ついにビガシャープ家の元へ
スティーブとの戦いが終わったミツルギは、人の気配を感じて後ろを振り返った。そこには、ポケットに手を突っ込んで歩いているクアンタの姿があった。
「クアンタ……さん……」
「仲間か」
倒れたスティーブの言葉を聞き、ミツルギはクアンタが自分と戦うためにここに来たと考えた。だが、クアンタはミツルギに向かってこう言った。
「ちょいといい? ぶっ倒れた部下を助けたいんだ」
「部下を?」
「助けるだけだよ。戦いはしないって」
クアンタは倒れたスティーブに肩を貸し、立ち上がらせた。動揺したスティーブはクアンタに向かってこう言った。
「何故私を助けるのですか? 今ならミツルギを倒せるはずです」
「オッサンに無茶言うなよ。ミツルギはまだ戦える。ビガシャープ家の連中と戦うため、無駄な魔力を使ってないんだろ」
その言葉を聞き、ミツルギは冷や汗を流した。さっきの戦いでピンチになりかけたのは、力を抑えていたからである。
「クソ……クアンタさん、治療をお願いします」
「止めなスティーブ。これ以上戦っても無駄。今のお前さんじゃあまた負ける」
「今度は負けない!」
「負ける。冷静になりなさいな。何で負けたか自分で考えてから、もう一度対策練って戦いな」
クアンタはそう言ったが、スティーブは暴れていた。しょうがないと思ったクアンタは、スティーブのうなじ部分に手刀をし、気絶させた。去って行くクアンタを見て、思わずミツルギはこう言った。
「おい、何で俺と戦わないんだよ!」
「俺みたいなダンディーなおじさんが君の闇の魔力に敵うわけないだろ。戦っても無駄さ」
「は……はぁ……」
「俺は君たちの邪魔をするつもりはないよ。まぁ、部下のスティーブはまた君と戦いたいみたいだけど。その時は手加減せずにぶっ飛ばしてね」
「いいのか?」
「ああ。一度派手に負けた方がこいつも理解する。じゃ、命があったらどこかで会うかもね」
と言って、クアンタは去って行った。会話が終わった後、心配したネレスがミツルギに近付いた。
「大丈夫?」
「ああ。あのオッサン、俺たちと戦う気はないって」
「うーん……セイントガーディアンの中にも変な人はいるのね」
「驚いたよ。そんな人もいるんだな……」
二人が話をしていると、行動中のドレアンとカリューが現れた。
「ドレアンさん、カリューさん。戦いは終わったんですね」
「はい。バーラードの脱走した部下は倒しました。まだどこかで倒れていると思います。この戦いが終わった後、再び捕まえます」
カリューの話を聞いた後、二人は安堵の息を吐いた。ドレアンもミツルギとネレスの戦いが終わったことを察し、二人にこう言った。
「うし、このまま上の階へ行ってトープラーたちをぶっ倒すぞ。協力してくれ!」
「もちろん!」
「必ず奴を倒します!」
二人の返事を聞き、ドレアンはにやりと笑った。
その後、ミツルギたちは襲ってくるセイントガーディアンや兵士たちを倒しながら上の階へ進んでいった。一部のセイントガーディアンと兵士は、バーラードたちが倒されたことを察し、悲鳴を上げながら逃げて行った。
「逃げる奴は追いかけるな。相手するだけ時間と魔力の無駄だ」
「はい」
ドレアンの言葉に返事をする中、カリューは下の階にいるアルソたちに連絡をしていた。
「このまま私たちは上の階へ行ってビガシャープ家を倒します。あなたたちは煙玉を巻きながら隠れ家へ戻ってください。後は私たちで決着を付けます」
「連絡は終わったか?」
「はい。アジトにはオロロンがいます。彼が作った護送用の車なら、あの人数を乗せることができます」
「あいつも相変わらず発明が得意だな」
と、ドレアンは笑いながらこう言った。その言葉を聞き、ネレスはドレアンにこう聞いた。
「オロロンさんたちと知り合いなんですか?」
「まぁちょっとした知り合いだな。詳しいことは奴らを倒してから話するぜ」
ドレアンの話を聞き、ネレスは頷いて返事をした。
バーラードは下の魔力を感じ、ため息を吐いていた。
「どうしたバーラード?」
バーラードの様子が気になったトープラーは、お茶を飲んでこう聞いた。
「兵士たちがやられました。セイントガーディアンも皆やられ、撤退しているようです」
「役立たずの雑魚が……」
トープラーは答えを聞き、呆れてため息を吐いた。そんな中、バーラードは愛用の剣を持って立ち上がった。
「どこへ行くんだバーラード?」
レスンの言葉を聞き、バーラードは小さく笑って返事をした。
「戦いに行く。あの程度の奴らなら俺一人で十分だ」
「俺も行くぜ、バーラードの兄貴」
と言って、ゴランも立ち上がったが、バーラードは再び笑ってこう言った。
「俺一人で十分だと言った。お前の力を借りることはない」
「何だよ。俺だって暴れたいのによー」
「部下の救出もある。俺の部下もやられたようだ。助けなければ恨みを買う」
「本当に手助けはいらないのか?」
しつこく聞いてくるご覧に対し、バーラードは少し苛立ちながら答えた。
「大丈夫だと言っておるだろうが。兄を信じろ」
「分かったよ。だけど、やばいと思ったら俺も行くからな」
「その時は任せた。多分その時は無いと思うが」
話を終わらせた後、バーラードはそのまま扉を開け、下の階へ向かって行った。




