次の目的地
ジャーケムの村の兵器工場を消し去った後、ミツルギとネレスは数日間眠っていた。グーニーはまだ起きぬ二人を家の中へ隠し、歩き回るビガシャープ家の兵隊やセイントガーディアンに注意をしていた。だが、工場での騒動以来、兵隊やセイントガーディアンの数はめっきり減ってしまった。
「うーん……騒動があったから逆に増えたかと思ったんだけど」
あの騒動があったため、逆に見回りの数が増えるのではと予想していたグーニーは、予想外のことが起きて少し動揺していた。そんな中、二人を隠している部屋から声が上がった。二人が起きたと思ったグーニーは、急いで階段を駆け上がり、二人の元へ向かった。
「やっと起きたんだ二人とも!」
「ずっと寝てたみたいだけど……」
「もう少し場所を考えてほしいな」
と、タンスの中に隠されていた二人がグーニーにこう言った。
目が覚めた後、ミツルギとネレスはグーニーから騒動の後のことを聞いていた。しばらくニュースになったが、すぐに別の話題に切り替わったこと、ジャーケムの村にいたビガシャープ家の兵隊とセイントガーディアンの数が減ったこと。そのことを聞いた二人は返事をしながら食事をしていた。グーニーはがっつくように食事をする二人を見ながらこう言った。
「よく食べるねー」
「魔力を使うと腹が減るんだよ」
「工場を消す時にかなり魔力を使ったから」
二人は食事の手を止め、グーニーに答えた。ミツルギはお茶を飲み、グーニーに質問をした。
「なぁ、すぐに別の話題に切り替わったって言ってたけど、何の話題なんだ?」
「ビガシャープ家の五男、イオがどっかに行ったって話。ビガシャープ家の偉い人たちが騒いでいるけど、家族はたいして騒いでなかったなー」
グーニーはテレビの記者会見を思い出しながら答えた。あの時見た記者会見では、ビガシャープ家の担当者があたふたしながら記者の質問に答えていたが、横にいたトープラーとレスンは冷静だったのだ。家族がどこかへ行ったのに、あんなに冷静なのはかえって不気味だとグーニーは心の中で思ったのだ。
「冷たい奴らなんだな。家族がどっかへ行ったってのに」
「それよりも、支配の方を優先してるのよ。きっと」
ミツルギとネレスはグーニーの答えを聞き、こう会話していた。それからしばらくして食事を終え、ミツルギとネレスは二階へ上がり、窓から様子を見た。
「今なら見張りはいないか」
「ずっと寝てたし、そろそろ行かないとね」
「行くってどこへ?」
二人の言葉を聞き、グーニーはこう尋ねた。
「別の場所だよ。ここ以外にもビガシャープ家の奴らに支配されてる地域はあるし」
「この騒動で何かされる前に、私たちが動かないと」
と、二人は支度をしながら答えた。答えを聞き、グーニーはもう二人がどこかへ行くと察した。本当はこの村を守るべくずっといてもらいたいのだが、別の村や町を支配から救うため、二人は旅立つ。仕方ないと思いつつ、グーニーはこう言った。
「元気でな。村を助けてくれたこと、本当にありがとな」
「俺たちの方も世話になった。かくまってくれたり飯用意してくれて本当にありがと」
「全てが終わったら、いつか遊びに来るから」
寂しそうな顔をするグーニーに対し、二人は笑顔でこう言った。
数分後、二人はグーニーに見送られながら旅を再開した。長時間眠っていたせいか、少し体がだるいと思った二人だが、そんなことで止まってられるかと奮起し、体を動かした。グーニーに案内された抜け道から村の外へ出て、二人は周囲を見回した。
「次はどこへ行く? 近場で奴らに支配されてる地域はないか?」
「この辺りだと……少し歩くけどトニーカワって町が支配されてるって。ただ、その間に賞金稼ぎやセイントガーディアンが現れるかも」
「出たらぶっ飛ばしてやる」
ミツルギは気合を入れるかのように両手を叩き、意気揚々と歩き始めた。ネレスは起きたばかりで大丈夫かなと思いつつ、ミツルギの後ろを歩いて行った。
歩き始めて数時間が経過した。二人の目の前には大きな川があった。水の流れはかなり早く、少しでも入ったら流されてしまう。現に川上の方からミツルギの身長と同じくらいの折れた木が水の勢いによって流されている。そして、川に住む魚も流れの勢いに負け、流れに身を任せて水の中を漂っていた。
「橋とかないかな? あの中を泳いで渡るってことはできないし」
「あると思うよ。こんな危険な川を泳いで渡れっていう人はいないよ」
二人はこう話をしていると、少し離れた所に橋らしき物と人の行列が見えた。二人は身を隠してそこへ近づき、建物の前にある看板を見た。そこにはハヤカワ橋。通行料千ネカと書かれていて、門番らしき二人組が橋を渡ろうとする人に金を貰っていた。
「金が必要なのかよ」
「千ネカって高いな……それに、私たちは顔を見せたくないし」
ネレスは不安そうにこう言った。ミツルギは手持ちの財布を見ると、そこには何も入っていなかった。
「そうか……俺たちあんまり金持ってなかったんだよな」
「モンスターの毛皮や爪で何とかなるかな?」
「にしても、結局顔を見られるからな……」
二人は悩んでいると、背後から何者かが声をかけてきた。
「何かお悩みでも?」
二人は振り返ると、そこには同じようなマントを羽織った四人組が立っていた。




