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ビガシャープ家の父、トープラー

 村から旅立ったミツルギとネレスは、バスなどを利用して近くの町へ向かっていた。


「へー、バスとか乗り物とかあるんだー」


「ミツルギのいた世界にも乗り物があるの?」


「ああ。こっちの世界は魔力を動力にしてるみたいだけど、俺がいた世界はガソリンっつー物を動力にしてたぜ」


「ガソリン?」


「車の燃料みたいなもんだよ」


 そんな話をしていると、バスは目的地に到着した。二人は料金を払い、バスから出て行った。それからしばらく歩いていると、変な紋章の旗がいくつもあった。気になったミツルギはネレスにこう聞いた。


「何だあの旗? センスが無くてダサいぞ」


「しっ!」


 大慌てでネレスはミツルギの口をふさぎ、人目の付かないところに移動した。


「あれがビガシャープ家の紋章。自分たちが支配しているってことを宣伝するためにいろんな所に旗を立てたの」


「へー。だからあんなセンスの無い旗があちらこちらにあるんだ」


「ビガシャープ家の連中が周囲にいるかもしれないし、あまり悪口を言ったら目を付けられるわ。私たちはフレッパとウレマーズを倒したことが知られてるかもしれないから、あまり目立ったことはしないようにしようよ」


「そうだった。下手したら捕まりそうだな。気を付けるよ」


 会話を終え、二人は元の場所に戻った。それから町の方へ向かって行った。町の外見を見たミツルギは、日本のことを思い出しながらこう言った。


「東京みたいだなー」


「トウキョウ? ニホンって所と関係あるの?」


「ああ。東京は日本の首都……まぁ国の中にある重要な町のようなもんだよ」


 と、ミツルギは簡単に説明をした。心の中で都道府県のことを言っても、ネレスには分からないだろうと思っていた。


 その後、二人は情報を求めて宿へ向かった。ミツルギが宿に入り、店主に声をかけたが、店主はテレビを見ながらため息を吐いていた。


「はぁ……トープラーの奴め……」


 店主は二人に気が付かず、独り言を呟いていた。ミツルギとネレスは店主に近付き、声をかけた。


「「すいまっせーん!」」


「うわああああああああああああ! すいませんすいませんすいませんすいません! これ以上トープラー様の悪口は言いません、今後一切とも言いません! ん……ありゃ?」


 店主は椅子から飛び降り、土下座をしたのだが、二人の姿を見て元の椅子に戻った。


「何だよ、子供じゃねーか。ビックリさせやがって」


「なぁ、さっきのテレビに映ってたって誰だ?」


 ミツルギがこう言うと、店主は目を丸くして驚いた。


「何だこの坊主? トープラーのことを知らないのか?」


「わけあって知らないんです」


 と、ネレスは慌ててフォローを入れた。店主はあっそうと言って二人の方を向き、軽い笑顔を作った。


「で、泊まりに来たのかい?」


「はい。それと、この辺りでビガシャープ家に関する情報を集めたいのですが」


「それならここで泊まれ。寝場所と情報、一気に手に入るぜ。情報は夕方にしたの飯屋に来る連中が知ってるはずさ。いろんな話を聞くことができるぜ」


「分かりました。いろいろとありがとうございます」


 会話を終え、二人は案内された部屋に向かった。




 ビガシャープ家の本拠地はグローリーラウンの中央に存在している。元々グローリーラウンは中央の国、ベラドーラが治めていたのだが、大臣の一人であったトープラーが反乱を起こし、そのまま国を乗っ取ってしまったのだ。元々国を治めていたベラドーラの城はトープラーが乗っ取っている。


 ベラドーラの城の廊下、トープラーに仕えている兵士が慌てて走っている。しばらくし、その兵士は大きな扉を開いた。


「失礼します、トープラー様!」


「何の用だ? 今一家で食事中だが……緊急事態か?」


「はい。中央王国のチョイナカ地方にいるフレッパとウレマーズから連絡が途絶えました」


「そうか。近くに来て話をしてくれ。レスンたちにも聞かせてほしい」


 その後、兵士はトープラーたちが食事をしているテーブルに近付いた。


「昨日からフレッパとウレマーズからの定時連絡が途絶えました。何かあったに……」


「あんな田舎町を収めてる奴らのことはほっとけ。連絡をさぼってんだろ?」


 そう言ったのはビガシャープ家の長男、レスンである。レスンはフォークでステーキを突き刺し、口に入れて行った。


「さぼりか……本当にそうだかねぇ?」


 と、次男のバーラードが不敵な笑みでこう言った。レスンはバーラードの笑みを見て嫌そうに舌を出したが、三男であるゴランは大きな声でこう言った。


「誰かにやられたかもな。だが、そんな奴はこの俺がぶっ倒してやるよ!」


「静かにしてよ、ゴラン兄さん。私は今ゲームをしてるんだ」


 食事をせずにゲームをしている四男のベッグが呟いた。そんな中、五男のイオは食事を終えてすぐに立ち上がった。


「ごちそうさまでした」


「イオよ。話を聞いて行かないのか?」


「興味ない。僕は部屋に戻るよ」


 そう言ってイオは戻って行った。トープラーは話を聞き終え、少し考えた後こう言った。


「あの地方を収める兵士は別の奴に任せる。それまで、フレッパとウレマーズの部下には革命軍の動きを探るように動けと伝えておけ」


「はっ」


 兵士は返事をすると、大急ぎで戻って行った。


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