奇襲作戦決行
屋敷の中にいるモリトゥスは筋トレをしながらパレードが始まるのを待っていた。片手で持っているバーベルの重さには一トン。とんでもない重さだが、魔力を鍛えるためにわざと重いバーベルを使っているのだ。バーベル上げをしながら、モリトゥスは近くにいる執事にこう聞いた。
「パレードを狙って変な奴らが襲ってきてないか?」
「今のところは問題ありません。しかし、警備員からは不審な輩が町に来たと報告があります」
「銀色の竜ではないのか?」
「その可能性もあります」
執事の報告を聞き、モリトゥスは深く呼吸をし、バーベルを元の場所へ置いた。
「分かった。だが、相手が誰であろうと私の敵ではない」
そう言って、モリトゥスは気合の声と共に筋肉を発達させた。それを見て、執事はどれだけ鍛えているんだこの人はと思った。その時、屋敷の外にいる警備員が騒ぎ始めた。何事かと思いモリトゥスは外に出ると、上空には銀色の竜の飛行船があった。
「直接狙って来るか」
銀色の竜の飛行船を見て、モリトゥスはにやりと笑った。同時刻、ゲインはオデッサとボブザードの方を見て、武器の用意をしておけと伝えた。そして、スティーブはミツルギが来るだろうと考え、闘志を燃やしていた。
飛行船内にて。準備を終えたミツルギとブリッツスパーダを手にしたネレス、そして武器を持ったドレアンとカリューが飛行船の出入り口に立っていた。
「さぁ行くぜ。派手に暴れるぞ!」
ミツルギはそう言うと、闇の魔力を発して屋敷の近くにある兵器を狙って飛ばした。それにより、兵器は破壊された。下で爆発騒ぎが起こり、大混乱が起きている。その隙を狙い、ミツルギたちは屋敷に向かって降下した。
その頃、屋敷では爆発した兵器の消火作業などを行うため、モリトゥスの屋敷の使用人たちが慌てて作業を行っていた。
「グッ、あの爆発で何人倒れた?」
「半分はぶっ飛んだぞ、怪我人はいるか?」
「怪我人は出たが、死人はいない!」
「だけどこんな状況で襲われたらたまったもんじゃねーぞ!」
と、セイントガーディアンや使用人の叫び声が聞こえる。そんな中、セイントガーディアンの一人が降下してくるミツルギたちを見つけた。すぐに武器を持って反撃しようとしたのだが、ミツルギが闇を使ってセイントガーディアンを攻撃した。
「さて、暴れますかねっと!」
ミツルギは魔力を開放し、闇を両手に発して近くにいる敵を殴り始めた。ミツルギたちが降り立ったことを察したセイントガーディアンや屋敷の護衛たちは武器を持って攻撃を行おうとしたが、ネレスの剣さばきによって大半が倒れた。
「すげぇ強い……」
「何だこいつら……」
「敵わねぇ……」
倒れて行く敵を見ながら、ネレスはぽつりと呟いた。
「命までは奪いません。そこまで私は卑劣ではないので」
その時、敵の一部が悲鳴を上げながら宙を待っていることにネレスは気付いた。慌てて後ろを見ると、そこには魔力を開放して槍を振り回しているドレアンの姿がった。
「ドレアンさん、少しは加減したらどうですか? 下手したら命を奪ってしまいますよ」
「大丈夫! 死なないようには加減してある!」
豪快な笑い声と共にドレアンはネレスに答えた。その直後、ミツルギが放った闇がネレスを守った。敵が自分を狙っていることを察したネレスはミツルギに近付き、周囲を見渡した。
「一体誰が?」
「多分あいつだ。槍を持ってる奴」
ミツルギはオデッサを見ながらこう言った。ネレスはオデッサから魔力を感じ、今までの敵とは力が強いことを察した。
オデッサは自信を睨むネレスを見て、ため息を吐いていた。
「どうしたオデッサ? 突っ立ってる暇があったら消火を手伝え」
ホースを持ったボブザードがオデッサに近付いてこう言った。オデッサはため息を吐き、槍を構えた。
「あの嬢ちゃん、俺の力を感じやがった」
「嬢ちゃん? あの小娘か。強いのか?」
「多分な。それと、あの闇を使う坊主……あれが噂に聞いていた奴かもしれない」
「そうか……」
オデッサから話を聞いたボブザードは手にしていたホースを近くの執事に渡し、消火活動を続けろと伝えた。その後、斧を装備してミツルギとネレスを襲おうとした。しかし、上空から炎が飛んできた。
「グッ!」
「二人には手を出させませんよ。あの二人は銀色の竜の一員ではないので」
「ヘッ……また坊主が現れたか」
ボブザードはナイフを持つカリューを見て呟いた。この光景を見たオデッサはため息を吐き、ボブザードにこう言った。
「お前はその坊主の相手を任せる。俺はあの嬢ちゃんと戦ってくる」
「負けるなよ」
「お互いにな」
二人はこう言った後、それぞれの敵に向かって走って行った。
一方、スティーブは感じたことのある魔力を感じ、剣を握って魔力を開放した。
「来たか……闇の少年!」
叫び声を上げると、スティーブは猛スピードでミツルギの元へ飛んで行った。他の所で他の敵と戦うミツルギはスティーブの魔力を感じ、ため息を吐いて小さく呟いた。
「この前倒した奴か……また襲ってくるのか……しつこいな」




