表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻影道 四.五巻   作者: SAKI
14/50

「天然と清楚な仲」その2

 数日後、私の体調は急激に良くなった。皆さんのお見舞いとアヤ先輩のハーブティーのお陰で予定していた日より一日早く動けるぐらいにまで回復した、だけどまだ病み上がり、ユカリちゃんとアヤ先輩がスタミナを付けようと何故か近辺にあるネットカフェへとやってきた。


「美味しい物って私はよく分からないから情報屋に頼もうかなって!ゆいゆいの手を借りても良いけどどうせならね!」


 なるほど、だからネットカフェへ・・・ここは借り家と何が違うんだろう?シェアハウスとは言えないし・・・


 私達はネットカフェの奥に進むと部屋番号の横に札を見つけるとそこには個人のIDカードなのか差込口があった。そしてその横にスピーカーもありユカリちゃんが言葉を交わすとドアロックが外され扉が空いた。


「よ!何用か?」


 そこにいたのは茶髪の髪にこめかみには水色のメッシュが入ったフレッシュな男の子が出て来た。ユカリちゃんは事情を説明すると颯爽と私達を中に入れてくれた。


 中は思っていた以上広かった、テレビにパソコン、クローゼットに空気清浄機などがあって生活感のある空間となっている。確かこの人の名前はマツキ君だった気がする、ユイお姉様が目に掛けていて声も掛けているが判断待ちだとか。


「スタミナが付けるお店ってどこかな?いくらで売ってくれる?」


 彼は情報で収入を得ているとは聞くが彼はまだ学生だと言うのに育児放棄にしまいには家を実質的に追い出されてる立場らしく仕方なくネットカフェに住んでいるのだとか、だがここはあまり良くない気がする。


 色々と自由に動けるのはいいが食事やシャワーにも毎回お金が掛る、それを繰り返すとお金の減り方が著しく高くなるはず・・・これをお姉様に伝えれば彼も懐柔出来るのだろうか?


「その情報は友達価格で二千五百円だな、スタミナが付く店はざっと見て何百とある、そこから評価が高くて女性でも人気なのは・・・」


 ユカリちゃんから聞いた話だと恐らくこの子がマツキ君か、私は彼の華麗なるパソコン捌きに感心すると近くのお店の地図が現れた。


「丼屋【ハッスル】だな、俺も前に食ったことがあるが滅茶苦茶好評且メニュー豊富なんだぜ」


 あんなにたくさんあった店からこの一軒に辿り着くまで数分しか掛からなかった、この人は是非ユイお姉様と一緒に仲間になってくれたら助かるんだろうな。


「はい、お金」


 情報を得るとユカリちゃんは金額を少し上乗せした金額を渡した。


「友達価格で減らしたのに増やすのかよ?」


 マツキ君は訝しげな表情でユカリちゃんを見つめるも笑顔で頷くと溜息を吐く。


「そっか、ありがとうな」


 ユカリちゃんと私とアヤ先輩はお礼をして出ようとした時、ユカリちゃんはあの提案をする。


「ユーゴ君、本当に来てくれないの?」


 私達の仲間になる、ユカリちゃんはそれを望んでいた。何故学生である彼がこんな借り家をしてまで家に戻らないのかは分からない、ユイお姉様も何故彼を欲しがってるのかもよく分かっていないから私には納得できない所が多い、一体彼に何の需要が?


「・・・・悪い、今は無理だ」


 きっぱりそう言うとユカリちゃんは寂しそうに言葉を発する。


「・・・・お金の事?」


 後から聞いた話だけど彼はどうやら幼い頃から親を亡くしてその知り合いの人の家で育ったが両親共々仲が悪く二人して別居して一人ぼっちにする生活が長く続いていたらしい。それでも中学生までは仕送りで生きていたがついには仕送りされることなく家の家賃も払わず追い出される始末。そこで仕事として色んな人達との情報を売り買いすることで生計を立ててることにしたらしい。はっきり言って可哀想だ、ユイお姉様はユカリちゃんの友達として大人として見過ごせないという理由で誘ってるらしい。


 家も仕事もあるのに何故彼は誘いを断り続けているのか謎が深まるばかりだ。


「まぁな、学費もその他諸々で稼がないとな、ユカリやユイ姉に迷惑掛けることにもなるしやめておくぜ」


 それでもユカリちゃんは諦めることをしない顔だ、ユイお姉様も恐らく必ず手に入れると言っていたのを思い出した。


「んじゃあさ、お金の工面が出来れば入ってくれるの?」


 ユカリちゃんの問いにマツキ君はふっと笑った。


「まぁな、何十万ぐらいの仕事があれば何とかな」


「仕事じゃなくて契約でも?」


「ま、仕事によるな。俺は女の為なら命張れるぜ?だからもっと沢山仕事がありゃあ・・・」


 マツキ君の言葉にユカリちゃんは閃いた顔で走り去って行った、追い掛けようかと思ったらアヤ先輩に止められた。


「ユカリちゃんも面白いこと閃いたわね♪」


 まさかアヤ先輩は察したのか!?


「何を閃いたんです?」


 私の言葉にアヤ先輩はほんわかする笑顔でこう発言した。


「私、カレイたわ!」


 ???????


「はい?」


 アヤ先輩・・・?


「あの先輩・・・もしかしてお魚の鮃の事言ってます??」


「え、違うの??」


 ??????


 言葉の矛盾と言うか……間違ってると言うか……シャレということなのかな?でも凄いドヤ顔してるし…


「ごめんなさいね♪つい閃いた顔だったからカレイ…………あら??」


 言ってる本人が気付いてない!?


「ご、ごめんなさい!!なんか分からなくなっちゃったわ!!」


 大丈夫ですよ先輩、誰も理解出来ていませんから。私はその後変な空気を変えようとしたけどおどおどしてて逆に混乱を招き余計にややこしくしてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ