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トニーカワの町へ向かう間

 ミツルギとネレスは突如現れた四人組を見て、少し警戒していた。四人組の中で少し小さめの人が、慌てながら手を振ってこう言った。


「落ち着いてください。僕たちはあなたたちに危害を加えないですよ」


「本当か? うさんくせーな。マントなんかで顔も体も隠しやがって」


「それは私たちも言えることだけど……」


 ネレスがこう言うと、少年は小さく笑って続けてこう言った。


「僕たちは怪しい者ではありません。あなたたちみたいに素性を知られると騒動になるので」


 この言葉を聞き、ミツルギは自分たちの素性がばれたと思い、魔力を開放しようとした。その時、少年の背後にいた二人が魔力を開放してミツルギの前に立った。


「魔力を止めなさい」


「争いは避けたいんですよね」


 ミツルギは戦おうとしたが、目の前の二人の魔力を探知したネレスがミツルギに小声でこう言った。


「止めておいた方がいいよ。この人たち、私たちより強い」


「何もしないなら魔力を止めてやる」


「分かった」


 ミツルギの言葉を聞き、目の前の二人は魔力を抑えた。魔力が消えたことを察しし、ミツルギも魔力を抑えた。


「あなたたちがミツルギとネレスなんですね。あなたの魔力が他の人とは違うので、すぐに分かりました」


「俺たちの正体を知っているのか。じゃああんたの正体も聞かせてくれ」


「ええ。驚かないでくださいね」


 少年はそう言うと、身に着けていたマントとフードを外し、素顔を見せた。少年の素顔を見たミツルギは誰だこいつと思っていたのだが、ネレスは目を丸くして驚いていた。


「あなたは……ビガシャープ家の五男、イオ」


 ネレスの言葉を聞き、ミツルギはイオの正体を察し、戦いの構えをとろうとした。だが、イオは構えをとるミツルギに対してこう言った。


「戦う気は全くありません。それに、あの家族とはもう縁を切ったので」


「縁を切った?」


「ええ。世界を旅するために」


 イオの言葉を聞き、ミツルギは不思議に思った。その後、イオはマントとフードを再び装備し、ミツルギにこう言った。


「一緒に行きましょう。その道中でお話でも」




 それからミツルギとネレスはイオたちと行動することになった。敵対する一家の一員と共に行動するという何とも変な展開になってしまい、二人は困惑していた。


「あなたたちのことは話で聞いています。僕たち一家の支配に立ち向かう二人組ということを」


「俺とお前は一応敵同士だぞ。そんな気さくに話しかけていいのかよ?」


「大丈夫です。僕はあの家族から縁を切ったと言ったじゃありませんか」


 と、笑いながら言うイオに対し、ミツルギは困惑した。そんな中、ネレスがイオにこう聞いた。


「何でビガシャープ家と縁を切ったの?」


「支配に興味が無いんです。力で無理矢理人を支配しても、あなたたちみたいに革命を起こす人たちがいる。力でねじ伏せても、いずれ僕たちより強い人が革命を起こす。悪いことは長く続かない、いつかきっと終わりが来て悲惨な目に合う。どうせそうなるんだったら、さっさと家出して世界を見たかったんです」


「家族のことを信頼してないんだな……」


「ええ。支配のことしか考えてない人のことなんてどうでもいいんです」


 イオの言葉を聞き、ミツルギはイオに対し信頼に似た感情が生まれてきた。敵同士かと思ったが、自分たちに対して戦意はないし、争う気も全くないと察したのだ。


「その言葉本当みたいだな。驚いたよ、ビガシャープ家にもそういう奴がいたなんて」


「僕は前々から家出しようと思ったんです」


「でも、家出したのがばれるんじゃあ……」


「もうばれてると思います。それでも追ってこないとしたら僕のことをほっておくつもりなんでしょう。好都合です」


 と、イオはネレスにこう答えた。その時、イオの後ろにいたシェリーがネレスの方を睨んだ。だが、メアリーがシェリーの頬をつねってこう言った。


「あんまり睨まない。変な顔になってるわよ」


「だって見てて少し腹が立ったんだもん」


「ミツルギと話してなさいな」


「初対面かつ賞金首の人に何を話せばいいのよ?」


「聞こえてるぞ、後ろの姉ちゃんズ」


 ミツルギは後ろを振り返って、シェリーたちの方を見た。ミツルギの顔をまじまじと見たカナリアは、小声でこう言った。


「結構可愛い顔をしてるじゃない」


「かわいい? 俺が?」


「そう言えば物騒なことをやってる割に、顔は整ってるわね。それで銀髪になるとしたら結構カッコよくなるかも」


「おいおい、俺にそんな趣味はないんだけど」


「ねぇ、今度この子にメイド服を着させてみようよ」


 ミツルギの言葉を遮るかのように、シェリーがこう言った。その言葉を聞いたネレスは脳内でメイド服を着たミツルギの姿を想像してしまった。だが、同じように想像したイオは笑いながらこう言った。


「あははははは。案外似合うかもね」


「変なことを想像させるな! 絶対に俺はそう言うの着ないからな!」


 話を聞いて怒ったミツルギは大声でこう言った。それから茶化すシェリーたちに対し、ネレスの助け舟を求めようとしたミツルギだったが、先ほどの過激な創造のおかげでネレスの顔は真っ赤になり、ミツルギの声は聞こえなかった。


「何で私あんな想像を……でもちょっとだけ……」


「ちょっとだけって何? それよりか助けてくれネレス。俺はメイド服なんて着たくねーんだよ!」


 橋の真ん中で、ミツルギの情けない悲鳴が轟いた。


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