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幻影道 四.五巻   作者: SAKI
17/50

エクストラ「契約と約束」その3

 騎士団団長の報告を済ませた後、俺等はさっさと帰ろうとしたその時、さっきまで抱いていた男女とその騎士団が俺達を包囲した。気付かれていやがったか、伊達に騎士団ではないってことかよ。


「お、おい、彼奴等剣持ってるぜ!?」


 まじでファンタジーに出て来るカッチョいいモン持ってるぜ!?関心してはいるが命の危険を感じる!


「当たり前でしょ………何処から見てたか知らないけど今から私達は帰るの、邪魔しないで」


 刃を向けられても全く動揺しないあたり戦闘には慣れてるっぽいな。


「こいつ等は捕まえていつもの場所にでも連れて行こうか」


「えぇ、たっぷり可愛がってあげないとね☆」


 まぁ相手側からしたら逃してくれる訳ねぇよな。だがユイ姉はこの世界で滅茶苦茶嫌われてるって噂があったのにこいつ等は知らねぇのか?


 俺はそんな疑問を抱いていると女の子騎士から投げナイフが剛速球で飛んできた!俺は反射的に避けられたが頬は掠ってしまった。


「おいおい、マジかよ……」


 マジモンか……頬を切って血を流してやがる……しかもあのスピード、命中率、下手したら腹に突き刺ってんぞこれ!?


「ユイ姉、どうすんだ?」


 俺はユイ姉に声を掛けるとつまらなそうに溜息を吐いた、瞳を閉じて頭を抱える。次の瞬間、ユイ姉の目は鋭く開き、地面に突き刺さったナイフを拾い上げると一言呟いた。


「駄目じゃない、投げナイフは一撃で致命傷を仕留めなきゃ………こんな風にね」


 次の瞬間、さっきのとは比べ物にならないくらいの閃光のようなスピードで女騎士の心臓に突き刺さった。あんなの避けられねぇよ………刺さった相手は倒れてピクリと動かなくなった。


「この女・・・!!」


 一気にざわめく人達、並の人間では到底躱せないスピードに腰を抜かす奴も居た。そして彼等は気付いた、こいつは危険だと。命のやり取りするには実力も頭も足りないと判断した彼等は一斉に逃げ出した。


「はぁ………放置して逃げるなんて騎士団の風上にも置けないね」


 そして次の言葉に俺は呆然と立ち尽くした。


「手を出したのはそっちなんだからさ、逃げるなら“死んでよ”」


 ユイは光の速さで敵に追いつき何処から取り出したのか不明な長い剣を女性の髪を掴み、喉元に突き刺した。悲鳴は一瞬、裂かれた喉にユイ姉はトドメの一撃で首を切り落とした。一人、また一人と鮮やかに殺していくユイ姉はまるで殺し屋、殺戮者だった。


 あの剣、ゲームで見たことがある、確か・・・フランベルジュって奴だった気が・・・しかも年季が入ってるのか鉄が錆びてて肉を削ぐのに力が要りそうな程錆びついていた。


 ただの道が一瞬にして血の海になった頃、最後に男の頭を押さえ、壁に数発叩きつける。目を覆いたくなるほどの血塗れにユイ姉は嗤っていた。


「ボコれば美形もクソもないね?」


 ユイ姉の敵には慈悲も愛も無く、徹底的に叩き潰し戦意を削ぐ以前に排除する。隙は無くほんの一瞬で何十人といた人間は皆は首が切り落とされ残りは男一人だ。


「た、助け―――― 」


 助けを求めようがユイ姉は更に顔面を壁に叩きつける。


「助けて??私を敵にしたのはアンタ達でしょ?アンタが手にかけた可哀想な女は皆死んだし上に報告したしどの道助からないよ?」


 それでも助けを請うのが人間で命あっての物種という言葉があるように人はどんなに堕ちてもやり直せるチャンスはある……だがユイ姉はそんなチャンスさえも与えないだろうな。


「助けてもアンタの場合ロクでもない人生送りそうだから価値ないよ、サヨウナラ」


 ユイ姉は独断と偏見だけで人を殺す、最後に見たのは男性の首がへし折られ、四肢を投げナイフで何本も突き刺された遺体になっていた。


「ふぅ〜帰ろっか、邪魔は消えたし♪」


 そしてユイ姉はまるで一仕事を終えたように笑いながら戻って来た、この狂気さに俺は身構えてしまう。


「す、すげぇな………どんな訓練したらそんな暗殺者みてぇになれるんだ?」


 俺は冗談混じりに聞くとユイ姉は天真爛漫にも笑った。


「復讐心と殺意とやる気かな?」


 天真爛漫に言い放った言葉は全くもって役に立たない情報に俺は呆面になってしまった、そしてユイ姉は何事もなく偵察の説明や報酬について語ると俺にデバイスを渡してきた、これが所謂戦士用スマホっという物か。


「後は帰るだけ!行こっか!」


 と言い残すと俺達は何事もなかったかのようにこの場から撤退する、こんな狂気の世界だったのか?俺の憧れのファンタジー世界ってのは。

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