光の目覚め
山の頂上に着いたミツルギとネレスは周囲を見回した。チャーンズが言っていた通り周囲の空気は重く、不気味な雰囲気が漂っていた。
「何かいるな」
「うん」
二人は背中合わせとなり、武器を構えた。それからすぐ、大きな狼のようなモンスターの群れが二人に襲い掛かった。
「来たか! 悪いけど、お前らを倒すぜ!」
ミツルギはブラスターソードを銃の用に持ち、引き金を引いた。その瞬間、刃部分が上下に動き、開いた部分に魔力が発し、そこから魔力で作られた弾丸が放たれた。
「すっげー、俺の父さんすげー武器持ってたんだなー」
「ミツルギ、感心してる場合じゃないよ!」
ネレスの声を聞き、ミツルギはすぐに剣のように構えて振るった。その一閃で狼の群れは一掃されたが、一部の狼はミツルギの動きを見て唸り声を上げていた。
「何だあいつら? 仲間がやられてるのを見ているだけか?」
「違うと思う。もしかして……私たちの動きを見ているのかも」
「俺たちの動きを? 俺たちの動きを学んで対策するつもりか?」
「かもしれない。一部の賢いモンスターは相手の動きを見て、それの対策をした動きをするって聞いたことがある」
「上等だ。どんな奴だろうとぶっ倒す」
ミツルギは魔力を開放して狼を睨んだ。狼はミツルギの目を見て、大声を上げて襲い掛かった。
「来た!」
ミツルギはブラスターソードを振り回したが、狼はミツルギの攻撃をかわし、上空から襲って来た。
「んなっ!」
「ミツルギ!」
ネレスは魔力を開放し、火の玉を発して狼に攻撃した。火の玉は狼に命中し、丸焦げにしたが、一部の狼はネレスの攻撃をかわしていた。
「まだ生きてるのがいる」
「こいつでやってやる!」
ミツルギは再び銃のようにブラスターソードを構え、弾丸を撃ち始めた。弾丸は狼に命中していったのだが、致命傷には至らなかった。
「グッ、まだ倒れねーか」
「かなり強い……だからみんなここでやられるんだ」
ネレスはこの山での修業の意味を察した。圧倒的に強いモンスターを相手に生き残るかどうか。逃げたければすぐに逃げるのだが、ここで逃げたら強くはなれない。そう思ったネレスは歯を食いしばってこう言った。
「ここで逃げられない! ここで逃げたら弱いままだ!」
「ネレス……そうだな。俺も強くならないと!」
ミツルギは大きな声を発し、魔力を開放した。だがその際、ミツルギが装備しているリマの指輪が光出した。
「指輪が……」
ネレスは急に光ったリマの指輪を見て驚いていたが、魔力を開放しているミツルギは心の中でこう思った。
暖かい光だ。まるで誰かに抱きしめられてるようだ。
そう思った瞬間、ミツルギの魔力が徐々に光出した。まぶしい光から目を守るため、ネレスは目を覆った。しばらくして光が止んだと思い、ネレスは再びミツルギを見た。そして、その姿を見て驚いた。
「ミツルギ……髪の色が……」
ミツルギの髪の色は、黒から金色になっていた。だが、ミツルギは自身の髪の色が変わったことに気が付いていなかった。
「ん? どうかしたかネレス?」
「ねぇミツルギ、何か変わったところはない?」
「変わった? そうだなー、何かいつも使ってる魔力よりもなんか温かいような気がするけど」
「ちょっとごめんね」
ネレスはミツルギの髪の毛を一本取り、ミツルギに見せた。金色となった自身の毛を見たミツルギは目を丸くして驚いていた。
「金髪? 俺今、金髪なのか? 銀色じゃなくて」
「うん。もしかして、リマさんの指輪のおかげで光の魔力を開放できたかも」
「もともと光の魔力を使えた母さんの血があるんだ……ならできても問題ないか」
ミツルギが考えている中、狼たちが襲い掛かってきた。ミツルギは魔力を開放し、光を使って狼たちを追い払った。
「すげー、闇と同じ力だ」
倒れた狼たちを見て、ミツルギはあることを決めた。この修行で光の魔力を使いこなし、これからの戦いに備えると。
同時刻、魔王城にいるチャーンズは部下たちの鍛錬を行っていた。そんな中、チャイム音が鳴り響いた。
「誰ですか?」
『私です。マトマです』
「マトマか。よし、入れ」
玄関にいたのはマトマだった。マトマは周囲を見回し、チャーンズにこう聞いた。
「すみません、ミツルギさんとネレスさんはどこへ?」
「裏山で修行中だ」
「そうですか……一応チャーンズ様にも報告しておこう」
「報告?」
チャーンズはマトマを客間に案内し、話を始めた。
「実は気になることがあったのです。ミツルギさんとネレスさんの怪我の話ですが……」
「二人の傷はすぐに治ったから問題ないだろう。それに、ミツルギ様はオルグ様とリマ様の息子だ。魔族の血が入っているから怪我の治りが速いのだろう」
チャーンズはそう言ったが、マトマはそれですと言って話を続けた。
「私もうすうす思ってました。ミツルギ様とオルグ様の顔が似ているからご子息ではないかって。やはりそうでしたか。ですが、話はそれじゃありません。ネレスさんの方です」
「ネレス様の話?」
チャーンズは何かあったのかと思いながら、マトマから話を聞き始めた。




