帰らずの穴
ゲルグッグの戦いの後、バーラードは倒したミツルギたちを連れて上の階へ戻った。
「へー、こいつらが銀色の竜のトップか」
ゴランは気を失っているミツルギたちを見てバーラードにこう聞いた。バーラードは違うと言ってドレアンとカリューをゴランに見せた。
「銀色の竜のトップはこの二人だ。あの坊主と小娘はミツルギとネレス。話題になっている賞金首だ」
「ほう、この坊主が闇を使うのか……」
「一度見て見たかったな」
トープラーとレスンは気を失っているミツルギに近付き、興味深そうにこう言った。だが、バーラードはため息を吐いて二人にこう言った。
「俺はもう見たくない。一度攻撃を味わったが、かなり痛かった」
「珍しいな。お前、ダメージを喰らったのか」
「少しな。ドレアンとカリューに関しては聞きたい話があるからまだ生かしておくが、この二人はこのまま生かしておくと厄介だ。俺が処分してくる」
座って茶を飲んでいたバーラードは立ち上がり、ミツルギとネレスを連れて自身の飛行船があるところへ向かおうとした。その前に、バーラードは振り返ってこう言った。
「そうだ、俺の代わりにゲインたちの救助を頼む」
「お前の部下を俺たちがか?」
レスンの言葉を聞き、バーラードは嫌そうな顔をして言葉を返した。
「こいつらの処分がある。頼むよ兄貴」
「分かった。後で何かおごれ」
「俺はオレンジジュースでいいぜ」
「わしは赤ワインで」
「全く……ほらよ」
と、バーラードは一枚の札をレスンに渡し、これで何か買ってくれと言って飛行船へ向かった。
それから三日後、ゲルグッグでの事件は大きくニュースで扱われた。その中で、銀色の竜のトップであるドレアンとカリューの逮捕、そしてミツルギとネレスが倒されたことが流れた。その情報を知ったロッソは別の町の飯屋で目を丸くして驚いていた。
「マジかよ……結局ビガシャープ家の兄弟がぶっ飛ばしてんじゃねーか」
「あの二人、死んじゃったのかなぁ」
ヴェルデは心配そうにこう言ったが、ロッソはため息を吐いて答えた。
「恐らく死んだ。ビガシャープ家の兄弟の強さはお前も知ってるだろ。勝てるはずねーって」
「また会いたかったなぁ……」
ヴェルデは少し涙くんでこう言った。ヴェルデはため息を吐き、ニュースの映像を見た。
別の町にて、イオたちもこのニュースを見て驚いていた。
「えー、いい子だったのにー」
「バーラード様もちゃんと話せばあの二人の良い所を知ることができたってのに」
メアリーとカナリアはブツブツ文句を言いながらこのニュースを見ていた。それとは対照的にイオは冷静になっていたが、シェリーがイオの様子を見てこう聞いた。
「イオ様、少し体調がすぐれないのですか?」
「うん……ちょっと悲しいんだ」
シェリーはその答えを聞き、イオの手をそっと握った。
「これしかできませんが……もし、何かあれば私たちに打ち上げてください」
「うん……もう一度、あの二人に会いたかったな……」
と、イオは目から涙を流してシェリーにこう言った。
銀色の竜の飛行船内。カリューから何かあればすぐに飛んで隠れろと言われたため、シャンとマーチはすぐに飛行船を飛ばした。だが、二人の心の中はもやもやしていた。
「ねぇ、ドレアン様とカリュー様……無事かな?」
「分かんないわよ。無事……だといいんだけど」
「……これからどうするの? 助けに行くってしても……」
「私たちだけじゃ返り討ちにされるだけよ。はぁ……奴らの悪政はまだまだ続くのかしら」
「ええ……」
二人は話を終えた後、大きなため息を吐いた。
この世界、グローリーラウンのとある場所には海が一部分だけ滝になっている所がある。そこには魔界と呼ばれる大陸があり、何かしらの力で海へ沈んでしまった。その際、海が滝のようになってしまったのである。それから、その場所は魔の穴と呼ばれるようになった。バーラードは気を失ったミツルギとネレスの体を動けないように縄で縛った後、飛行船の後ろへ向かった。
「ここから落とせば、二度と這い上がることはないだろう」
そう言った後、バーラードは魔の穴に向かってミツルギとネレスを放り投げた。ミツルギとネレスの姿が魔の穴に消えて行ったことを確認した後、バーラードは飛行船の中へ戻り、トープラーたちの元へ戻って行った。
同時刻、ドレアンとカリューはゲルグッグから離れたビガシャープ家関連の牢屋に入れられていた。
「オラッ、入れ!」
「グオッ!」
兵士はドレアンとカリューを蹴り飛ばして牢屋の中へ入れ、そのまま扉を閉めて鍵をかけ、去って行った。
「おいコラ! まだ傷は痛むんだ! 丁寧に扱え!」
「罪人を丁寧に扱う人はいませんよ」
カリューはため息を吐いてこう言った。今着ている服は囚人らしい布切れのような服、両手は手錠で縛られ自由ではない。更に首に付けられている首輪には装備者の魔力を探知したら大爆発するという恐ろしい機能が付いている。
「装備は没収、両手は不自由、魔力を使えば大爆発。脱出する手はないか……」
カリューはそう呟いた後、窓から指す太陽を眺めた。




