少年たちの行方
モリトゥスの館から近くのセイントガーディアン関係施設。そこにミツルギに敗北したスティーブが治療を受けていた。スティーブはビガシャープ家の会見を見て、ミツルギとネレスの名前を知った。
「ミツルギとネレスか……次あった時は必ず倒す!」
と、意気込んでいたが、彼の上司が部屋に入って来た。
「お前を倒した奴の名前が判明したな」
「ミツルギとネレス。そのミツルギが私を倒したのです。それも……二度も」
「お前を倒すくらい強いというのはこちらとしても把握している。だが、お前が倒された後、ミツルギはバーラードの部下、ゲインを半殺しにして病院へ送ったようだ」
この言葉を聞き、スティーブは驚きの表情を見せた。スティーブはビガシャープ家の関係者の強さを把握している。その強さは自分より上であるが、その一人をミツルギは倒してしまったのだ。
「ゲインさんを倒した? ミツルギが?」
「その戦いを見ていた奴がいたようだが、魔力が急激に高まると同時にミツルギの髪が黒から銀に変わったようだ」
「何ですかそれ? 魔力によって髪の色が変わるなんて……」
「信じられない話だが、そいつはマジな目をして話をしていた。嘘一つ付いてないよ」
話を聞いたスティーブは、少しうつむいた。だが、上司は一枚の紙をスティーブに見せた。
「話はもう一つある。異動の話だ」
「異動?」
「ああ。セイントガーディアン、お尋ね者討伐隊に入れとの話だ。どうやら、上が二度ミツルギと戦った経験のあるお前を欲しがってるようだ」
「はぁ……」
「とにかく、異動は怪我の治療が終わってからだ。後のことはそれからゆっくり話す。それじゃ、ゆっくり怪我を治せよ。今のうちに休んでおけ」
と言って、スティーブの上司は部屋から去って行った。
銀色の竜飛行船内。そこの会議室でミツルギたちはいた。
「で、お前さんたちはこれからどうする? 二人でこのまま討伐の旅を続けるか、俺たちと一緒に行くか」
ドレアンの言葉を聞き、ミツルギとネレスは互いの顔を見合わせた。
「どうする? 俺としてはネレスと一緒に旅を続けたいんだけど」
「イチャイチャするためか?」
「「そんなんじゃありません!」」
と、ミツルギとネレスは顔を真っ赤にしてドレアンに向かって叫んだ。その際二人は机を同時に強く叩いたため、ドレアンの近くにあった湯呑が高く飛び上がり、中に入っていた熱いお茶がドレアンの顔に命中した。
「あちゃあああああああああああああああああああああああああああ!」
「全く、冗談を言うからこうなったんですよ」
カリューは床に落ちて叫びながら転げまわるドレアンを無視し、話を続けた。
「一緒に旅をするのも構いませんが、あなたたちは賞金首となった身です。今まで通り旅を続けるのが大変になります」
「だけど、このままカリューさんたちにお世話になってたら迷惑になるかと……」
「迷惑? 気にしないでください。私たちもあなたたちと同じ賞金首ですから」
「ああいや、そういうことではなくて、食料とかそういう問題です」
ミツルギの話を聞き、カリューはそっちの問題かと呟いた。ミツルギの話の後、ネレスがミツルギに代わって話を続けた。
「私たちは小さなところで活躍しようと思います。賞金首となってしまいましたが、これはこれでビガシャープ家の人たちのことを知ってる賞金稼ぎと遭遇する可能性があると思います」
「奴らを倒して話を聞きだすわけですね」
「はい。それもありますが、小さく弱い町や村でも奴らの手によって支配されている所があります。小さなところでも私たちは奴らの手から人を救いたいと思ってるんです」
ネレスの言葉を聞き、カリューはなるほどと呟いた。しばらくしてカリューは立ち上がり、二人にこう言った。
「これから近くのセオイナゲという町に向かいます。そこで一旦別れましょう」
「分かりました。本当にお世話になりました」
ネレスが頭を下げ、それに続いてミツルギに慌てて頭を下げた。それを見たカリューは頭を上げてくださいと言った。
「お世話になったのはこちらの方です。あなたたちの力が無ければモリトゥスの館の兵器を壊すこともできず、苦戦していたと思いますから。助かったのはこちらの方です」
「何かあったら連絡しろ。すぐに駆け付けてやるからな!」
と、立ち上がったドレアンは熱湯で火傷した頬をさすりながらこう言った。会話後、銀色の竜の飛行船はセオイナゲの町の近くに着陸した。
オジーブ国にあるビガシャープ家の城内にある王の間にて、主であるトープラーがバーラードと話をしていた。
「バーラード、敵の予想外の動きで大分苦戦しているようだな」
「はい。二人の部下が掴まった」
「部下を失ったか……」
「はい。だけど、俺にはまだ部下はいる。ゲインのような動きはできないけど、戦い以外でならちゃんと働くことはできる」
「そうか。闇を使う少年……ミツルギと言ったな」
「ああ。それと連れのネレス。あの二人はほっておくわけにはいかない。これから、俺たちの方で二人の討伐をやってくる」
「賞金稼ぎもあの二人を狙うぞ。あの野蛮人がお前と共に協力するか?」
「所詮、金のために働く奴らだ。札束を見せれば俺の言うことを聞く」
「それでいいが……中にはそうでもない奴がいるぞ。気を付けろ」
「分かってるよ、父さん」
バーラードはそう言って、王の間から出て行った。




