エクストラ「契約と約束」その1
☆★☆★ ユウガ
ユカリが急に居なくなって二十分後、美人美少女残して何やってんだか、二人には飲み物を渡すと丁寧に礼を言う滅茶苦茶可愛い二人だった。ユカリについて語ると二人は喜々として聞いてくれたお蔭で場は何とか繋いだ時にユカリはユイ姉と一緒に何か黒いケースを持ちながら来やがった。
「ゆ、ユイお姉様!?」
柊明日花は見るなり挙動不審におろおろする。ここは元々一人用、即ち三人だけでさえもうキツキツ、それを図ってユイ姉は二人を少し退いてもらいあまり使用していないテーブルを目の前に置いてそこにケースを置く。下は一応畳になってるが俺は絨毯を起き座らせた。
「話は聞いたよ♪お金問題が解決すればいいって」
ユイ姉の動きに巨乳が揺れてテーブルに乗せる。やっぱり巨乳は至高だ、あんなドデカイメロンはグラビアでもそうそういねぇよ。
「まぁな、だからこうしてやっすいネカフェに住んで情報を売り買いしてんのさ、もっとでっかい仕事に有り付けりゃあいいんだが」
ふっふっふっと奇妙に笑うユイ姉、そして謎の黒いケースに手を掛け中身に絶句した。
「な、なんじゃその大金??」
映画とやドラマでしか見たことない大金に思わず固唾を飲む。
「ユーゴちゃん、手順としてまずこの契約書にサインしてくれない?」
断ることすら間もなくユイ姉は一枚の契約書を渡す。内容は単純で俺に偵察の任務と護衛らしい。
「偵察は危険なお仕事だから一つにつき五万、護衛も五万、二つ同時なら十万よ。それにこの前言ってたお姉さんスペシャルオプションセット付きでね」
家と仕事を与えるって話か、その代わり騎士団に入隊すると言う契約をしなければならない。こんなの俺にとって僥倖だ。金も家も手に入り、周りには美少女と友達しかいない、だが一見メリットだらけな気がするがデメリットは“死ぬ”かもしれないこと。それ以上にないデメリットだ、俺は死ぬのが怖くて逃げてしまったが今回ばかりは返してくれなさそうだ。ユイ姉は何としてでも俺を手中に収めたいみたいだな。
「どうかな、お姉さん頑張ったよ?ユーゴちゃんの為に沢山貢ぐから騎士団に入ってくれない?」
本心はどうなのかは分からないが悪意は感じない、寧ろ保護したい心の方が上回ってる気がする。
ユイ姉は決してガキである俺等を悪用しようだなんて考えていないはず、だがここで契約すれば俺はどうなるか分からない、どうすりゃいい?
悩みに悩むが条件は揃ってる、だが………うんと頷けれねぇ……死ぬ事がこんなに嫌だなんて実感したのは初めてだぜ。
「ユーゴちゃん?」
だがこの人はそう簡単に諦めてくれないだろう、色んな奴と取引をしていたから分かる、“こいつは何でもやる”と。
「・・・どうせ無理矢理にでも引き込む気だろ?」
俺は芝居を打ってどう出るか観察する、腹の中がどうなってるのか知りたい、それを探るには一芝居打たねばな。
「う〜ん、そうしたいけど。ユーゴちゃんが嫌なら諦めよーかな?」
だが言葉とは裏腹に諦めると発言した、顔の表情は全く変化せず正直だ。
「な、ならよ。入るって言ったら?」
その言葉にユイ姉は飛ぶように嬉しがった、俺の事を買い被りしてるのかそんなに俺は肝が据わった奴じゃねぇのに。
「お姉さん、ユーゴちゃんみたいな子は好きだよ?何事にも疑い、本質を見抜き、正しいと思える道を真正面から進める子はさ♪」
こいつ多分気付いてんな、俺が芝居打ってることに、でもユイ姉自体は悪い女じゃない。寧ろ俺に天職を勧めて来るような天使のような女だ、断るのは少々気が引けるな。
「だ、だったらよ、職業体験的な感じてさ一回やらせてくれないか?アンタ達の“仕事”って奴をさ」
外堀はもう埋まってる気がする、だからこそ契約と体験を求める、上手く行ったら俺の稼ぎは潤沢になる、喧嘩なら馴れてるし生存が約束されてるなら一回だけやってみたい感は出てしまうな。
「おっ、やってみる?それじゃあ――――― 」
俺はユイ姉から渡された資料に目を通しながら話を聞く、何だかややこしい仕事であり厄介な事を感じながらユイ姉がまさかの直々に初めての偵察任務の仕事を受けることとなった。
正直の所、右も左も分からない俺があっちの世界では何処まで通用するか分からねぇ、取り敢えず一旦は仮入隊と言う形で仕事をすることになった。




