新たなる敵の正体
橋を渡り終え、ミツルギとネレスはイオたちと別れることになった。
「お互い素性がばれないことを祈って旅をしましょう」
「そうだな。イオたちも気を付けろよ。それと、家族の連中に戻されるなよ」
「もしそうなったら逃げます。そうだ、二人にトニーカワの町のことを教えます」
イオはそう言って二人に近付き、トニーカワの町で起きていることを話した。トニーカワの町ではビガシャープ家に仕えているヒドウと言う凄腕の剣士の男が数名の部下を引き連れて支配している。
「ヒドウの名は僕も一応知っている。奴は剣の腕はいいが性格は最悪だ。はっきり言ってクズ野郎だ。だけど、不思議な力を持ってる君たちならきっと勝てるさ」
「身内が負けてもいいのか?」
「あんな奴、捕まった方がいいんだ。君たちもあいつを見たらきっとそう思うよ」
イオの言葉を聞き、それ程酷い男がいるのかとミツルギは思った。話を終え、イオたちは別の方へ歩いて行った。イオを見送った後、ミツルギはネレスにこう言った。
「さて、俺たちも行くか」
「うん」
話をした後、二人はトニーカワの町へ向かって歩き始めた。
歩き始めて数時間経過したが、トニーカワの町まではかなり距離があった。二人は出会う凶暴なモンスターを倒しつつ、素材を売却用にするため剥ぎ取りながら先へ進んでいった。
「しっかし、まだ町に到着しないのか?」
「本来なら車で数時間ってところだけど、歩きだからもっとかかるかも」
「そうだなー」
ミツルギは周囲を見回し、日が暮れてきたのを確認した。
「野宿になるかなこりゃ」
「近くに宿屋があればいいんだけど」
「こんな森の中であるかな?」
そう呟きながら二人は周囲を見渡すと、少し離れた所に宿屋らしき建物があった。急いでそこへ向かうと、看板には旅人の宿屋と書かれていた。
「俺たち運がいいな」
「そうだね。後はこれを買い取ってくれればいいんだけど」
と、ネレスは先程倒したモンスターの毛皮を手にしてこう言った。その後、二人は宿屋に入り、宿屋の主人と話した。主人はネレスが手にしていたモンスターの毛皮を見て、目を丸くして驚いた。
「こりゃーこの近辺でとれるアバレルクマの毛皮じゃないか。高級品で使われるから買取価格は高いんだけど、あいつが強すぎるから滅多に取れないんだよ。あいつを倒すとは、あんたら凄腕だねー」
「えへへ。どうも」
「金はいいよ。毛皮を一つくれれば一晩どころか一週間ほど泊めてやれるよ!」
「一晩で大丈夫です。明日までにトニーカワの町に着けばいいので」
ミツルギの言葉を聞き、主人は苦い顔をした。まずいことを言ったかと思ったミツルギだったが、主人は周りに人がいないことを確認して二人にこう言った。
「今、あの町は大変なことになってるよ。ジャーケムの村の兵器工場が破壊されて、それを知ったヒドウが町を頑丈に固めるつもりで警備しているんだ。怪しい奴がいたら、即刻撃たれるって。ほら、ニュースでもやってるぞ」
主人はテレビをつけ、ニュース番組を流した。ニュースでは不審者がトニーカワの町でうろついていたため、即刻射殺されたという話が流れていた。
「物騒な町だよ。知り合いや目的があるならしっかりと兵士に言えばいいんだけど、うかつに近付いちゃダメだよ。二人があのミツルギとネレスみたいに強かったら、すぐにでも解放してくれって言いたいんだけど」
主人の言葉を聞き、二人は苦笑いで答えた。ここで正体をばらしたらとんでもないことになると察したからだ。
その後、二人は部屋に案内され、その中にいた。夕飯の支度が出来るまで待っててくれと主人が言ったため、少し待つことにした。
「それにしても、俺たちの正体があそこでばれたら大騒ぎになってたな」
「期待されてるのかな、私たち」
「多分そうだろ」
ミツルギは少し笑いながらこう言った。自分が少し有名になったことを知り、少しうれしかったのだ。一方でネレスは逆に目立てばビガシャープ家を倒しにくくなるのではないかと少し不安だった。そんな中、ミツルギは魔力を感じ、窓から外を見た。
「魔法使いでも来たか?」
「私たちと同じように旅をしてる人かも」
気になったネレスもミツルギの横に立ち、窓を覗いた。入口にはセイントガーディアンらしき二人組が降り、主人と話をしていた。手にはミツルギとネレスの手配書が握られていた。
「ここまで来るなんて、セイントガーディアンもご苦労なこった」
「私たちを倒すため、本気で追って来てるんだ」
「ここにいるんじゃあ、恐らくトニーカワの町にもいるな」
ミツルギはため息を吐いてこう言った。セイントガーディアンの中には二度戦い、倒したスティーブがいる。ミツルギはスティーブがしつこく追いかけて来るだろうと思い、嫌な思いをしていた。
「あいつがいなければいいなー」
「あいつって?」
「モリトゥスの館で戦った、俺たちと同い年のセイントガーディアンだよ。スティーブって奴。あいつみたいな正義感とプライドが強い奴は俺たちを倒すために地の果てまで追ってくるぞ」
「そこまではしないと思うけど」
「俺はやると思う。それに、俺があいつを二回もぶっ倒したからしつこく狙うよ」
と、ミツルギは嫌そうにネレスに話した。ミツルギの嫌な顔を見て、ネレスは本当にミツルギはスティーブのことがうざったいのだと思った。




