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処刑開始までのカウントダウン

 スティーブとクアンタは、タリバーンとヒートの処刑の警備の為にベンスーラに来ていた。倒す目標を失ったスティーブは気を落としているが、同期のレノルと再会し、彼女によって無理矢理町へ出かけることになってしまった。


「いやー、やっぱおいしいわパフェって」


「あ……ああ……」


 スティーブとレノルは今、町のカフェでパフェを食べている。レノルはおいしいおいしいと言ってパフェに手を付けているが、スティーブは食べようとしなかった。それを見たレノルはため息を吐いてこう言った。


「スティーブねぇ、いい加減元気出しなさいよ。プライドなんてそんなもん捨てなさいよ。そういうの持ってるからあーだこーだいってストレスが溜まるのよ」


「そういうものか? だが……私としては……」


「はいはい口答えはしない! この仕事にプライドを持つのはいいけど、過剰に持ってたら今みたいになるから!」


 と言って、レノルはスティーブの持つスプーンに無理矢理パフェをすくい、スティーブの口の中に入れさせた。


「んがっ! むぐっ、むぐっ!」


「いい声出すじゃない。それじゃあ飲み込んで」


「無理矢理食べさせなくてもいい! 自分で食べる」


 スティーブは咳ばらいをした後、水を飲んでパフェを食べ始めた。その時、別のセイントガーディアンが近付いてきた。


「レノル、何やってんだこんな所で?」


「見ればわかるでしょ。おやつの時間よ」


「休憩時間をとるって言ったかー?」


「後で言う。それよりも、元気のない同期に元気付ける方が優先よ」


「同期?」


 セイントガーディアンはミツルギの方を見て、声を上げて驚いた。


「お前の同期ってスティーブかよ!」


「ミツルギに挑んで負けた奴」


 その言葉を聞き、スティーブの動きが止まった。レノルはそのセイントガーディアンに近付き、羽交い絞めにしてこう言った。


「今ミツルギだかって奴がいないから元気付けてるの。何度も負けた挙句、誰かに倒されたから」


「倒されたから別にいいじゃないか」


「よくないわよ。スティーブは自分の手で倒さなきゃ気が済まないって奴なのよ」


「もういいレノル。奴のことは忘れる」


 と、スティーブがこう言った。レノルは羽交い絞めにしていた二人のセイントガーディアンを開放した後、蹴っ飛ばしてスティーブに近付いた。


「忘れるって言ってもすぐに忘れられるわけないじゃない。ゆっくりと、時間に任せれば忘れられるわ」


「いや……すぐに忘れるさ」


「無理よ。あんた本当に昔から変わらない。変なプライド持つところも、変な所で無茶するのも」


 レノルはスティーブを見て、呆れたようにため息を吐いた。


「すまないなレノル。心配かけたみたいで」


「今でも心配よ。全くもう、昔から変わらないなら今度、スティーブの所に異動しようかしら」


 レノルは席に座り、パフェを食べ続けた。




 監獄にいるタリバーンとヒートは、小さな窓から入る光を見て会話をしていた。


「あともう少しで処刑だとさ」


「私たちが死ねば、父さんの血筋は途絶える」


 その言葉を聞いたタリバーンは、大きなため息を吐いてこう言った。


「これで完全に奴らの思うつぼ。世界は崩壊の道を辿って行くわけか」


「そうですね。強欲な人間が全てを支配したら大変なことになる。一組の家族、一部の人間の為に多くの人々が苦しみ、絶望する……」


「奴らには力も権力もあるし、どうしようもできねーなー」


 タリバーンの言葉を聞いた後、ヒートは目をつぶった。しばらく黙っていたため、タリバーンはこう聞いた。


「何目をつぶってんだ?」


「祈ってるんです。奇跡が起きることを」


「そんな簡単なことで奇跡が起きたらいくらでも目をつぶってやる。世の中そんなに甘くないぜ」


「知ってます。ですが、今できることはこれしかないので」


「確かにな」


 タリバーンは返事をした後、ヒートと同じように目をつぶった。


「あーあ、誰か助けてくださいなーっと」


「真面目に祈ってください」


 ヒートは小さな声でタリバーンにこう言った。




 それから数日後、ベンスーラにはいろんな人間が集まっていた。処刑を見るために来た者、処刑の中で何かがあると察する者、そしてその騒動に動じて賞金首が来るだろうと考えてやってくる賞金稼ぎ。オマリー兄弟も処刑の中で暴れるだろう賞金首を求めてベンスーラに来ていた。


「うわー、すごい人だね兄貴」


「ああ。前国王の弟と息子の処刑だ。誰もが何かが起こるって思ってるんだろう」


 ロッソはそう言うと、周囲を見回してこう言った。


「もしかしたらこの中に銀色の竜の連中がいるかもな」


「うぇー、オイラと兄貴で勝てるかなー?」


「勝てるさ。どうせミツルギとネレスほどの強さじゃない」


 その言葉を聞いたヴェルデは、ため息を吐いてこう言った。


「ミツルギとネレス……いい奴だったのに何であんなことに」


「もう二人のことを考えるのはよせ。死んだ人間のことを何度考えても蘇りはしない。それで蘇るんだったら俺もお前と同じことをしてる」


「だよな……」


「さ、とりあえず予約した宿に行こう。長旅で俺は疲れた」


 と言ってロッソはヴェルデを連れて宿屋へ向かった。


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