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漢の真剣勝負

 モリトゥスの館二階。ドレアンは襲い掛かるドレアンの部下やセイントガーディアンの兵士を相手に一人で戦っていた。一対多数という不利な状況の中だったが、誰一人ドレアンの攻撃を止めることはできず、皆やられて行った。


「こ……これが銀色の竜の……」


「強い……強すぎる」


「こんな奴を倒せる奴がいるのか?」


 部下や兵士は、倒れながらこう呟いていた。そんな中、ドレアンの無双ぶりを見ていたモリトゥスは、衣服を脱いで上半身裸になった。それを見た部下は慌ててモリトゥスを止めようとした。


「何やってるんですかモリトゥス様!」


「久しぶりにすごい奴が来たからな、戦いたいと思っての」


「戦うのはいいですが、何で脱ぐんですか!」


「筋肉こそ最高の武器、筋肉こそ最高の鎧だからだ」


 モリトゥスの行動を見てか、ドレアンは槍を止めてにやりと笑った。


「どうやら俺と戦いたいようだな」


「猛者との相手が最高の道楽! だが、ここだと家具や兵士がいて邪魔だな。着いて来い」


 モリトゥスはそう言って、ドレアンをベランダへ誘導した。ベランダはそれなりに広かったが、戦いの場所には向いてないとドレアンは思った。ベランダは広いが足場は弱そうで、戦いの衝撃ですぐに壊れそうだったからだ。


「こんな所で戦うのか?」


「まさか。上で戦うのだ」


「上? ほう、そうか」


 モリトゥスの言葉を理解したドレアンは、高く飛び上がって屋根へ飛び移った。その行動を見たモリトゥスはにやりと笑い、ドレアンの後を追うように屋根へ飛び移った。部下は二人の後を慌てて追いかけ、何とか屋根の上へ登った。


「モリトゥス様? こんな所で戦わなくても!」


「落ちたら大変ですよ!」


「わーっとるわいそんなこと! 危険が隣にあるからこそ、燃えるのだ。お前たち、これは一対一の戦いだから決して手を出すなよ!」


 と、後ろにいるびくついた部下に向かってモリトゥスは叫んだ。その時、ドレアンは槍をしまい、服を脱いで上半身裸になった。その行動を見て、モリトゥスはにやりと笑った。


「これで五分と言うわけか」


「拳で戦おうとする相手に、武器を使って戦うなど愚の骨頂。武器無し本気の戦いを始めよう!」


 ドレアンはそう言うと、モリトゥスに向かって歩き始めた。それに合わせるかのようにモリトゥスも歩き始め、徐々に二人の距離が近付いて行った。そして互いに接近したと同時に、大きく右腕を振りかぶって互いの頬を殴った。殴打した際に発した衝撃で、周囲には強い風が舞った。部下は強い風に耐え切れずに落ちそうになったが、何とか持ちこたえた。それから後ろの方でドレアンとモリトゥスの戦いの様子を見ていた。


「あの二人、本気で戦ってるよ」


「何だよあの拳の威力。殴る度に風が発生してるよ」


「そんだけ強いってことだ」


 と、この戦いの様子を見て言葉を漏らしていた。二人は何度も拳を放ち、互いの顔や腹を殴っていた。たまに、お互いの拳がぶつかって激しい風が発生した。


「やるではないか」


「そちらも」


 ぶつかった拳に力を入れ、何とか相手の拳を押しのけ相手に一撃を与えようとした。同時にこの行為を行ったため、足場となる屋根の瓦ははがれてぶっ飛び、強い風と共に宙を舞った。


「屋根の瓦が!」


「魔力も使ってないのに何であんな威力が出るんだよ?」


「鍛えてたから?」


「それであんな威力が出るのか。あぁ、筋トレしとけばよかったかな」


 宙を舞う瓦を見て、部下は話をしていた。




 その頃、ミツルギはネレスと合流するため、襲ってくるセイントガーディアンやモリトゥスの部下を蹴散らせながら館内を走っていた。


「ネレスー! どこだー! 無事なら返事をしてくれー!」


 大声で叫びながら走っているため、ミツルギの場所はすぐに敵に感知されてしまった。だが、反撃してやり返しているが。しばらく走っていると、息を切らせながら歩いているネレスの姿が見えた。


「ネレス、無事だったか!」


「ミツルギ。そっちも終わったのね」


「ああ。またぶっ飛ばしてやったよ。ネレスの方は?」


「ちょっとやりすぎたかな。丸焦げにして、その上斬っちゃったし……」


「結構えぐいやり方だな……」


 何とか合流した二人は、別の場所で戦っているカリューとの合流を目指し、館内を歩き始めた。だが、二人に目がけて氷の刃が飛んできた。


「危ない!」


 ミツルギはネレスの前に立ち、闇を発して盾を作った。ネレスは魔力を開放し、周囲を見回して敵の居場所を探った。


「一体どこから……」


「前の方……じゃあなさそうだな。自由に氷を出せる奴がいるのか?」


 そう話しているが、ミツルギは前から走ってくる音を聞き、ネレスを庇いながら横へ回避した。


「早い!」


「チッ、意外とやるなぁ。噂通りの強さだね、闇の少年君」


 そう言いながら現れたのは、ゲインだった。すでにゲインは剣を持ち、魔力を開放して銭湯の準備を終えていた。その魔力を感じ、二人はゲインが強敵であることを感じていた。


「オデッサとボブザード……そんでもってセイントガーディアンの一部を倒すとは驚いたよ。でも……俺はそう簡単にやられないぜ」


 ゲインは小さく笑いながらこう言うと、二人との距離を縮めるため走り始めた。


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