「天然と清楚な仲」その5
アヤ先輩は案の定喉を詰まらせマツキ君から慌ててお茶を貰い飲ませてなければ命に関わる事態になったかもしれない。いや、実際起きててんやわんやになったから本当に危なかった。
「ごめんなさいね〜自分がゼリー状の物しか食べたことないの忘れてたわ♪」
当の本人は天然なのか死にたがりなのかよく分からない笑顔を浮かべている、見た目よりも冒険心のある女性なのかな?
「危うく死人が出るとこだったぜ………」
必死になった私達は何だか損した気分だ、取り敢えず近くの公園のベンチでゆっくり食べたながら私とマツキ君は疲弊して寄っかかっていた。
「マツキ君、ありがとう。えっとお金は・・・」
あまり多くはないがユイお姉様から初任給として地球のお金を貰った。まだ勝手がよく分かっていないけど千円札で足りるかな?と取り出そうとしたが止められた。
「これは俺の奢りだせ?流石に美少女からは受け取れないぜ」
「ユイお姉様からは沢山貰う予定なのに?」
「ユイは雇い主だからな」
そう割り切っていると断られマツキ君は一息入れると立ち上がった。
「俺はちょっと野暮用があっからもう帰るわ」
マツキ君はそう言って…お礼も言えずその場から立ち去ってしまった、今度会う時にはお礼に何か奢ってあげようかな?と考えているといつの間にか完食して満足気に頬に手を当てるアヤ先輩が視界に入った。やっぱり美人だなこの人。
「あら?あの子行っちゃったの?」
見ていなかったのか辺りをキョロキョロするアヤ先輩、マイペースで天然でそれでも一所懸命に仕事をする先輩は光星にいた時から憧れていた。今は色んな事情も知ってるから労ってあげたい気持ちもあるけど今は私もアヤ先輩ものんびり過ごしたいと思う気持ちは一緒にのんびりしよう。ここは私達の避難場所、誰にも邪魔させない平和な世界なんだから。
「ふぁ〜あ」
そろそろ帰ろうとしたその時、アヤ先輩は大きな欠伸をする。とても眠たそうで今にも寝てしまいそうだ。
「アヤ先輩、そろそろ帰りましょうか」
私は声を掛けるとアヤ先輩は目を擦りながら私の手を握リながら頷く。
「帰りましょうか〜アスカちゃん、私達のお家に」
アヤ先輩の笑顔に私も頷く、初めて人と手を繋いだ感触と温もりはずっと忘れないでいられるかな?
私達は互いに微笑みながら私達の帰るべき場所へと帰っていくことにした。もう日は暗い、叱られないといいな。




