雨の中での戦い
ミツルギはネレスに抱き着くような形で弾丸からの攻撃を守っている。今雨宿りしている小屋は古ぼけていて、所々壁に穴が開いている。それを見たミツルギはその穴を通して弾丸を放ったと察知した。
「ミツルギ……その……」
その時、ミツルギに抱き着かれているネレスが少し顔を真っ赤にして声を出した。どうしたのかと思ったミツルギはネレスの方を見ると、下着姿のネレスが目に入った。今、服が濡れてネレスは下着姿である。その姿を見たミツルギは少し照れたが、恥ずかしさを振り払いネレスにこう言った。
「ごめんネレス! だけど、今はこの状況をどうにかしないと!」
「分かってるけど……はっ!」
ネレスは突如目を開き、両手を地面に叩きつけて魔力のバリアを発した。強力なバリアのおかげで、飛んできた弾丸を防御できた。
「また弾丸か」
「どこにいるんだろう?」
「一度離れよう。一緒にいると二人ともやられちまう」
その後、二人は一旦距離を取り、ミツルギは闇を、ネレスは風を発して身を守った。
「外のどこかにいるはずだ」
ミツルギはそう呟き、壁の穴から外を見た。だが、長年放置された場所のせいか、長く育った雑草のせいで影を確認することは不可能だった。
「チッ、察知できないなこれじゃあ」
「ミツルギ」
策が思いつかない中、ネレスが声を出した。
「どうしたネレス?」
「いい案思いついたの。少し手荒かもしれないけど」
「ああ。やってくれ」
「うん」
ネレスは返事をすると、指先から強力で小さな炎を発し、雑草に火をつけた。
「もし、草の中に隠れてるとしたらこれで出てくるかも」
「出てきたところを一発ぶちかますんだな」
「そう。ミツルギ、バリアを張って守るからこっちに来て」
「分かった」
ネレスの言葉を聞き、ミツルギはネレスに近付いた。
二人を狙うスナイパー、賞金稼ぎのキニーバは弾丸のリロードを行っていた。
「運のいい奴らだな。まだ魔力を感じる」
リロードの最中、キニーバはこう呟いた。彼が持つスナイパーライフルは違法な改造を施しており、安物の弾丸を使っても遠く離れた人間を貫くことができる威力を持っている。そのライフルのおかげで、キニーバは何人の賞金首を葬って来た。
「さて、次で仕留めてやるぜ」
そう言ってスコープを覗いたが、スコープの中に映ったのは小屋ではなく、赤く燃える大きな炎であった。
「んな!」
突如炎が現れたことを知り、キニーバは驚いた。今は雨が降っているため、威力が落ちるだろうと思っていた。しかし、キニーバの予想は大きく外れ、炎は威力が落ちるどころか近くの草に燃え移り、威力を上げたのだ。
「ぐ……クソ!」
草の中に身を隠している以上、火の手がここまで来るのは時間の問題である。炎に巻き込まれることを恐れたキニーバは魔力を発して飛び上がり、草が無い所へ行こうとした。しかし、小屋の方から魔力を感じた。
「何だこの魔力は?」
スコープを望遠鏡代わりにして小屋を見ると、そこには闇の魔力を発しているミツルギの姿があった。
「ここから狙うつもりか?」
いくら闇の魔力を持っていても、素人が遠く離れた目標を狙い撃つことはできない。キニーバはそう思い、その場から逃げた。ミツルギは闇の魔力を発したが、キニーバはその攻撃をかわした。
「へへっ、ど素人が」
一瞬だけキニーバはミツルギの方を振り向き、こう呟いた。だが、前を見るとそこには巨大な闇の塊があった。
「な」
避けれなかったキニーバは闇に命中し、激しい破裂音を聞きながら下に落ちて行った。
「うし。命中」
「ミツルギ、魔力の扱い上手くなってきたね」
キニーバを倒したことを察した後、ネレスは水の魔力を発して雑草に付いた火を消し、落ちて行ったキニーバの方へ向かって行った。
キニーバとの戦いの後、二人は再び小屋へ戻った。そこには縄でぐるぐる縛りにされたキニーバの姿があった。
「ふ……お前たちの命を狙った男を生かすとは……どんだけ甘いんんだ?」
「うるせーよキザ野郎」
ミツルギはキニーバが持っていたタオルを使い、濡れた体を拭いていた。ネレスもキニーバのもう一枚のタオルを使い、体を拭いていた。
「おいおい、人のタオルを使うなよ」
「うるせー、命は助けてやるんだ。タオル位使わせろ」
「滅茶苦茶だねぇ」
キニーバは笑いながら答えた。ミツルギはキニーバの方を向き、こう聞いた。
「おい、ゲルグッグはどのくらいかかる?」
「ここからだとまだ時間がかかるね。そうかい、ビガシャープの連中が来るからそこへ向かうのかい」
「そうだ」
ミツルギの返事を聞き、キニーバは再び笑った。
「そこでドンパチやるってかい。だけど、あの家族をあまり甘く見ない方がいいぜ。多分俺みたいなチンケな賞金稼ぎよりも強い」
その言葉を聞き、ミツルギはにやりと笑って言葉を返した。
「どれだけ強かろうがぶっ飛ばしてやる。ネレスと一緒ならどんな敵でもぶっ飛ばしてやる」
「私と一緒なら……」
その言葉を聞き、ネレスは少し顔が赤くなった。その光景を見たキニーバは笑いながら心の中で思った。最高に面白い二人だと。




