魔王城での出来事
ミツルギが意識を取り戻した翌日、二人はマトマの診療所から外に出た。周りは滝になっいるせいか水の落下する音が響き渡っていた。だが、この地の住むモンスターは畑を耕したり、世間話をしていたりと平和な様子だった。
「モンスターでもいいモンスターたちのようだな」
「そうだね」
二人は松葉杖を使って歩いていると、少し離れた所に大きな城が見えた。
「あれがマトマさんが言ってた魔王城かな」
「多分そう」
魔王城はとても大きく、離れた所で見たら立派に見えた。近付いてみてみたが、城の城壁にはツタが生えていたり、所々古ぼけた所があった。
「立派だと思ったけど、かなりぼろいな」
「そんなこと言ったら失礼だよ。まだ住んでる人はいるって言ってたし」
「そうだったな」
ミツルギがこう言った後、魔王城の扉が開いた。中からトカゲのモンスター、リザードマンの群れが現れ、歩き始めた。すると、先頭のリザードマンがミツルギとネレスを見つけ、二人に近付いた。
「君たちがマトマの言ってた、滝から落ちた子供か」
「子供だと思ったが、立派な魔力を持ってるじゃないか」
リザードマンはまじまじと二人を見てこう言った。そんな中、群れを束ねる魔人の男性がリザードマンに近付いた。
「おい、ちゃんと見張れ。仕事をさぼるな」
「はい! すみませんチャーンズ隊長!」
リザードマンの群れはチャーンズと呼ばれた隊長の指示に従い、見張りを始めた。その時、チャーンズはミツルギの顔を見て驚いたような素振りをした。
「まさかあなたは……」
「ん? どうかしましたか?」
ミツルギはチャーンズに近付きこう聞いた。チャーンズはミツルギの顔が見えるようにしゃがみ、まじまじとミツルギの顔を見た。
「似ている……あの人に似ている」
「あの人って誰ですか?」
ネレスがこう言うと、チャーンズは二人を見て答えた。
「時間はあるか? 今すぐ魔王城へ来てもらいたい。マトマには連絡しておく」
この言葉を聞いた後、二人は驚いた後、分かりましたと返事をした。
魔王城内。広々としているロビーらしきところからは二階にかけていくつかの部屋があった。ネレスは珍しそうに城の中を見回していた。
「うわー、結構綺麗」
「毎日掃除をしています。先代の魔王様からいつ客人が来てもいいようにちゃんと掃除を知ろと言われてましたので」
「前の魔王は厳しかったんですね」
「でも優しい所もありましたよ」
ネレスはチャーンズと話していたが、ミツルギは頭を抱え苦しそうにしていた。
「ミツルギ、また頭痛?」
「ああ……頭痛かなこれ? 痛みよりも変な感情が出てくるんだ?」
「……そうですか」
チャーンズは先頭に立ち、二人にこう言った。
「あなた方に見せたい物があります。付いて来てください」
その後、ミツルギはネレスの肩を借り、チャーンズの後を追って行った。チャーンズが入った部屋は誰かが使っていたような部屋であり、チャーンズは写真立てを持ってミツルギに見せた。その写真を見たミツルギは、目を丸くして驚いていた。写真に写っていたのは昨日見た夢で出てきた二人の男女だったからだ。
「この人たち、俺の夢の中で出て来てた」
「えええええええええええええええ!」
「やはりそうですか……オルグ様やリマ様がここまで導いたのでしょうか……」
「なぁ、誰だよこの人たち? 俺と一体何の関係があるんだ!」
ミツルギは動揺しつつもチャーンズにこう聞いた。チャーンズは少し間を開けた後、二人にこう言った。
「話は長くなります。どこか座れる部屋へ行きましょう」
魔王城客間。そこでミツルギとネレスはチャーンズの話を聞いていた。
「まず最初にとても大事なことから話します」
「大事なこと?」
「はい。ミツルギ様、あなたは自分がどこで生まれたかご存知ですか?」
チャーンズの質問を聞き、ミツルギは考えながら答えた。
「えーっと……日本……だと思う。親もいなかったからあまり詳しいことは分からない」
「……違います。確かにあなたはニホンという場所で育ちました。ですが、生まれた場所はニホンではなく、ここで生まれたのです」
この言葉を聞き、ミツルギは驚きのあまり立ち上がった。立ち上がった衝撃でミツルギが座っていた椅子が音を立てて倒れたが、それを気にしないほどミツルギは驚いていた。
「俺が……ここで生まれた……ということは、グローリーラウンで生まれたってことか!」
「はい。あなたは他の魔法使いとは違って闇の魔力を使えますよね」
「ああ。この世界に来た時に知ったんだ。他の人とは違うって聞いてたけど」
「でも、ミツルギがここで生まれてたなんて知りませんでした。私が古の召喚呪文で異世界から召喚したのに……」
「きっと、魔力のつながりでミツルギ様が呼ばれたのでしょう。それよりも、ミツルギ様がどうして他の魔法使いとは違って、闇の魔力を使えるか教えてあげましょう」
チャーンズは先ほどの写真を机の上に置き、男性の方に注目するように伝えた。
「この方は先代魔王のオルグ様。ミツルギ様、これがあなたの本当の父親になります」
「俺の……俺の父親?」
ミツルギは写真に写るオルグを見ながら、体を震えさせていた。




