆいはそう言って気遣ってくれたがそれでもその顔はとても切なく悲しそうな笑顔だったことに私はその顔が忘れられなかった。
☆★☆★
「それで、ユイ姉は許してくれたんだろ?」
夏休み期間中、一日だけ集会がある私の学校は午前で終わる。その事から二日経っても私は立ち直れなく同じクラスの友達抹綺優牙ことユーゴ君に相談する。彼は情報を売ったり買ったりする事で最近生計を立てている、両親は昔に亡くなって以来知人に引き取られたが今では離婚寸前で仕送りなしでネットカフェという場所に住んでいるらしい。
「うん、でも………私もゆいゆいもお気に入りにのマグカップだったのに…」
二人の時は必ずココアやコーヒーなんかを淹れて飲んでたのに、あの日も飲もうとゆいゆいが用意していたのに……
悲しさが溢れて全く立ち直れる気分じゃない、私は何とかして手に入れたいが非売品の為入手不可能だ、勿論私のデザイン性も皆無で特注出来るものでは無い。
「ならもう一度頼めばいいんじゃね?」
「ゆいゆいも同じものを同じデザインするのは困難だって言ってた・・・・うぅ」
絶望して頭を打ち付けて記憶喪失にでもなりたいとも思ってしまったがゆいゆいとの大切な記憶があるからやめたんだった。
「直接ユイ姉に聞くってのは?」
「出来ないよ!これ以上傷つけたくないもん!」
食い気味に発言してしまった、いつもお世話になってる人にこれ以上迷惑かけないようにしないとゆいゆいが過労死してしまう。
「ユーゴ君、確か情報を売ってるんだよね?」
そう言えばユーゴ君は情報を売り買いしてると聞いた事がある、それでゆいゆいの特注先を知れればもう一度頼めるかもしれない。
「そーだが?俺の情報は高いぜ?しかも必ず掴める保証はねぇぜ?」
「お金ならある!だからお願い!」
私はダメ元でもユーゴ君にお願いした。私が覚えてる範囲でマグカップや模様を伝えその特注先の情報を探してもらうことにした。期待は大きくするのはいけないがどうか特注先が見つかりますようにと切に願った。