魔王と勇者の世間話
あれからなんだかんだ理由を付けてリマは魔王城に来ることになった。それが何度も続いたためか、ゴブリンたちはリマが通り過ぎるとまーた魔王城に来たよとか言っていた。その一方で、チャーンズなども徐々に打ち解けて行った。
そんな中、リマはオルグと話していると、あることに気付いた。
「ねぇ、先代の魔王ってどんな人だったの?」
リマの話を聞いたオルグは、茫然としてしまった。それを見たリマは申し訳なさそうに頭を下げた。
「ごめん、聞いちゃいけない質問だった?」
「いや、そうではない。ただ……かなり酷い魔王だったから」
「酷い魔王?」
「ああ。独占欲が強く、民のことよりも自分の欲を満たすことしか考えていなかった」
「酷い魔王ね」
「だから俺が革命を起こし、その魔王の命を奪った」
オルグの話を聞き、リマは目を丸くして驚いた。驚いたことを察したオルグはため息を吐いて話を続けた。
「たとえ下種野郎でも、命を奪えは俺はそいつと同等となる。だが、俺はそいつと同等になろうとも、苦しむ民を開放するため奴の命を奪うことにした」
「自分のためじゃなく、他の人のために……」
「ああ」
オルグの話を聞き、リマは息を吐いてオルグに近付いた。
「確かにあんたは先代魔王の命を奪ったけど、誰かのために動いた。誰かを助けるために動いた。私が言うのがあれなんだけど、誰かを助けるために悪人の命を奪うのは許されると思うわ」
「勇者……ありがとう。その言葉で救われる」
オルグは泣きそうな顔でリマを見つめた。リマはニコッと笑ってタオルでオルグの涙を拭いた。
「ほら魔王、泣かないの」
その後、二人は魔王城のベランダで下の様子を見ていた。
「最初、魔界って結構悪そうなイメージがあったんだけど、何度も来てるとそんなイメージがあったんだけど、本当に平和ねー」
「ああ。先代魔王の頃が一番酷かった」
「私のいるところも平和だったらいいんだけどなー」
リマの言葉を聞き、オルグは驚いた表情をした。
「何だ、勇者の所は結構治安悪いのか?」
「治安はいい方だけど、政治関係でねぇ」
「多数の人が政治に関わってるのか?」
「そう。その中でトープラーっつー悪そうなオッサンが何かするんじゃないかって思ってるの」
「悪そうなオッサンか。隙を見て国とか乗っ取りそうだな」
「そう。家族総出でやるんじゃないかって思ってるのよ。あのオッサンが裏で武器とか用意してる噂聞いてるから」
「物騒だな……何か理由を付けて調べられないのか?」
「無理。勇者って言っても政治が関係してたら身動きはとれないし」
「厄介だな」
「本当にそう……」
と言ってリマはため息を吐いた。落ち込むリマの様子を見て、オルグが片を叩いてこう言った。
「何かあったら俺を頼れ。すぐに飛んで駆け付ける」
「魔王が他の国の政治に関わってもいいの?」
「人の命を守るためなら政治だろうが何だろうが関わってやる」
「フフッ、頼りにしてるわ」
リマは笑顔でオルグを見つめた。その顔を見たオルグの顔は、恥ずかしさと嬉しさのせいで一気に顔が真っ赤になった。
そこまで話を聞いたミツルギとネレスは、茫然としていた。
「なんか青春してるな」
「物騒な話じゃなくてよかったけど、なんか甘酸っぱい」
二人の言葉を聞いた後、チャーンズは少し考えながらこう言った。
「すみません、ここから話す内容は少しあれなことが含みますが……」
「あれって何?」
ミツルギの質問を聞き、チャーンズは意を決したかのように答えた。
「ミツルギ様が関するお話です」
「俺が? どのように関するんだ?」
「オルグ様とリマ様がどのようにして結ばれるかのお話です」
「結婚したんだ」
ネレスがこう言った直後、ミツルギは苦笑いでネレスにこう言った。
「結婚しなきゃ俺が生まれないだろ」
「はい。確かにこれから先はオルグ様とリマ様の結婚に関するお話となりますが……仕方ない。全て話すって言ったし言いましょう」
チャーンズはそう言って、昔話を続けた。
リマが魔王城に来るようになって数年が経過した。二十代に突入した二人はより深い話をするようになったが、その時に酒を飲むようになった。
ある時、チャーンズは酔いつぶれて倒れているオルグに近付いた。
「オルグ様、いくら魔族が酒に強いからって飲みすぎは行けませんよ」
「ひぃふぅ~」
「酔っぱらって何言ってるのか分かりません」
チャーンズはオルグに毛布を掛けた後、服がはだけた状態で倒れているリマに近付いた。
「リマ様。酔っぱらって脱ぐのは女子のやることではありません。男子もいるから、ちゃんと服を着てください」
「ふぇへぇへぇへぇ~、ら~いじょ~ぶじょ~」
「こっちも完全に酔ってるよ。ろれつが回ってない……仕方ない」
その後、チャーンズは部下を呼んで酔いつぶれた二人を部屋に運んだ。チャーンズはオルグをオルグの部屋へ運んだ後、ベッドで横にさせた。
「いいですか? また酔いつぶれて倒れても介抱しませんよ」
「ふにゃらほへ~」
「何言ってるのか全然分からない……酔いがさめても記憶があるか分からないしな~。まぁとにかくおやすみなさい」
チャーンズはそう言った後、オルグの部屋から去って行った。




