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幻影道 四.五巻   作者: SAKI
26/50

「毒にも薬にもならない一日」その5

☆★☆★ ユイ


 何とか切り抜けた、安堵を浮かべるとアリアちゃんは顔色を窺っている。


「何?」


 つい威圧的な態度を取るとびくっと怯えてしまった。


「大丈夫、殴ったり刺したりしないから」


 最初はどうなるかと思ったが物理的に解決できて良かった、アリアちゃんは私の事を理解してるみたいで安心した。その言葉を聞いたアリアちゃんもほっとしているようだし。


「ユイちゃんは本当におっかないなぁ………」


「そう?」


「うん、まるで私を殺そうとする目だったから・・・流石にそこまでは・・・しないよね?」


 疑問形で返されても反応に困る、適当にあしらうか。


「一応友達?だからね」


「ほ、本当に??今まで一度も言ってくれたことないよね?」 

    

 そうだったっけ?覚えてないや、どうでもいいし。


「ま、私も覚えてないからやっぱり撤回するね」


「適当にあしらう気だったでしょ!?」


 初めてアリアちゃんに見透かされプンプン怒ってしまった、仕方無いから手を握ってやることにした。


「これで機嫌直してよ」 

 

 優しく握るとアリアちゃんは耳を真っ赤にしながら此方を向く。


「むぅ………ユイちゃんは狡いよ」


「何が?」


「ふんっ」


 機嫌が直ったかと思ったらまたそっぽ向いた、正直相手するのが面倒くさいからそのまま連れて行こうしたがアリアちゃんの方から手を引っ張られた。引きずるように到着したその先は露店で販売しているアイスクリーム屋だった。


「さっきこの星に来たら美味しそうなアイスクリーム屋が露店に出てたからそれ買ってくれたら許してあげる」


 何だかユカリちゃんみたいな女だ、ユカリちゃんの方が可愛げがあって弄りたくて目が離せないけどこいつの機嫌を損なうと恐らく今後の仕事に影響が出るだろうなら二人分を購入することにした。


「ありがとう♪」


 私は自分の分として購入したアイスクリームを舐めた。見た目で判断したがイチゴヨーグルト味は中々濃厚な味わいだ。二つの甘酸っぱい味とミルクが丁度良く混ざって絶妙な味わいが楽しめる。アリアちゃんのはオレンジヨーグルトでこれまた美味しそうだ。今度家族に買ってあげたいくらい美味しいと呼べる代物だ。


 私は心の中でそう決めるとアリアちゃんも一口と豪快に食べると声にもならない言葉が発せられた。


「つ、チュベタい!!」


 アイスクリームだから当たり前だと言おうとしたがアリアちゃん自身地球の物を食してないからよくわからないのか………なんだか前の自分を見てるみたいで気持ち悪い。


「全く、アイスクリームは氷で固めてるから使ってるから冷たいの、食べすぎるとお腹壊すし頭がキーンってするから覚えておいたら?」


 私の言葉に頭を抱えるアリアちゃんは辛そうに頷く、仕方無い、近くに丁度ベンチあるしそこで食べるか。


 私はアリアちゃんの手を引っ張りベンチに腰を下ろした、その後はゆっくり話しながらアイスクリームを二人で堪能した。アリアちゃんから一口貰い、私も一口あげるとアリアちゃんは眩しいくらいに笑っていた、私とは違う笑顔だった。

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