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修行の日々

 マトマは呼吸を整え、チャーンズにこう話した。


「魔族の血があるミツルギ様の治療速度は早いです。人で言えば全治半年以上の怪我を絶った数日で治る程度です。光の魔力があるリマ様の血も引き継いでいるということもあるのでしょう」


「確かにな。魔族は傷の治りが速い」


「ですが、ネレスさんはどうでしょう? 普通の人間であれば全治半年……下手したら命に関わっているような傷がもう治っております」


「ネレス様がただの人間ではないと言いたいのか?」


 チャーンズの言葉を聞き、マトマは少し間を開けて頷いて返事をした。


「はい。見た目は普通の人間です。ですが、特殊な人間としても傷の治る速度は変わらないと思います。一体彼女は何者なのでしょうか?」


 マトマの話を聞き、チャーンズはうつむきながら考え、導き出した答えをマトマに伝えた。


「しばらく様子を見よう。私から見たら、ネレス様は普通の人間だ」


「私もそうです。何事もなければいいのですが……」


「私もそう思う」


 チャーンズはお茶を一口飲み、そう答えた。




 ミツルギは目をつぶって魔力を開放していた。あれから光の魔力を使えることを知ったのだが、まだ自由に使えないのだ。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


「あ、また闇の魔力だ」


 ネレスは襲い掛かってくるモンスターを斬り飛ばしながらこう言った。ミツルギは襲って来たモンスターを裏拳で追い払った後、水を鏡代わりにして自身の姿を見た。


「まーた銀髪か。自由に使えないなー」


 そう言ってため息を吐いた。その後、ミツルギとネレスは安全な場所へ行き、疲れを癒すことにした。


「うーむ。昨日も光の魔力出せなかったが、今日も出せないのかなー」


「何かコツがあるのかなー?」


 ネレスはそう言って考え始めた。そんな中、雨が降ってきたため風のバリアを張って傘代わりにし、寒くなってきたため小さな火を焚火にした。


「相変わらず便利だなー。自然魔法って」


「ミツルギは使えないの?」


「やってみる……火よ出ろ火よ出ろ火よ出ろキエエエエエエエエエエエエエエエエエエイ!」


 叫び声と共にミツルギは魔力を発したが、構えた右手から出たのは闇だった。


「ダメか」


「不得意得意があるからね」


 その時、ネレスはあることを思いついた。


「ねぇミツルギ。闇を出す時って何を考えながら出してるの?」


「うーん……なんか闇っぽいイメージを出すような感じで……」


「光を出した時、どんなイメージか覚えてる?」


「温かい感じだったな……温かい」


 ミツルギは立ち上がり、少し魔力を開放して右手を前に構えた。


「温かい感じ、温かい感じ……」


 そう呟きながら魔力を出すと、右手から小さな光の玉が現れた。


「おお! 光が出た!」


「やっぱり。イメージが大事なんだね」


「そうだな。俺、闇しか使えなかったからな。ありがとなネレス。おかげでコツを掴んだぜ」


 ミツルギはそう言いながら両手から光を出し、お手玉をしながらこう言った。




 それから時が流れた。掃除をしていたチャーンズだったが、突如目の前にテレラールが現れた。


「テレラール、急に現れるな。ビックリするだろ!」


「大変だチャーンズ、これを見ろ」


 テレラールは手にしていた新聞をチャーンズに渡した。チャーンズは新聞を見て、目を丸くして驚いた。


「二週間後にズガット・オジーブ元国王の弟、タリバーン・オジーブと元国王の息子、ヒート・オジーブの処刑だと!」


「ああ。上の大陸で革命のために戦っていたようだが、大分前に捕まったみたいだ」


 話を聞いたチャーンズは、詳しく記事を読み始めた。そして、その記事にミツルギとネレスのことが書かれていた。


「ミツルギ様とネレス様の知り合いか。捕まってかなり立つが、このタイミングで処刑するのか……」


「何聞いても答えなかったって言ってたな。ま、敵対する者に何も言うはずはない」


 テレラールは裏山を見てこう言った。


「今すぐこのことを二人に伝えてくる」


「いや、私が行こう。テレラールは二人を上の大陸に送れる魔力を残しておけ」


「ああ分かった」


「どうかしたしたか?」


 ここでミツルギの声が聞こえた。チャーンズとテレラールが声のした方を振り返ると、そこにはボロボロになったミツルギとネレスの姿があった。


「ミツルギ様、ネレス様! 修行は終わったのですね!」


「ああ。モンスターが襲い掛かって来ることはないし、あの山の雰囲気も慣れたからもう強くなれないなって思って」


「それよりも何かあったんですか? 事件でもありました?」


「これを見てくれ」


 テレラールは手にしている新聞をミツルギとネレスに見せた。記事を見たミツルギとネレスは驚きの声を上げ、テレラールにこう言った。


「今すぐ上の大陸に転送させてくれ!」


「分かった。ちょっと待っててくれ」


 テレラールがミツルギとネレスを転送させようとすると、チャーンズがテレラールを止めた。


「まずは休んでくれ。テレラール、明日二人を上の大陸に送ってくれ」


「分かった。二人とも、最初は風呂に入ってください」


 テレラールは汚れたミツルギとネレスに向かってこう言った。


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