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魔王と勇者の子との別れ

 オルグとリマの子供が生まれた後、魔界の外ではある事件が起きていた。その事件は、当時世界を収めていたオジーブ国で革命が起きた。ズガット王に仕えていたトープラー・ビガシャープが家族やその部下と共に反乱を起こし、ズガット王一派を倒し、国を乗っ取ったのだ。すぐに生き残りのズガット王一派やトープラーを快く思ってない団体が立ち上がり、立ち向かうことになった。だが、オルグとリマはそのことを知らなかった。


「出産早々大変なことになったわね」


「ああ。リマが言っていたトープラーという奴が動き出したな」


「もともと野心を持っていた男だし、いつかやるかもしれないと持っていたが、本当に革命をするとは……」


 リマはそう言って横にいる我が子を見た。


「私は結婚して勇者を捨てた。戦いに出ることは無いと思うけど」


「もし何かあったら俺が出る。大事な家族を守るのであれば、一家の大黒柱として俺が戦う」


「オルグ、そうなっても無茶しないでね」


「ああ」


 オルグはそう言ってリマの手を握った。その時、横で寝ていた二人の子が大声で泣き始めた。


「ああ済まない。二人だけの世界に入ってしまった」


「お前も大事だ。俺とリマの大事な宝物だ」


 オルグとリマは我が子を抱きしめ、優しくこう言った。




 それから翌日、チャーンズはある情報を聞いて急いでオルグの元へ向かった。


「大変ですオルグ様! トープラーとかいう奴が世界を支配するため、全世界に兵を送り込んでいます!」


「奴らがここに攻め込んでくるのか?」


「はい! あと三日後には来ると予想されます!」


 チャーンズの言葉の後、二人の子供が泣き始めた。


「すまない、騒いでしまった。ヨ~シヨシヨシ」


 オルグは泣き始める我が子を泣き止ませ、何とか止めた。リマは今、トイレのため病室にいないのである。


「チャーンズ。奴らの強さはどの位だ?」


「……かなり腕のいい魔法使いが多数いると聞きます。それと、最新の武器が作られ、それらを装備されていると思われます」


「魔力が強い奴らと、新しい武器か。厄介だな……」


「私たちも戦うしかないのかしら?」


 と、トイレから戻って来たリマがこう言った。オルグはその言葉を聞いて驚き、リマに近付いた。


「大丈夫かリマ? お前はまだ出産して体力も魔力も無い状態なのに」


「大丈夫よ。少し休んだら体力も魔力も戻ったわ」


「……そうか。だが、俺たちが戦うのは後になる。今は部下たちに任せよう。俺たちには、傷つけられない宝物がある」


 と言って、オルグは我が子を見た。リマはその言葉を聞き、分かったと返事をしてオルグと共に我が子へ近づいた。


「チャーンズ。奴らが攻めてきたらお前の指揮で奴らを追い払ってくれ」


「分かりました。オルグ様はリマ様とお子様を守ってください」


「ああ、頼む」


 チャーンズはオルグの言葉を聞いた後、敬礼をして部屋から去って行った。




 その翌日、リマは不安そうにオルグにこう話した。


「ビガシャープ家の連中が魔界に攻めてくるようだ」


「やはり、魔界を領地にするために」


「勇者である私を倒すつもりだ。厄介な奴は消すつもりだろう」


「愚かな奴らだ。自分たちに歯向かおうとする奴を力づくで消そうだなんて……」


「トープラーが考えそうなことだ。だが……ここが戦場になるとこの子が不安だ」


「ああ。この戦いに巻き込まれる可能性がある」


「まだ、名前も付けてないのにな」


「タイミングが悪いが……まぁいい。奴らを追い払った後、ゆっくり名前を考えよう」


「そうだな」


 オルグはそう言った後、大声でテレラールを呼んだ。


「どうかしましたか、オルグ様」


「この子を安全で平和な異世界へ転送してくれ。戦いが終わったらリマと共に迎えに行く」


「戦争の被害から守るためですね。分かりました。安全で平和な異世界へ転送してきます」


「その前に、私の魔力をこの子に注ぐわ」


「俺もそうする。俺とリマの魔力があれば、二十年は飲まず食わず生きていられるだろう」


 そう言った後、二人は名前も付けてない我が子に魔力を注いだ。その後、テレラールは二人にこう言った。


「別れが惜しいですが、奴らの魔力を感じます。今すぐにでも異世界へ転送させます」


「頼むテレラール。我が子よ、この戦いが終わったら必ず迎えに行く」


「その時まで、待っててね。何もできなくて、本当にごめんね」


 二人はテレラールに連れていかれる我が子を見て、悲しそうにこう言った。




 それからすぐにトープラーの軍勢が急に魔界に攻めてきた。


「魔界を攻めろ! ここもビガシャープ家の領地にするんだ!」


「相手はモンスターだ! 問答無用でぶっ殺せ!」


「好き勝手暴れてもいいなら最高だぜ!」


 トープラーが雇った荒くれ共がモンスターを襲い、里を襲い始めた。だが、チャーンズが率いる軍勢が荒くれ共に攻撃を仕掛けた。


「魔界から出て行け! ここは貴様らのような奴が来る場所ではない!」


「生意気なモンスターだ! こうなったら問答無用でぶっ殺せ!」


 その後、チャーンズたちと荒くれ共の戦いが始まった。荒くれ共が最新の武器を持っているせいで、チャーンズたちは徐々に押されて行った。それを知ったオルグとリマは、魔力を開放して武器を構えていた。


「行くぞリマ!」


「ええ、奴らをぶっ飛ばすわよ!」


 二人はそう言って、窓から外へ飛び出した。


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