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幻影道 四.五巻   作者: SAKI
20/50

「天然と清楚な仲」その4

「それでも今はこうして皆と食事したり会話したりするのが楽しくてつい過去の自分を忘れがちなんだけどね」


 アヤ先輩は一息つくと仕事する手が止まっていた事に気付いてせっせと書類を纏める。話によれば今はやっと三十キロにまで伸ばせたらしいがまだまだ年齢的にもまだ下の方だ、これから少しずつ増やせるからと意気込んでいる。地球の言葉や書き方も段々と慣れ始めてとても幸せな気分だと言った。そんなアヤ先輩はとても明るくて眩しかった。でも私だって先輩やユカリちゃんやユイお姉様が優しくてしてくれてとても幸せだと私の想いを伝えた。


 それに私はまだ十代、出会いや別れもあるかもしれないけどちょっとずつ過去の私を忘れようと思う、これが今の私だと天国にいるお母さんとお父さんに自慢の娘だと思ってくれるように精一杯頑張らないと!!


「アヤ先輩、重い物は私に」


「ありがとう、アスカちゃん。その代わりこの書類を纏めてクリップで閉じて本棚に」

 

「了解です!」


 私とアヤ先輩はそれぞれの役割を指示し私は武器や積み重なった本の整理、アヤ先輩は計画表や星のマップと書類の整理整頓を行い何とか日が暮れるまでには終わらせることが出来た。


☆★☆★


 ユイお姉様に報告し二人で帰宅する、夕暮れで小腹が空く時、何処から美味しそうな匂いが漂う。


「あっ」


 ついその匂いを辿ってしまうとそこにはコンビニから出て来るマツキ君が何かを買い食いしていた。


「お、アンタ達は・・・」


「私はアスカだよ、こっちはアヤ先輩」


 軽く自己紹介をするとアヤ先輩は小さく会釈する。


「珍しいな、異世界組がコンビニなんてよ」


 単純にお腹が空いたからとは恥ずかしくて言えずつい近くに寄ったからと濁らせてしまった。


「そっか、ならアンタ達にお裾分けするぜ。これから宜しくの挨拶代わりだぜ」


 マツキ君はそう言ってスーパーの袋から茶色の包み紙を渡された。中は熱されてるのか温かい。


 中身を確認するとそれは白い物体だった。


「肉まんって食ったことあるか?」


 肉まん??この世界にはそんなものがあるんだ。


「いえ、ありません。どういうものなのですか?」


 マツキ君が知る【肉まん】は薄い生地の中に挽肉や玉葱を入れて蒸した物らしい。一見饅頭みたいな見た目なのに名前が変わるなんて凄い!アヤ先輩のはピザまんと言うヘンテコリンなものだ。


「ま、一回食ってみりゃあ分かるぜ」


 マツキ君は深く頷くと私は取り敢えず一口と口を開けて食べて見ると私は絶句した。


 ふわふわの生地に蕩けた肉汁溢れる食感、中身は裂かれると地球では旨味成分と呼ばれる特殊な成分が含まれているのか漂う匂いは食欲を唆られる。

ゴロゴロとした肉と玉葱を咀嚼するとこれまた肉汁が溢れ出る。絶え間なく続く幸福感に私は気を失いそうになるほど美味しかった。


 熱々で飲み込むと一気に胸が熱くなる、夏の季節でもやはり冷える時は冷える、冷えた身体をそんな中肉まんを食べた衝撃があまりにも強大で恍惚とした顔で一言しか言えなかった。


「お、おいひぃ……」


 こんな絶品は初めてだ、私はもっと食べたい貪欲に食べ進めるといつの間にか食べ終わってしまった。地球の食べ物は恐ろし過ぎる、まるで悪魔に取り憑かれたように私を操るなんて・・・


 私は地球の食べ物に畏怖し、改めて驚異を知った。


「そ、そんなに美味しかったの?」


 アヤ先輩は初めて見る物に身構えて中々進められなかったところで私は正気に戻る、私は幸福に満たされながら頷いた。


「な、なら私も!」


 アヤ先輩も気合一閃、小さな口でピザまんに齧り付いた、それがとても愛らしくて一番忘れてはいけないことを思い出した。


 アヤ先輩ってちゃんと飲み込めるのかな?ゼリーとか喉が通りやすい物を飲むようにして食べてるって話だったけど相手は生地でしかも飲み込むに少し時間が掛かる物をいきなり飲み込もうとするとどうなるのか私は一気に戦慄しアヤ先輩に声を掛けたがもう時既に遅しだった。

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