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ドレアンとカリューの正体

 ゲルグッグでの騒動から一週間が経過した。ドレアンとカリューはそれまでずっと暗く、寒く、扱いが適当な牢獄の中にいた。脱獄のチャンスがあれば抜け出そうとしたが、装備は没収され、魔力を感知したら爆発する首輪を付けられているため、チャンスは一度も来なかった。


「あれからもう一週間か……」


「豆だけの食事にはもう飽きましたね」


 カリューがそう言うと、腹から大きな音が鳴り響いた。ドレアンはため息を吐き、小さな声でこう言った。


「一日一度だけの飯じゃ満足じゃねーっての」


「黙れ罪人」


 と、外から見張りの兵士の声が聞こえた。その後、兵士は振り返って二人にこう言った。


「変なことをしたらすぐに警報が鳴り響く。貴様は囚人でも特別な囚人だ。なんせ、革命を起こそうとした奴らのリーダーだからな」


「だからって二十四時間監視カメラやマイクで映像、音声を撮られちゃたまんないぜ。プライバシーはないの?」


「囚人にプライバシーがあると思うな」


「はいはい」


 ドレアンはそう言って壁によりかさった。その時、扉の開く音と足音が聞こえた。しばらくして、見張りの兵士は何かに慌てて驚きながら敬礼をした。


「バ……バーラード様! 何か用事でも?」


 現れたのはバーラードだった。バーラードは牢の中の二人を見て、にやりと笑った。


「あの二人に用がある。牢を開けろ」


「え! いいんですか?」


「両手の自由を奪い、魔力を使えない。それに、しっかりと飯をやってないから力は落ちてるだろう。何かしたら簡単に始末できる」


「は……はぁ」


「いいから開けろ」


「はい! 分かりました!」


 バーラードの指示を受けた兵士は、鍵を開けて扉を開いた。バーラードが中に入り、ドレアンとカリューを立ち上がらせてこう言った。


「付いて来い」


「分かりましたよ」


 ドレアンは憎たらしくこう言った後、大人しくバーラードの指示に従った。


 二人が連れてこられたのは刑務所内の一室だった。そこにはトープラー、レスン、ゴランとゲインたちが立っていた。


「こりゃービガシャープ家の皆さまが勢ぞろいで。俺たちの様子を見に来たんですか?」


「フッ、余裕のようだが、それはいつまでもつのやら」


 トープラーはそう言うと、ドレアンとカリューの方を見てにやりと笑った。


「バーラードの部下、ゲインたちがお前たちの正体を察した」


「俺たちの正体? 俺はドレアン。で、こいつはカリューだ」


「私たちに正体などありませんよ」


「嘘をつくな」


 と言って、トープラーは一枚の写真を机の上に置いた。その写真には、先代のオジーブ国の国王、ズガットが映っていた。


「どうだ、懐かしいだろ。わしはまだ役員だったから端の方にいるが……」


「何だこの写真は? 何の意味があるんだ?」


 ドレアンは笑いながらこう言ったが、トープラーは表情を変えて叫んだ。


「とぼけるな! 貴様の正体は察知した! ズガットの横にいるのは弟のタリバーン。その前にいる少年はズガットの一人息子、ヒート! わしが起こした革命以降、行方不明となっていたが、まさかこんなことを企んでいたとはのう……」


 トープラーの叫び声を聞き、ドレアンとカリューは黙った。ここで本名と身元がばれるとは思っていなかったからだ。それからしばらくして、ヒートはため息を吐いてこう言った。


「何故私たちの正体が分かった?」


「簡単だ。髪や服装を変えても顔で分かる。ヒート元王子、整形しなかったのが運のツキだったな」


 ゲインの言葉を聞き、ヒートは舌打ちをした。タリバーンはトープラーを睨み、こう聞いた。


「これから俺たちをどうするつもりだ?」


「しばらくしたら処刑する。何、すぐに処刑はしないから安心してくれ。貴様たちにはまだ銀色の竜……ズガット派の連中が今どこにいるのかを教えてもらう必要があるのだから」


「教えるわけねーだろバーカ」


 タリバーンがこう言うと、バーラードがタリバーンを強く殴り、地面に叩きつけた。それを見たトープラーは、バーラードにこう言った。


「これでも元国王の弟だ。処刑前まで丁寧に扱ってやれ」


「分かりました」


「とにかくだ、話はこれで終わりだ。それまで処刑に怯えて牢屋の中で過ごすといい」


 と言った後、トープラーは兵士たちにタリバーンとヒートを牢屋に戻すように命令した。




 銀色の竜の飛行船は空を漂っていた。目的は一つ、行方不明となったミツルギとネレスを探すためである。


「ねぇ、ミツルギとネレスはどうなったんだろう」


「知らないから探しているんじゃない。あーもう、魔力探知機が反応しなーい!」


 マーチは以前二人から貰った髪の毛にある魔力を使い、探知機で二人を探していたが、なかなか見つからなかった。一週間以上探しているのだが、魔力は探知せず、二人の居場所を辿る道しるべさえも見つからなかった。そんな中、シャンは小さな声でこう言った。


「もしかしたらさ……魔の穴に投げられたってことはないよね」


「魔の穴……奴らのことだから傷ついた二人をあそこに放り投げて……」


「マーチ、今すぐ魔の穴に向かって!」


「分かったわ!」


 その後、マーチは急いで魔の穴に向かって飛行船を飛ばした。


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