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幻影道 四.五巻   作者: SAKI
11/50

「凸凹コンビ」その5

☆★☆★ プレア


 誰も助けてくれなかった、でも皆分かってるんだアタシが実は間抜けで肩透かしの女だって。トラウマから立ち直れないから皆アタシの事嫌いなんだよね。ユイものあっちも助けてくれない、見限られたってやつなのかな?アタシなんて………大嫌いだ。


 ストレスが溜まるとアタシは大量のご飯を無理矢理食べる、死ぬほど食べて全部最後に吐き出す。痛くても関係なく食べまくれば安らぐと思い込んでそしてやっぱり吐く。こんな生活耐えられない、アタシは【過食嘔吐】と呼ばれる病気を抱えている。でもストレス発散方法がこれしか思い付かなくてやっぱり食べて吐き出す、身体に悪い事は解ってる、でもやらないとストレスで頭がおかしくなる、今日もまた食べようとしたその夜、リビングルームに偶然現れた工咲彩ことアーちゃんが通りがかった。


「あら?そんなにお腹減ってるの?」


 違う、でも食べないと。


「う、ううん!違うの、食べ無いとストレスでさ!」


 本音を言うと助けて欲しい、でも言えない。こんなアタシを誰にも見られたくない。


 アーちゃんはそのまま帰ると思ったが私の横に座り込んだ。


「嫌なのにそんなに食べるの?」


「まぁね」


 さぁ食べようとしたその時、アーちゃんから手を遮られた、顔を見ると真剣で見透かされたように発言する。


「もしかして、吐いてない?」


 アタシの状況を見て核心に迫る、アタシは違うと言えず唇を震えることしかできなかった。痕跡は一切残してない、手で無理矢理吐き出してる訳じゃないのにどうして?


 アーちゃんにバレたのか腕を掴まれ目をみろと肩をこちらに向けさせた。


「ご飯は楽しく食べる物よ、そんなことしたら辛いのは自分よ?」


「分かってる!でも・・・」


 逃げたいと思ったその時、アーちゃんは急にセーターを脱ぎ全裸になる。全く理解できなくて焦ってるとアーちゃんは大きなおっぱいをアタシの手を使って掴ませた、どういう状況!?


「あら違う?」


 何もかも違うけど本人は何を思って脱いだのだろう?アタシ今ナーバス中なのに。


「アタシ今絶賛ナーバス中っしょ?急にぶっ飛んだ方に行くのどー言うこと?」


 アーちゃんは全く理解できなくて小首を傾げる、マジでどういう事なの?


「疲れてるならおっぱいかなって」


「揉むとストレス解消的な?」


「そう!違うかしら?」


 ぶっ飛んでるけどそんなアーちゃん嫌いじゃない、寧ろ好き。


「取り敢えず服着な?夏でも夜は寒いっしょ?」


 と発言したのにアーちゃんは首を横に振った。


「ストレス解消の飲み物があるの、作ってくるわ」


「裸で!?」


 ええと真顔で発言されっとアタシが困惑する、これが裸族というのか!?


「恥ずかしくて見られたら赤面するけど・・・それも何だか興奮しちゃって・・・私、見るものすべてエッチに想像しちゃうから・・・」


 ああ違う、変態だった。こんな可愛くて美人でも変態っているもんなんだな。


 そして何を言う事もなくキッチンへと向かって言った、これ見られたらマジでヤバイよ??


☆★☆★


「じゃーん、今回はセージとフェンネルを持ってきました♪」


 何それと聞き返して説明されても理解できなかったのでスルー、何かを和らげる??みたいな感じだった!


「うわ、何か変な味」


 今まで食べた物よりも味が薄くてなんとも言えない味、これが美味しいのかどうか分からないけど嫌いじゃない。透き通るような風味に優しく包むこんでくれる。何だか食べる気が失せて睡魔がやってきた、このまま横になったら間違いなく寝れる気がする。


「ユイちゃんやアリアンロッドさんから聞いた話だと食べ過ぎで胃に負担がかかってるかもしれないっていう情報を頼りに消化器官を和らげたらと思って作ってみたの♪」


 そっか、アーちゃんはアタシの為に……何だか急に眠くなった。


「うふふ、眠たそうね♪」


 アーちゃんの言葉にコクリと頷き立ち上がる。


「お腹いっぱいだし気持ち良く寝れるかも、ありがとうアーちゃん」


 目のやり場に困るけどアーちゃんは優しい女の人だ、お礼を言うと朗らかに笑った。


「もし何か悩みや辛いことがあったら私のところへいらっしゃい、ハーブティーと一緒に聞いてあげるわ♪」


 ありがとうと深々く言うとアタシは自分の部屋に辿り着くと服を脱ぎ裸で布団に入る、やっぱり裸が一番だ、人前は恥ずいけど寝るときなら別に恥ずくないし爽快感があるからハーブティーもご馳走になったことだしアタシは一眠りにつくことにした。


 家族っていいな、モデルの仕事断ろうかな。今のアタシの器ではきっと激務に耐えられないしまた過食嘔吐を止められなくなる、もう少し身体を休めて体調がよくなってからにしよう。アタシはアタシ、決めるのもアタシなんだ。だから今は身体を休めるに時間を費やそうと考えを決めて瞳を静かに閉じることにした。


 その日、アタシは夢を見た。大人になったアタシ達が仲良く皆で何処か旅行してる夢を。大好きなのあっちの失った瞳は確かにそこにあった。空色のようなガラスの瞳だった。それは全てを見透かすような瞳でアタシの愚痴に対してあれやこれやと意見している。その光景はとても楽しく幸せな日常だった。あの光景をアタシは実現したいと願った、家族で何処かへ行ったり食べたり寝たりして残りの人生を最高の物語にしたい。


 気が付くと朝になってた、アタシは着替えてすぐ走り出した。

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