賞金稼ぎとの戦い
次の目的地、ジャーケムへ向かう中、ミツルギとネレスを狙う賞金稼ぎが彼らを襲った。彼らが乗る車をパンクさせた狙撃手、イーフルは声を出すミツルギをスコープで捕らえ、にやりと笑った。
「そんなに死にたければ殺してやるよ、バカ小僧」
小さくそう呟いた後、イーフルは引き金を引いた。イーフルが持つライフルにはサイレンサーが付いており、発砲音を多少なりとも抑えてくれる。遠くにいるミツルギがこの音を聞けるはずがない。そう思っていた。しかし、ミツルギはイーフルの方を向き、闇を放った。
「何!」
自身が放った弾丸がミツルギの闇に消された後、危機感を覚えたイーフルは場所を変えた。高鳴る鼓動を抑えつつ、何度も深呼吸をして精神と体をリラックスした。落ち着いた後、どうして弾が消されたと考えた。だが、イーフルは先程のミツルギの行動がただのまぐれだと確信し、もう一度狙おうとした。だが、別の所から感じたことのない魔力を感じた。それと同じくして、バイクの高い排気音が聞こえた。
「チッ、同業者か」
イーフルはそう呟き、一度身を隠した。
ネレスはバイクの排気音を聞き、バリアを解除してブリッツスパーダを構えた。その時、ミツルギが闇を発したまま近付いた。
「今度は大量に来たな」
「うん。今度は私も戦う。すみません、自分の身は自分で守ってください」
ネレスは怯える男たちにこう言うと、襲ってくるバイクの群れの方を向いた。
「ヒャッハー! こんな所でミツルギとネレスに会えるとはなぁ!」
「こいつらをぶっ殺せば、俺たちは億万長者だ!」
「ついでにそこにいる男も殺そうぜ!」
バイクの男たちは下品な言葉を発しながら二人に襲い掛かった。ミツルギは闇を発してバイクを破壊していったが、そのことを予測していた男たちはバイクを踏み台にして飛び上がり、ネレスに襲い掛かろうとしていた。
「そんな剣を持ってても俺たちみたいなゴリゴリマッチョに女が敵うはずがない!」
「容赦するな、確実にぶっ殺せ!」
「女だからって、甘く見ないで」
ネレスはこう言うと、魔力を使って身体能力を上げ、素早く剣を振るって男を斬った。
「え……」
「マジで?」
ネレスに斬られた男たちは驚きの表情をしながら、血を流してその場に倒れた。ネレスは倒れた男に向かって小さくこう言った。
「命までは奪いません。この戦いが終わった後、どこかへ行ってください」
「クソッたれが! よくも仲間を!」
仲間を斬られたことを察した男が、釘バットを振り上げながらネレスに襲い掛かった。だが、ミツルギが振り上げられた釘バットに向け闇を放ち、跡形もなく消し去った。
「急に軽くなった……って……え!」
男は持ち手以外消え去った釘バットを見て、目を丸くして驚いた。その後、こんなの使えるかと言って釘バットを投げ捨てた後、魔力を開放してミツルギに殴りかかった。
「こうなったらこの拳でぶっ殺す!」
「止めとけ、そんなへっぴり腰で俺はやられねーぞ」
ミツルギは男の拳を受け止め、そのまま握りしめた。指の骨から激痛を感じ、男は悲鳴を上げた。
「うあああああああああああああああ! 手が……手が!」
「このまま逃げるんだったら離してやってもいい。だが、もう一度襲い掛かってきたら今度は容赦しない」
「分かった……もうしないから放してくれ……」
ミツルギが手を離した後、男はまだ痛みを感じる指に息を吹きかけていた。仲間の男たちは後ろから様子を見ていたが、二人と自分たちでは力の差が大きいことを感じ、バイクに乗って逃げ去って行った。
「ふぅ、何とかなったな」
「うん」
戦いが終わったことを察した男たちは、涙を流しながら二人にこう言った。
「怖かったよ~」
「巻き込まれなくてよかった……ありがとう、守ってくれて」
二人に対し、二人は笑顔を返した。
バイクの賞金稼ぎがやられたのを確認したイーフルは、今度は俺の番だと心の中で呟き、もう一度ミツルギに狙いを定めた。
「あの二人の首は俺が貰った」
にやりと笑ってそう呟いたが、突如スコープが真っ暗になった。
「え? あれ? 故障か?」
故障かと思い、スコープを見ようとしたが、背後から人の気配を察した。後ろを振り向くと、そこにはカウボーイハットを被った男と、人一倍図体が大きい男が立っていた。フリートは舌打ちをし、男に向かってこう言った。
「誰だテメーら? 商売の邪魔をするんじゃねー」
「悪いね、俺もお前と同じ商売をしているもんでね」
同じ商売と聞き、この二人が自分と同じ賞金稼ぎだと言うことを知ったフリートは、腰の拳銃を装備して男に突き出した。
「おーおー、物騒なもんを突き出さないでよ。俺、ビビっちゃうよ」
「兄貴ー、嘘を言うなよ。余裕じゃないか」
「少しはカッコつけさせろっての、ヴェルデ」
大きな男の名前を聞き、フリートはある話を思い出した。凄腕の賞金稼ぎの中に、兄弟で仕事をしている男がいると。その兄弟はオマリー兄弟と言われている。
「……まさかあんたら、オマリー兄弟か?」
「当たり。俺たちも結構名が知られちまったようだな」
「オイラとしては、あまり有名になりたくないよ」
「仕方ねーよ、こういう商売で成功してくと、勝手に有名になってくんだよ」
と、オマリー兄弟の兄であるロッソが、弟であるヴェルデにこう言った。




