魔王と勇者の結婚と出産
酔いつぶれたオルグは夜中に目が覚めた。酒のせいで頭痛する頭を抑えながら体を動かそうとしたが、何故か体は動かなかった。なんと、横にはリマがいたのだ。
「勇者? 何でここに……」
「フェフェフェ~」
気持ちよさそうに寝ているリマは、そのままオルグに抱き着いた。寝ているリマを起こすにはいかないため、オルグは優しくリマを抱きしめた。
「酔って寝てるのか……酒臭いけど、温かくて気持ちい……これが人の体温か」
そう呟いていると、リマは無理矢理オルグを下に押し倒し、上に乗っかった。
「フェッフェッフェ~」
「え? どうしたの? あのちょっと、勇者さん?」
「ヒヒヒヒヒヒヒヒ……イ~ヒッヒッヒ!」
「何なのその笑みは? 勇者さん? 目を覚まして勇者さァァァァァァァァァァァァん!」
その後、オルグの悲鳴が部屋から轟いた。
そこまで話を聞いたミツルギは、顔面が青くなっていた。
「まさかさ……それで俺が生まれたってわけじゃないよな?」
「はい。流石に酒の失敗でそこまではいきませんでした」
「よかった……酒の失敗で俺が生まれたんじゃなんか嫌だからな」
そこまで聞いたミツルギはホッとした。ネレスはお茶を飲んだ後、真剣な目でチャーンズにこう聞いた。
「で、それから二人はどうなったんですか?」
「それからなんですが……」
チャーンズは思い出しながら話を続けた。
それから時が流れ、オルグは正装でリマが来るのを待っていた。心臓を鳴らしながら立っていると、魔王城の扉が開いてリマが現れた。
「よっ、魔王。話があるって聞いたんだけど……」
そう言っているリマの服装はかなりおしゃれであり、何かの覚悟を決めたような表情をしていた。
「勇者……いや、リマに話がある」
「急に本名言うの止めて、ビックリする!」
「す……すまない!」
「いや別にいいんだけど」
「分かった。リマ、今日はリマに大事な話がある」
その言葉を聞いたリマは、きっと重要なことだと察し、顔を赤らめ、緊張し始めた。
「リマ……これまでずっとお前と話をしたり酒を飲んだりしていた。実は……その……ずっと前から……お前と……お前と結婚したかった!」
結婚したかった。その言葉を聞いたリマはやっぱりと思った。だが、そんな気持ちを知らず、オルグは緊張しながらリマに話を続けた。
「急ですまない。付き合ってもないし、そんで魔族と人だ。結婚には反対されるだろう。だが、それでも俺はお前が欲しい! お前と結婚したい!」
オルグのまっすぐで純情な態度を見て、リマは笑顔を作ってオルグに抱き着いた。
「私も同じ気持ちよ。魔王……オルグと一緒に過ごしたい。確かに周りから反対されると思うけど、それを押し切ってあんたと結婚する」
「リマ……リマァァァァァァァァァァァァァァァ! 大好きだァァァァァァァァァァァァァァァ!」
オルグは泣きながらリマに抱き着いた。その数日後、魔界にてオルグとリマの結婚式が行われた。魔界の住人たちは現魔王であるオルグの結婚を知り、嬉しさのあまり連日宴会が開かれた。リマの故郷の住人も魔王と結婚することを知って驚きはしたが、純粋なオルグの全てを知って結婚を許すことにした。結婚式では、緊張したオルグが所々スピーチをかんだりしたが、それでも幸せな結婚式が開かれた。
「こうして二人は結ばれ、リマ様は魔王城で住むことになったのです」
と言って、チャーンズはアルバムを持ってきてミツルギとネレスに見せた。そこには結婚当初のオルグとリマの姿があった。どの写真の二人も、とても幸せそうに見えた。
「幸せそうですね」
「本当に幸せでした。そして、結婚から少し時が経ち、ミツルギ様が生まれたのです」
チャーンズはミツルギを見てこう言った。ミツルギは少し泣きそうな表情で、もう一度アルバムを見直した。
「父さんと母さんか……幸せそうだな……」
「はい、幸せでした。あの時までは……」
チャーンズは昔のことを思い出しながら、話を続けた。
オルグはそわそわしながらとある部屋の前を右往左往していた。
「心配だ。心配だ。心配だ。心配だ。心配だ。心配だ。心配だ。心配だ。心配だ。心配だ。心配だ。心配だ。心配だ。心配だ。心配だ。心配だ。心配だ。心配だ……」
「オルグ様、心配するのは分かりますが少し落ち着きましょう」
チャーンズはそわそわしながら歩き回るオルグにこう言ったが、チャーンズや周りにいる部下も心配しているのか貧乏ゆすりしたり、体を震わせていた。
「お前たちも少し落ち着けよ。あ~、もう……大丈夫かな? 部屋に入ってもいいかな?」
「ダメですよ。入ったら邪魔になります」
と、チャーンズはオルグにこう言った。今、リマは出産のため、手術を行っているのだ。手術が始まり数時間が経過したが、まだ手術は終わっていないのだ。
「ダメだ……時間が経つにつれてなんか俺も吐き気が」
「オルグ様、今すぐにトイレに行ってきてください」
「夫である俺がこの場にいないとなんかダメじゃない?」
「扉を開けてすぐにオルグ様の嘔吐シーンが目に入ったるかもしれないリマ様のことを考えてください。とにかく吐き気がするならトイレに……」
その時、手術中のランプの明かりが消えた。それからすぐ、部屋の奥から赤ちゃんの泣き声が聞こえた。部屋から医者が現れ、オルグに向かってこう言った。
「無事手術が成功しました! 立派な男の子が生まれました!」




