修行の始まり
翌日、食事を終えたミツルギとネレスは魔王城の入口に立っていた。
「それじゃあ行ってきます」
「いつ戻るか分かりませんが、必ず戻ってきます」
ミツルギとネレスはそう言って旅立とうとしたが、チャーンズは二人を呼び留めた。
「お待ちください。渡す物があります」
「渡す物?」
ネレスがこう聞くと、チャーンズは部下に道具を持って来させた。道具は大きな剣と白い宝石が埋められた指輪、そして白いマントと黒いマントだった。
「これは?」
「オルグ様とリマ様の遺品です。いずれ、お二人が他の子供が戻って来てもいいように残しておいたのです」
「父さんと母さんの……」
ミツルギは大きな剣を持ち、構えたり振り回したりした。
「何だろう、初めて触ったのに使い方が分かる」
「オルグ様が愛用していた剣、ブラスターソードです。ただの剣ではなく、変形させて大型の銃となります」
「本当だ。持ち手の所にもう一つ銃のような持ち手がある」
ミツルギはそう言って持ち方を変えた。そして、指輪を見てミツルギはこう聞いた。
「この指輪は?」
「リマ様の遺品です。リマ様がよく使っていた武器となります」
「武器? 指輪が?」
「いろんな所から光の剣を出すことができます。闇しか使えないようですが、リマ様の遺品なのでお守りとして装備してください」
「はい」
ミツルギはリマの指輪を受け取り、右手の人差し指に付けた。そして黒いマントを見てこう言った。
「あのマントは?」
「黒いマントはオルグ様が使っていた闇のマント、白いマントはリマ様が使っていた光のマントとなります」
「二つのマントか……ネレス、ちょっと来てくれ」
「うん」
ミツルギはネレスを呼び、光のマントを手渡した。
「母さんが使っていたマントだ。ネレスが使ってくれ」
「私が……いいの? 大事な物なのに」
「ネレスが使うなら母さんも許してくれるはずだ。それに、俺は父さんのマントを使うから」
と言って、ミツルギは闇のマントを装備した。それを見た後、ネレスは光のマントを装備してチャーンズにこう言った。
「では行ってきます」
「はい。戻って来るのを心待ちにしております」
チャーンズの返事を聞いた後、二人は修行の山へ向かった。
歩き始めて数十分後、二人は山の入口に到着した。
「ここが入口か」
「なんか不吉な雰囲気がするね」
ネレスの言う通り、入口からは不穏な雰囲気が漂っており、不気味な風の音が響いていた。
「山に入って命を落とした人がこの世に残した無念か何かだな……」
「幽霊?」
「かもな。だけど強くなるため行くしかない」
「そうだね」
話をした後、二人は山を登り始めた。しばらく歩くと、外れの方から獣の低いうなり声が聞こえた。
「お出ましか」
ミツルギはブラスターソードを手に取り、両手で構えた。ネレスもブリッツスパーダを構え、襲ってくるかもしれないモンスターの奇襲に備えた。二人が武器を構えて数秒後、黒いヒョウのようなモンスターが襲い掛かってきた。
「来たか!」
ミツルギはブラスターソードを振るい、襲って来たモンスターを一刀両断にした。それを見たミツルギは口を開けて驚いた。
「すっげー威力」
「驚いてる場合じゃないよ、来たよミツルギ!」
ネレスは風を発してモンスターを倒し、ミツルギにこう言った。我に戻ったミツルギは魔力を開放し、ブラスターソードを振るった。戦いが始まって数分後、モンスターは倒されて行ったが、気が付かない間に仲間を呼んだのか、数が増えて行った。
「チッ、仲間を呼びやがったか!」
「こんなに多く……」
ネレスは息を吐きながらこう言った。ミツルギも慣れない動きでブラスターソードを振り回したせいか、かなり体力を消耗していた。
「まずい……結構疲れた」
「魔力はある?」
「ああ。いざとなったら闇を使う」
ミツルギがそう言った直後、無数のモンスターがミツルギに襲い掛かってきた。
「ミツルギ!」
「クソッ! うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
ミツルギは魔力を開放し、闇を発して追い払おうとした。その時、右手の指に付けていたリマの指輪が白く光出した。
「うお! 母さんの指輪が!」
驚いたミツルギがこうった直後、目の前に一本の光の剣が現れた。その剣はミツルギの意のままに
動き、モンスターを倒していった。
「光の剣……ミツルギが操ったの?」
「多分。俺も必死だったから分からないけど」
ネレスの質問に対し、ミツルギはリマの指輪を見ながら答えた。その時、ネレスはあることを察した。魔王であるオルグの血を引き継ぐミツルギだが、それと同時に勇者であるリマの血を引き継いでいる。それなら、闇の魔力と共に光の魔力が使えるのではないかと。
「ねぇミツルギ、もしかして光の魔力も使えるんじゃない?」
「光? 確かに……母さんが光の魔力を使えるなら、俺もできるかもしれない」
「この修行で覚えよう。私もどう使えばいいか分からないけど、協力するよ」
「ああ、頼むぜネレス!」
と、ミツルギはネレスに向かって笑顔でこう言った。その後、二人は頂上を目指しながら進んでいった。




