雷の槍VS炎の槍
兵器工場の上の階にいるトープラーたちは、下の騒ぎを察知し、工場の責任者にこう言った。
「どうやら守りは薄いようだな」
「すみません、たった今バズーカによる攻撃を受けたと報告が……」
「被害はどうだ?」
「情報は入っていません。もうしばらくお待ちください。それまで、安全に避難できる場所まで……」
責任者がこう言うが、ゲインたちが武器を持って下の階段へ向かって行った。その途中、ゲインがバーラードの方を向いてこう言った。
「俺たちで下の騒ぎを止めてきます」
「ああ、任せた。行ってこい」
「分かりました。ありがとうございます」
ゲインはそう言って、オデッサとボブザードと共に階段を下りて行った。責任者はゲインたちを見て不安そうな表情をしたが、バーラードやトープラーたちは何事もなかったかのような顔をしていた。
ドレアンは雷を纏った槍を振り回しつつ、ロッソの攻撃を受け流していた。だが、ロッソは魔力を防御に回し、体内に巡る電撃のダメージを抑えていた。
「チッ、痺れねーのかよ若造」
「年寄りの攻撃じゃあ俺は倒せねーぜ!」
ロッソは魔力を爆発するかのように開放し、体の周りの電撃を吹き飛ばした。その後、槍を構え、炎を発した。
「年寄りに構う時間はねーんだよ! このままテメーをぶっ飛ばしてやる!」
「いい気になるなよ若造、本気を見せてくれるわ!」
ドレアンは言葉を返すと、電撃を発した槍を床に突き刺した。その行動を見たロッソはバカな年寄りだと思いながらドレアンに向かって突っ込んだ。
「何やってんだ? 俺の方が強いからってやけくそになったのか?」
「やはりお前は若造だ。次にどんな展開が来るか考えてないな!」
「あぁ?」
ふざけやがってとロッソは思った。だが次の瞬間、床下から電撃が放たれた。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
攻撃を喰らって吹き飛ぶ中、ロッソは察した。雷が溜まった槍を地面に突き刺した理由は、電撃を床下に忍ばせ、そこから不意打ちの攻撃を仕掛ける為だと。
「チッ」
ロッソは戦いやすいように空中で態勢を整えたが、もう一発の雷が床下から襲って来た。
「最初はビビったが、そのまま二発目を喰らうと思うなよ!」
そう叫びながら、ロッソは槍を回しながら炎を発した。盾のような形となった炎は下から襲ってくる雷をかき消してしまった。安全を確認したロッソは床に着地し、襲ってくるドレアンを睨んだ。そして、周囲に金属同士がぶつかり合う音が響いた。
「着地の隙を狙ったと思うが、そんな単純な行動で俺を倒せるとでも?」
「若造のくせにやりおる。しばらくぶりの強敵だなぁ」
「強敵か。褒めていただきありがとよっと!」
ロッソは槍を振り回してドレアンに攻撃したが、ドレアンは雷をジェットのように噴射し、後ろに飛んでった。その際発した雷はロッソに命中した。
「やりやがったな年寄りのくせに!」
「はん! まだまだ若造には負けんわい!」
ドレアンはそう言うと、ジグザグに走り出してロッソに向かって行った。
「錯乱のつもりか」
自分を惑わすためにわざと変な動きを始めたなと思ったロッソは、注意深くドレアンの動きを見た。しばらくドレアンは走っていたが、途中で走るのを止め、ロッソに向かって飛んで来た。
「甘い!」
地上から走って攻めてくるか、空中から飛んで攻めてくるか、ドレアンはそのどれかの行動をしてくるだろうと予想していたロッソは、予想通りと思いつつ力強く槍をドレアンに向けて付いた。ロッソの槍はドレアンの体を貫いたが、槍の刃に人体を突き刺したという感覚は感じなかった。
「何だ……この感覚は?」
「残念、不正解」
背後からドレアンの声が聞こえた。後ろを振り向いたロッソは背後にドレアンの姿を確認した。蹴りで反撃しようとしたが、突如槍から強烈な電撃を感じた。
「うがああああああああああああああああああああああ!」
「ほうら、もう一発!」
感電してダメージを受けるロッソに向けて、ドレアンの鋭い攻撃がロッソを襲った。槍による攻撃を受け、ロッソは傷から血を流しながら宙を舞い、そのまま床に倒れた。
「ぐ……ぐぅ……」
何とか魔力で簡易的な治療をし、立ち上がって周囲を見回した。そこには無数のドレアンの姿が存在した。
「雷でも使って分身を作ったのかよ」
「その通りだ。鋭い勘だのう」
「いるんだよ。火や水を使って自分の分身を作り、相手を惑わしたり攻撃のために使ったりする奴が」
ロッソは口の中の血を吐き出し、周囲を見回した。無数のドレアンの分身がいる中、下手に攻撃をしたら先ほどと同じように電撃を喰らう。ならどうする? どうすれば電撃の分身を消すことができる? そう考えた時、ロッソはある答えを導き出した。不気味に笑うロッソを見て、ドレアンは不思議そうにこう言った。
「何笑ってんだあいつ? やられすぎておかしくなったか?」
「違うぜ。簡単な答えだからあまりにもあっけなさ過ぎておかしくなってんだよ」
「簡単な答え? この状況をどうにかすることができるのか?」
と、ドレアンは挑発交じりでこう言った。ロッソはにやりと笑って魔力を開放し、ドレアンに向かってこう言った。
「分身は電撃で作った物。強い衝撃を与えれば簡単に崩せる!」
「確かにそうだ。だが、今の若造にそれだけの魔力はあるか?」
「ある! 獲物を前にしたら仕留めるまで手段は選ばない性格だからな!」
ロッソはそう言うと、周囲に火を放って大爆発を起こした。




