再び二人での旅へ
セオイナゲの町で銀色の竜と別れた後、ミツルギとネレスは道具屋でフード付きのマントを購入し、町を後にした。本来なら疲れた体を癒すためにしばらく滞在するのだが、追われる身となった以上、町での戦いは避けたいと思っているのだ。
「さて、次はどこへ行こうか?」
「道具屋で耳にしたけれど、ここからしばらく行ったところにあるジャーケムって村がビガシャープの一員に支配されてるって」
「よし、そこに行こう」
ミツルギはそう言って辺りを見回した。周囲には看板がなく、どこに何があるのかさっぱり分からない状態だったのだ。
「看板の一つぐらいあればいいんだけどなー」
「そうだね。地図も買えばよかったね」
「ああ。と言っても……俺、地図とか苦手なんだよな」
二人がそう話していると、一台の車が二人に近付いてきた。だが、車はブレーキをかけることなく、二人に向かって突っ込んで来た。車が接近したことを察した二人は後ろに飛び、車をかわした。
「危なかった……」
「どこの誰だ? 危険な運転しやがって」
ミツルギがこう言うと、車の中から銃を持った男が現れ、ミツルギに向かって発砲した。銃を向けられた瞬間、ミツルギは攻撃が来ることを察しし、闇の盾で防御した。
「チッ、噂通りかなり強いな」
「男が駄目なら女を狙え!」
男の仲間が銃を持ってネレスに向かって銃を発砲した。だが、ネレスはバリアを発し、弾丸を防いだ。
「チクショウ! 噂通り強いな」
「モリトゥスを倒したってのは本当のようだな……一旦引くぞ!」
男たちは車をバックさせたが、ミツルギが闇を使ってバックする車を捕まえ、運転席に近付いた。
「何だテメーらは? 車で俺たちに突っ込んだ挙句、物騒なもんで攻撃しやがって」
「ひ……ひぃ……お助けを……」
男たちはミツルギの言葉を聞かず、ただただ震えていた。車内を見回したネレスは、後ろからミツルギの肩を叩いてこう言った。
「この人たち、多分賞金稼ぎの人だよ」
「俺とネレスにかかった賞金の為にこんなことをしたんだな」
ミツルギがこう言うと、男たちは涙声で返事をした。その時、ミツルギはあることを思いついた。
「オイおっさん、これ以上痛い目にあいたくなければ俺とネレスをジャーケムって村に送れ」
ミツルギの言葉を聞き、ネレスは驚きの言葉を上げ、ミツルギに近付いた。
「何言ってるのミツルギ? 私たちを狙おうとした人だよ?」
「俺とネレスより弱いから大丈夫だよ。このまま道に迷ってたら、救えるもんも救えなくなっちまう」
「うーん……じゃあ仕方ないか」
納得したような感じでネレスが言うと、ミツルギはもう一度闇を発して男たちにこう言った。
「もう一度聞くぜ。俺たちをジャーケムって村に連れてけ」
数分後、ミツルギとネレスを乗せた賞金稼ぎの車はジャーケムへ向かって走っていた。
「おやぶ~ん、こんなことになるなんて思ってもなかったですよ~」
「俺もだよ。恐ろしい目に合うんだったら、真面目に働けばよかった」
「最初からそうしろよ」
と、後部座席に座るミツルギは小さく呟いた。横に座っているネレスは少し疲れたのか、ミツルギの肩に寄りかかって寝息を立てていた。それを見たミツルギは、再び男たちの方を見てこう言った。
「ネレスが寝てるから、静かにしろよ」
「「はっ、はい」」
なすすべもない男たちは、ただミツルギの言うことに返事をすることしかできなかった。そんな中、突如大きな破裂音が響き、車内が揺れた。
「おわっ、おわっ!」
「おぎゃあああああああああああああ!」
「何だ今の?」
「う~ん……うるさいなぁ……」
突如発生した音と揺れに驚いた四人は、驚いて目を丸くしていた。その後、揺れが収まったのを確認した男はアクセルペダルを踏み込んだが、車は動こうとはしなかった。
「まさか……」
男たちは外に出て、タイヤの様子を調べた。タイヤには大きな穴が開いており、そこから空気が漏れていた。つまりパンクしていたのだ。
「あらら、パンクかよ」
「おっかしーなー。この辺りは砂利道じゃないのに」
「パンクか? スペアタイヤ持ってないのか?」
窓を開けてミツルギがこう聞くと、男の一人が返事をした。
「はい。この前使っちまったんですよ」
「参ったなー、あと少しだって所に」
男たちが悩むのを見ていたミツルギは、遠くから魔力を感じ、男たちに向かって叫んだ。
「下がれ! いいから下がれ!」
慌てるようなミツルギの声を聞き、男たちは言うことを聞いた。その直後、男たちがいた足元に弾がめり込んだ。
「ヒッ……ヒィィィィィィ!」
「誰がこんなことを?」
「おそらくあんたらの同業者だよ」
ミツルギはこう言うと、ネレスと共に外に出て男たちに再び口を開いた。
「危ないから車の中に入ってろ。ネレス、バリアで車を守れるか?」
「うん。できるよ」
「頼む」
ネレスは魔力を開放し、自身と男たちが乗る車を囲むようにバリアを作った。ミツルギはバリアの外に出て、魔力を開放してこう叫んだ。
「出て来い卑怯者! 俺はここだ、撃てるもんなら撃ってみやがれこの野郎!」
ミツルギは自ら囮となり、見えない敵の攻撃を誘った。遠くにいる敵はミツルギの言葉を聞き、ライフルを構えてにやりと笑った。




